四国がんセンター

四国がんセンター広報誌がんセンターニュース

29年10月 第61号がんセンターニュース

まえがき

『仕事と生活の調和』

政府は日本経済再生に向けて、最大のチャレンジは働き方改革で、「働きかた」は「暮らし方」そのものであり、企業文化、ライフ・スタイル、働くと言うことに対する考え方そのものに手をつける改革であるとしています。(2017年(平成29年)3月28日働き方実現会議議事録より)

勤勉な日本人が世界でも評価されていますが、働き方を見直す時期がきているのではないでしょうか。長時間労働を削減し、ワーク・ライフバランスを見直し、子育てや家族・仲間との交流の時間を増やすことで生活にゆとりが生まれ、柔軟な発想が可能となり改革に繋がるでしょう。現在日本は外国と比較すると労働時間が長く労働生産性も低いとされています。経済協力開発機構(OECD)によると2015年(平成27年)の日本人の労働時間は年間1700時間超で、フランス1482時間やドイツ1371時間と比較すると長いのが現状です。また労働時間と生産性(一人当たりのGDP÷労働時間)には負の相関があると言われており、長時間労働での生産効率が悪いことがわかっています。労働生産性の向上とワーク・ライフバランスの調和を同時に達成する改革が求められています。

当院でも今年の5月に中間管理職の合宿研修を行い、そこで検討した意見の中から6つのテーマを選び、病院推奨のプロジェクトチームを起ちあげて改革を進めています。その中のひとつに働きかた改革として「子育て支援」をテーマにしたプロジェクトチームがありますが、そのチームで検討する意見を病院として真摯に考えることを開始しました。子育て・介護などが必要な職員への支援を充実させるためはどのようにすれば良いかを医療の質向上委員会がチームの活動をバックアップし、仕事と生活との調和の実現に向けて改革を進めてまいります。

GDP(Gross Domestic Product):国民総生産

(特命副院長 医療の質向上委員会 河村 進 )

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がん治療最前線 リンパ管細静脈吻合術

がんの治療としてリンパ節郭清(リンパ節を一部取り除くこと)が行われる場合があります。 例えば乳がんの手術において腋窩(えきか)リンパ節郭清が行われることがあります。術後数ヶ月は手術としてのむくみ、腫れがあり通常徐々に引いてきます。しかし、手術が行われて数年後に、手術をした側の腕のむくみが取れにくくなってきた、腕周りがより大きくなってきた、ということがあります。腋のリンパ節を切除したことで腕のリンパの流れが悪くなったことにより排出しきれなくなった成分が腕に過剰に溜まって起こってきた状態で、リンパ浮腫と呼ばれています。

そのむくみに対しては1:弾性着衣(スリーブやグローブ)や、弾性包帯(バンテージ)による圧迫、2:圧迫療法をしている状態での運動療法、3:リンパドレナージ、4:スキンケアなどを組み合わせた複合的治療が有効とされています。

むくみに対しての手術療法としてリンパ管細静脈吻合術というものがあります。郭清部より遠位のリンパ管を静脈と吻合(ふんごう)することで、リンパの流れの一部を静脈へバイパスさせることにより、浮腫の低減をはかります。リンパ管自体は直径約0.5mmと大変細いものです。それを直径0.01mm(髪の毛は太さ0.1mmと言われています)の糸を用いて血管とつないでいきます。

手術は、リンパ管造影を行い、リンパ管の流れを確認し、血管との位置関係から手術に適した部位を検索します。皮膚を2cm程度切開しリンパ管と血管をつないでいきます。局所麻酔で可能なので体の負担は少ないのですが、手術時間はおよそ2時間程度かかります。手術の有効性としては6割程度と言われています。手術単独では効果が少ないと考えられ、先に述べた複合的治療と組み合わせる必要があります。

リンパ節郭清後のむくみを感じられている方はリンパ浮腫外来を受診してください。

 

(形成・再建・皮膚腫瘍外科医師 山下 昌宏)

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イベントレポート 七夕まつり

7月6日18時00分から、2階待合ホールで毎年恒例の七夕まつりを行いました。

出演は、四国がんセンター院内保育園「くにたち保育園」からたくさんの園児たちと、今年四国がんセンターに入職した新人看護師、そして、昨年に引き続き愛媛大学教育学部の学生さんたちでした。

