四国がんセンター

名誉院長エッセイ<季刊>患者の言い分、医者の言い分

心の中の空:2011年1月号

きれいな景色だなあ

がんセンターの病棟の東西にのびた廊下の端に立って見渡すと、東には石鎚山を中心とした山並みを、西には伊予灘と海に浮かぶしまなみを見ることができますよね。きれいな景色だなぁ…思わず独りつぶやいてしまいます。石鎚の山々は、春、夏、秋、冬でそれぞれにたたずまいを変え、いつも元気に挨拶してくれます。伊予灘は、特に夕日が沈む頃に、道後平野の人の営みを包み込むように、ひときわ輝いて、これまた元気に挨拶してくれます。

それぞれの景色

それと、ここからみる青空は、これが青だ、といわんばかりにきれいでしょう。それも、雨がざーっと降った後の空は、周りの景色の色合いとともに、その青さに心が洗われるようです。患者さんたちが、東西の窓際で遠くを眺めているのをよくみかけます。「ここからの眺めはきれいでしょう!」「ほんとにきれいですねぇ。心が洗われるようです。」「どれが石鎚だかわかるんですか。」「ああ、あれが石鎚で、あれは瓶が森で、あれが、笹ヶ峰ですよ。」と教えてくださるのは、年配の患者さんです。お恥ずかしながら、私にはいまだにどれがどれなのかはっきりわかりません(-_-;)。ただ、きれいだとは思うのですが・・山にしかられそうですね。ある患者さんのお話しです。手術を終えてしばらくたち、状態も落ち着いてきました。車いすで、窓際まででてこられていました。東の山並みの方を眺めていらっしゃいました。「今日は一段ときれいな青空ですねぇ。」「そうじゃなぁ、ほじゃけど、これは、ほんとの空の青じゃないけーな。」「えっ??」「うち方の空はもっともっと青いでぇ、うちほうへきてみなさいや。」そうか、確か彼のふる里は、愛媛の南のほうだったなぁ…彼の目には、心の中には、ふるさとの空の青がしみこんでいるんですね。自分の感情を押し付けた私が恥ずかしくなりました。その彼も、ほどなく退院して、今は、ふるさとの大好きな空の下で暮らしておられます。

とっておきの、でもかなりマイナーな?景色

見上げた空

でもね、私の一番好きな病院内のとっておきの景色は、別のところにあるんです。こっそり、お教えしましょう(*^_^*)。ただし、しょうもなー、なんて言わないでくださいよ。病院東側の伊予の細道の内側に、車道がありますよね。朝、毎日のようにその道を歩いて病院へと入っていくのですが、病院の建物にさしかかったころに、ちょうど下り坂になる頃ですかね。いつも西の方へと病院を見上げるんです。病院のあわいグリーンの壁が、青空を鋭角に切り取って…「うわっっ、きれい!」この二つの色合いだったからこそ出せた。びみょーなバランスだと思いますね。晴れた日は、いつもこの景色にあうことができ幸せです。ちょっと変ですかね??

さて

東側と、西側の景色だけのことを書いてしまいましたね。これじゃあ、南側と北側がおこりそうです。いえいえ、それぞれにすばらしいですよ!又の機会に、ご紹介しましょう。

さて、さて…

あなたの心の中には、どんな景色がありますか?

栗田 啓