四国がんセンター

四国がんセンター広報誌がんセンターニュース

28年1月 第54号がんセンターニュース

まえがき

皆さまあけましておめでとうございます。

昨年は、毎年のことではありますが、いろいろな事件がありましたね。日本では、特に、国民の信頼を裏切る行為が目立ったように思います。建築のくい打ちのデータ偽装、有機肥料の配合偽装なんか最たるものですね。いずれも、かなり以前より行われていたようです。信頼を裏切るものとしては、私たちの医療の分野でも、群馬大学の腹腔鏡下手術や神戸における生体肝移植での高い死亡率が問題になりましたね。

私たち四国がんセンターでは、院長以下全職員が常に気を配って安全・安心な医療の提供に努めています。生体を扱う以上、残念ながら100%安全と言うことはありません。が、毎週、全職種から委員を募って医療安全に関する会議を開いていますし、手術をはじめとした治療の前には、必ず診療科ごとに複数の目をとおした検討会があります。月に一回ではありますが、病院幹部による医療安全に関する報告・検討会を開いています。治療上におこったインシデント、アクシデントの際には院長にも一報が入ります。内容によっては、臨時の会議を開くこともあります。前述した二つの施設にはこのようなチェック機能が欠けていたようですね。

さて、ご存知のように、昨年から、高島屋ローズホールで院外へ向けてのがん医療に関する講演会を開いています。年3回の予定で定期的に各診療科ごとの診療の現況をお知らせしていこうと考えています。最新の治療に関する話題もお話ししています。今や、二人に一人ががんになると言われていますが、治る人の方が多いのです。それにはがんの早い段階で見つけることが一番です。いたずらに怖がるだけでは袋小路に入ってしまいます。正しい知識・知恵をつけていただくために職員がボランティアで開く会です。このことに関してこちらで野上第二病棟部長が詳しく述べています。

他にも、自治体からの依頼をいただいて、松山市、今治市、西条市、大洲市、東温市などへ出向いて、がんに関する講演をしています。内容は様々ですが、緩和ケアや心のケアに関する依頼が多いですね。1昨年からは、小学生から高校生まで、子供たちへのがん教育も始めました。

これとは別に、患者さんを紹介してくださるかかりつけ医の先生方とも、交流を図っています。紹介医の方々とは、FAXや電話などでの連絡が多く、直接会ってお話をする機会がなかなかありません。医師会の場がありますが、診療が忙しくなかなか出ることが出来ないのが現状でした。そこで、会場を借りて、診療して下さる先生方をお招きし、当方の診療科ごとの状況をお話しし、そのあと、懇談会を設けて、お互いの顔の見える、また、キャラクターもわかっていただける会を設けることにしています。昨年は、松山市と今治市で交流会を設けました。

今年も様々な試みをして、がんと言う名の敵に立ち向かって行きますので、皆様のご理解とご支援をおねがいします。

(院長 栗田 啓)

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イベントレポート 2015年(平成27年)度 第1回 愛媛県がんのリハビリテーション研修~QOLの向上を目指して~