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可愛らしい園児たちは、ダンスと歌声を披露してくれました。この様子には、会場にいた誰もがたくさんの「元気」を貰い、自然と笑みがこぼれる「癒し」の空間を作り出してくれました。新人看護師たちは、まず七夕にまつわるお話とクイズで、その場の雰囲気を和ましてくれました。そして世界中のたくさんの人が知る、坂本九の「上を向いて歩こう」、昨年大流行した星野源の「恋」を、歌やダンス、手話を交えて披露しました。まだ仕事に慣れない中、業務が終わった後にみんなで集まり、当日ぎりぎりまで一生懸命練習しました。その甲斐あってか、本番では息の合った演技で会場を沸かせました。最後は、愛媛大学教育学部の学生さんたちが、エレクトーン、金管楽器、木管楽器、ピアノの生演奏を披露してくれました。普段なかなか身近では聞くことのできない楽器のソロ演奏や、アンサンブルに会場にいた誰もが酔いしれました。

催しの様子は、院内の病棟のテレビで生中継させていただきました。今回、残念ながら会場へ足を運べなかった患者さんにも、病室でお楽しみいただけたことと思います。 最後に、今回出演していただいた、くにたち保育園の園児と先生方、愛媛大学教育学部の皆様、新人看護師、運営にご協力いただいたスタッフの皆さまに心より感謝いたします。そして、来年も七夕まつりを開催することができ、皆様と一緒に楽しいひと時を過ごすことができることを天の川にお祈りします。

(7階西病棟 副看護師長 紣谷 和秀)

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エキスパートナース・メディカルスタッフ Part.37 ROSE(ベットサイド迅速細胞診)

四国がんセンターでは、ベッドサイド迅速細胞診(repid on-site cytologic evaluation;ROSE)を病理業務に携わる臨床検査技師で、細胞検査士の資格を有する技師が行っております。

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ROSEは、患者さんが気管支鏡検査などの検査を受ける場合に行います。いつもは病理検査室にいる細胞検査士が検査をしている現場まで行き、素早く標本作成し、顕微鏡で瞬時にその後の治療方針の決定に必要な細胞量が採取されているか、良性・悪性の予測など、わかる範囲で検査医師に伝えます。現在、依頼がある場合は気管支鏡検査だけでなく、CTガイド下針生検、頭頸科、整形、内視鏡検査などのROSEも行っております。

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最近は採取した病理組織を用いて治療方針を決定するコンパニオン診断(医薬品の効果や副作用を投薬前に予測するために行なわれる臨床検査のこと)が多くのがんで行われるようになっているので、ROSEの役割もますます重要になってきており、私達、細胞検査士の経験や知識、迅速な判断力が求められるようになってきております。

四国がんセンターではROSEを始めて約4年になりますが、検体採取を担当する医師からは、検査の正診率が向上し、適切な治療法選択に役に立つので、もはや四国がんセンターには欠かせないものだと評価されています。

今後も、さらに増えるコンパニオン診断において患者さんに、より良い治療を提供できるようROSEに対する精度管理を行い、精度向上を図りたいと考えております。

(副臨床検査技師長 山本 珠美)

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愛される食事作りを。 「食中毒を防ぐ!!」

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皆さん、食中毒予防の3原則を知っていますか。

食中毒の原因となる細菌やウイルスは目に見えませんが、食材に付着したり、自分自身の手についていたりする可能性もあります。キッチンのスポンジや布巾、シンク、まな板などありとあらゆるところに潜んでいると考えても過言ではありません。

ですから、食中毒の原因菌を食べ物に「1、つけない」、食べ物に付着した菌を「2、増やさない」、食べ物や調理器具に付着した菌を「3、やっつける」ことが予防の3原則となります。

これらはご家庭で実践できる内容です。食中毒予防のためにも皆さん、今一度ご自分の行為を振り返って確認してみてください。

病院のお食事はさらに厳しい衛生管理の下で作られています。安全・安心な食事づくりにこれからも努めて参りたいと思います。

(栄養管理室 鎌田 裕子)

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お世話になって医ます 平林胃腸クリニック・宇佐美消化器クリニック

四国がんセンターは、初診患者さん全てが地域の医療施設からのご紹介です。ここでは、かかりつけ医の皆さまからうかがった、様々なご意見をご紹介します。

平林胃腸クリニック

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今回は今治市の「平林胃腸クリニック」を訪問させていただきました。

院長の平林靖士先生は、1980年(昭和55年)に愛媛大学をご卒業され、愛媛大学第3内科助手を経て、1986年(昭和61年)から1992年(平成4年)まで四国がんセンターに勤務されておられました。その後、ご実家が今治ということで、1996年(平成8年)に開業されました。日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会指導医として、消化器病、特に胃腸疾患を中心に地域医療に貢献されておられます。実は、私の実家はクリニックのすぐ近くにあり、今回、少し懐かしい思いに浸りながら訪問させていただきました。


クリニックの特徴を教えてください。

「質の高い消化管内視鏡の診断と治療」を地域の方々へ提供することをクリニックの方針とし、上部3000件、下部2000件、年間合計5000件の内視鏡検査を行っています。以前は検査までお待たせすることもあったのですが、最近では翌日には内視鏡検査ができる体制をとり、少しでも早く検査をしてほしいという患者さんのニーズにこたえるようにしています。消化管疾患に特化したクリニックになりますが、その分、精度の高い診療を心がけています。

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平林胃腸クリニック 平林 靖士 院長(左)
消化器外科医長 羽藤 慎二(右)

四国がんセンターに期待することや連携時の要望はありますか?

消化管のがんが見つかった時、どこの病院に紹介してほしいかと患者さんに問うと、多くの方が四国がんセンターを希望されます。今治の患者さんは、がん治療に関して、がんセンターに大いに期待されています。FAX紹介では、迅速に対応いただいており、特に不満はありません。当院の生検診断はがんセンター病理にお願いしているなど、今後も連携を深めていきたいと考えています。また、ピロリ除菌など消化管に関することで協力できることがあればいつでもご連絡ください。

お話を伺っている間、終始、柔らかい物腰で丁寧に対応いただきました。今治市のみならず、口コミで遠方からも多くの患者さんが来院されていると伺い、先生の温厚なお人柄の賜物と感じました。四国がんセンターでは患者さんやクリニックの先生方の期待に応えるため、よりよい連携を目指した体制作りを継続してまいります。今後ともよろしくお願いいたします。

(消化器外科医長 羽藤 慎二)

宇佐美消化器クリニック

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当院へ数多くの上下部消化管疾患のご紹介をいただいている松山市和泉南町の宇佐美消化器クリニックを訪ねて参りました。松山南環状線の喧騒を離れた川べりにたたずむ、茶色を基調にしたシックなクリニックです。松山ご出身の宇佐美先生は私青儀と大学の同級生で、1985年(昭和60年)に広島大学を卒業され、愛媛大学第3内科に入局、以後済生会西条病院、済生会小田病院、愛媛県立中央病院で消化器内科医として研鑽を積まれ、2002年(平成14年)6月に宇佐美消化器クリニックを開業されました。

ご診療の特徴、先生のモットーを教えて下さい。

30歳台の大半を過ごした愛媛県立中央病院時代は、消化器疾患の治療内視鏡に明け暮れた毎日でした。開業後もその延長上で仕事をさせていただいており、現在、当院は年間約4500件前後の上部・下部消化管内視鏡検査件数をこなす消化器内視鏡専門施設的特徴を持っています。そこから拾い上げる消化管がんは松山の医療圏の基幹病院にご紹介させていただくことになり、当然四国がんセンターにも多くの患者様がお世話になっています。

毎日の診療はどうしても内視鏡検査が中心になり、外来診察時間は一日3時間半くらいに絞っていますが、常日頃肝に銘じていることは、「決して内視鏡屋に成り下がらないこと、医の心を持ち続けること」です。

胃カメラも大腸カメラも、医療機関で行う諸検査のなかでは苦痛度最上位の検査であり ほとんどの患者さんは初めてではなくても皆さん大きな不安や緊張を抱いて検査に訪れます。その不安や緊張を少しでも和らげられるようなクリニックならではの温かい気配りの効いた対応をスタッフ共々心掛けています。

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宇佐美消化器クリニック 宇佐美 明彦 院長(右)
臨床研究推進部長 青儀 健二郎(左)

ご趣味は?

ゴルフ、ドライブといったところですが、診療でなかなか時間が取れません。スタッフと美味しいものを食べて気晴らしをします。

当院に対するご要望はありませんか?