愛媛県がんのリハビリテーション研修

11月21日(土曜日)・22日(日曜日)の2日間にわたって「愛媛県がんのリハビリテーション研修」を、当院本館研修室、新館研修室および暖だんのミーティングルームを使用して開催しました。2010年(平成22年)度診療報酬改定で、がん患者リハビリテーション料が新設され、算定要件として、リハビリスタッフおよび医師が、がんのリハビリテーション研修会を終了することが必須とされています。これまで、がんのリハビリテーション研修会は一般財団法人ライフ・プランニング・センターが主催で開催されていましたが、希望受講者の増加に伴い、各都道府県でも同等の研修会を開催できるシステムが構築されました。この研修会を終了することで、「がん患者リハビリテーション料」に関する施設基準のうち、適切な研修の要件を満たすことになります。四国では学会主催の形式を除いて初の開催となりました。今回の企画・開催は、松山リハビリテーション病院院長の木戸保秀先生の愛媛県での開催についての強いご要望と、また実行委員長を当院院長と共催の形で引き受けていただいたことで実現いたしました。参加施設は愛媛県内10施設、県外10施設で、合計人数115名の規模で開催されました。1日目は朝9時から午後7時まで、2日目は朝9時から午後3時30分までグループワークを含めて行われ、長丁場にも関わらず、皆さん最後まで熱心に参加されておられました。がんのリハビリでは骨にがんが転移していても、可能な動作を患者さんと一緒に考えながら行っていくのですが、がんのリハビリ導入前はこのようなケースではリハビリは禁忌とされていました。またリハビリの教育現場でも、現状ではがんについて学ぶカリキュラムが十分整っていません。主な講義の内容は、周術期(あらゆるがん種について)、進行期、緩和期の各々ステージごとのリハビリ、化学療法や放射線療法中のリハビリ、心のケアとリハビリ、摂食嚥下のリハビリ、口腔ケア、リハビリにおける看護師の役割についてで、院内、院外から招聘したスタッフにより講義が行われました。今回は第1回の開催で不慣れな点など反省点はありましたが、研修後のアンケートでは大方満足できたとの回答をいただきました。次回開催日程は今のところ未定ですが、その折には是非愛媛県内施設のご参加をお待ちしておりますので、ご検討よろしくお願いもうしあげます。

(整形外科医長 杉原 進介)

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がん治療最前線 がん登録

1月1日、ついに『がん登録推進法』が施行されました。新しく国家事業として行われる『全国がん登録』と、『院内がん登録』に関する法律です。

がん登録では、発生した一つ一つのがんについて、患者さんの住所・生年月日やがんの発生部位や進行度、治療などが登録されます。

地域のがんの発生や生存率を把握するため、これまで県単位で『地域がん登録』が行われてきたのですが、法的な裏付けがないために、地域別の差を把握できるほどの情報が十分収集できませんでした。しかし、『全国がん登録』では全ての病院ががん登録に参加する義務を負います。それにより、全国各地の正確ながんの現状を把握した上での対策が行われるようになります。

一方、『院内がん登録』は、その施設内で診療したがんのデータベースです。全国がん登録が、地域のがんの状況を把握するものであるのに対し、院内がん登録はその施設のがん診療を把握するためのものです。マスコミ等で話題になる施設別生存率などはこれを利用したものです。各施設で集計するのみならず、全国規模では国立がん情報センターが『院内がん登録全国集計』を、愛媛県ではがん診療連携協議会がん登録専門部会が『がん登録で見る愛媛のがん診療』を毎年発刊して、がん拠点病院の診療の状況を集計解析しています。

一般の方は、がん登録で個人情報が集められることに関して不安があるかもしれませんが、厳格なセキュリティーの規定と利用規則が設けられており、違法な使用には罰則があります。

四国がんセンターは、自院の院内がん登録をおこなうだけではなく、愛媛県の都道府県がん診療連携拠点病院としてがん登録の精度向上と利用のために活動しています。また、地域がん登録に引き続き、県から委託されて愛媛県の全国がん登録を担当します。個人情報に関する規則を守り、新法施行後の今後も、質のよいがん情報が愛媛県のがん診療の裏づけとなっていくよう活動していきます。

(病理科医長 寺本 典弘)

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エキスパートナース・メディカルスタッフ Part.30 がん化学療法看護認定看護師

2015年7月にがん化学療法看護認定看護師になりました。現在は通院治療室で勤務しており、患者さんが安全に治療を受けることができるよう支援を行っています。また、患者さんやそのご家族に副作用症状への対処方法や日常生活の過ごし方について説明したり、相談を受けたりしています。がん化学療法の看護は治療開始前から始まります。患者さんやそのご家族が納得して治療を選択するための意思決定支援や精神的側面への支援です。治療が始まると、根拠に基づいた副作用対策を行います。副作用には薬剤の種類によって特徴的な症状もあれば、患者さん個々によっても症状の感じ方が異なります。そのため看護師は訴えに耳を傾け、その体験を理解しようと気持ちに寄り添うことが重要です。そして、どのように解決できるか様々な職種を巻き込んで話し合わなければなりません。この数年の間にがん化学療法を行う場は病棟から外来・在宅へと移行しています。患者さんが副作用の予防、早期発見、対処を行いながら、治療と日常生活を両立できるよう支援していきたいと考えています。治療薬や医療技術の進歩は目覚しく、日々の業務や学習に追われてばかりですが、患者さんや医療スタッフとの関わりの中でたくさんのことを学びながら認定看護師として成長していきたいと思います。みなさま、どうぞよろしくお願いします。