身近にがんの専門病院があって、全国区でご活躍される優秀な医師が各診療科におられ、高度で最先端のがん治療が受けられる松山の医療圏のがん患者さんは幸せだと思います。紹介状に対するきめ細かいご返信も大変有難く思っています。がん診療の拠点としてさらに先進的な質の高い医療を目指して頑張ってください。

クリニックに入ってまずスタッフの方のご対応を含め細やかな心配りに満ちていることに気付きました。宇佐美先生の温かいお人柄によるものと思われました。診療実績も素晴らしく、今後も地元の方から支持され、当院とも連携を取っていただけるクリニックとしてご活躍を祈念します。

(臨床研究推進部長 青儀 健二郎)

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診療科紹介 感染症・腫瘍内科

img_20171106_3.jpg         抗菌薬ラウンドの風景

感染症の問題は国内だけに止まらず世界的な健康危機として認識されています。全世界で薬剤耐性菌を減らすための国家的戦略としての薬剤耐性アクションプラン(AMRアクションプラン)が発表され、世界規模で薬剤耐性菌を減らすための活動が始まりました。日本も2016年から耐性菌を蔓延させないため具体的な成果目標を提示し国を挙げた対策を行っています。

このような時代の流れに対応し、感染症のリスクを減らし安全にがんの治療を受けていただけるよう、感染症・腫瘍内科は院内ICT(Infection control team)と連携し病院内でおこる感染症を防ぐための様々な活動を行っています。

四国がんセンターで起こる感染症の特徴として、1.がんに対する各種治療(抗がん剤、手術、放射線治療)に合併して発症すること、2.免疫力の低下した患者さんが多く入院していることがあげられます。そのため、感染症の対応が遅れると重症化しやすく、かつ患者さんの間に感染が広がる危険性が常にあると考えられます。

より早く感染症に対処するため、ICT活動の一環としてモーニングカンファレンスを行い、病院全体から提出された培養検査を毎日確認しております。また愛媛県下の主要な病院と連携し、より充実した感染活動となるようお互いに連絡体制を整えております。また感染症が起こった場合、感染症・腫瘍内科は各科の先生と共同で治療にあたり、専門的な視点からより効果的に感染症を直すための治療方針を提案しています。

がん治療の経過中に発症した感染症を適切に治療でき、患者さんが安全にがん治療を続けていただけるよう感染症・腫瘍内科はこれからも活動していきます。

(感染症・腫瘍内科医長 濱田 信)

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医者のつぶやき リレーエッセイ 第一回 ワルの誕生

前回惜しまれて終了した栗田名誉院長の「患者の言い分、医者の言い分」の後を受け、今回からリレーエッセイを始めることになった。

さて、皆さんは『超人血盟軍』をご存知だろうか? 我々のバイブルである『キン肉マン』に登場する超人軍団の一つだ。その首領であるキン肉アタルの数々の名言の一つに強豪マンモスマンに圧倒されたバッファローマンに対してかけた言葉がある。

「このタッチは恐怖から逃げるためにわたしに助けを求めているものだ。こんな弱気なタッチは受け取れん」

私もこの言葉に従い、恐怖から逃げず、広報誌に適切な内容かどうかは気にせず、存分に書くまで誰にもタッチすまいと決意した。

私は30年目の病理医、四国がんセンターに赴任して16年目になる。そこそこの古株なので何十年も修行してきた病理医の枠の外の仕事を色々抱えるようになり、毎日大きなストレスを抱えている。ある日、バイクが欲しいという妻と一緒に行った中古屋の片隅に古くてぼろくて長くてハンドルがやけに高い、乗り物としては無駄な要素の塊であるスティード(ホンダの中型アメリカンバイク)を見た私は一気に決心した。『そうだワルになろう』

少しぽっちゃりだが生来健康、実家から大学に通い、大学院まで計10年の最短で卒業し、一人の妻に四人の子供とまじめに50年余の人生を送ってきた私はワルになるべく選ばれた人間だった。次の日から教習所に通い、2年前の夏、私は晴れて路上のワルになった。

伝統的なバイカーのダブルの革ジャンで自分のキャラの旗を立てた70年代テイストのバイクにまたがり、法規内音量のノーマルマフラーをぴかぴかに磨いたり、遠回りしてうちに帰ったり、ツーリングのたびにソフトクリームを3回食べたり、ま、さ、に、したい放題…

自分のキャラの旗

さて、早くも紙面がつきたので、法令と近所迷惑を気にするワルとして、不要な生命の危険と隣り合わせで今日も走る私の話は、以下次号

(がん予防・疫学研究部長 寺本 典弘)

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