(がん化学療法看護認定看護師 久保 知之)

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がんセンターだより 四国がんセンターフォーラム

四国がんセンターフォーラム

『がん』という病気は日本人にとって本当に身近な病気になっており、親類・家族に『がん』に罹患されたことがある方が必ずといっていいほどおられるのではないかと思いますが、その一方で、その原因や予防法なども含め、意外と知られていないのが現状ではないか、とも思われます。四国がんセンターでは、『がん』という病気をより詳しく県民の皆様に知っていただくために、本年から伊予鉄高島屋ローズホールで年3回『四国がんセンターフォーラム』を開催しています。本年は第一回で、『がん』という病気についての総論、最近増えている乳がん、前立腺がんについて、第二回では消化器がん、婦人科がん、リンパ浮腫について、また第三回には頭頸部がん、肺がん、放射線治療について、各領域の専門家の先生に幅広い解説を分かりやすくお話ししていただきました。さらに四国がんセンターがいかに地域のがん診療や世界のがん研究に貢献しているかについても、”四国がんセンターの実力”と題してお知らせいたしました。また、各疾患の説明だけでなく、ご来場の方々の健康に関する質問に各専門医がお答えする『よろず相談コーナー』も大変好評で、数多くのご質問に対応させていただいています。

四国がんセンターフォーラムは今後も年3回で継続して行っていく予定です。今後のフォーラムで取り上げていくテーマにつきまして、ご要望等がございましたら、是非お知らせください。

(第二病棟部長 野上 尚之)

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お世話になって医ます 小国皮フ科医院 友愛医院

四国がんセンターは、初診患者さん全てが地域の医療施設からのご紹介です。ここでは、かかりつけ医の皆さまからうかがった、様々なご意見をご紹介します。

小国皮フ科医院

小国皮フ科医院外観

皮膚疾患全般の診療をされている小国 隆先生のクリニックを訪問しました。当院形成外科に皮ふ腫瘍(良性、悪性)症例を多く紹介していただいています。お子さんにもやさしくしっかりと診てくださると評判の先生にお話を伺ってきました。


クリニックの特徴を教えてください。

「治る病気は早く治し、治ったからもうこなくていいよって言えるように心がけています」と大きな声で豪快におっしゃられていました。同行した当院連携室の看護師長も小国 隆先生が開業されて間もないころに診ていただき、「治ったからもう来なくていいよ」と言われたそうです。

この場所に開業されたきっかけを教えてください。

「開業して19年になります。松山は研修医が終了した1982年(昭和57年)から3年間、愛媛県立中央病院皮膚科で多くの重症熱傷治療を行った後に、徳島大学皮膚科に帰りました。その後、香川県と唐津(九州)の関連病院へ出向した後に開業しようと考えました」先生のご実家は香川ですが、奥さまの故郷の松山での開業を決められたとのことです。その頃はまだ松山インターが建設中でしたが、将来発展するだろうと思いこの地を選ばれたそうです。

当院へのご要望は

「いつ受診できるかわからない患者さんには、紹介状を持たせていますので当日の予約なし受診でも診てやってください」とのことでした。当日受診の患者さんもできるだけお待たせすることの内容に取り組みますと返事をいたしました。

現在はまっているご趣味はありますか?

先生のご趣味はと伺ったところ、鮎釣りがご趣味で「愛媛県では面河川(御三戸)で釣りをしますがここの鮎が美味しいです。また九州の球磨川にも年に何度も出かけますがここの鮎もそうとう美味しいですよ」と楽しそうに熱弁されていました。車での移動は長時間でも苦にならないとのことで九州はもちろん、遠くは青森の竜飛岬までいらっしゃったそうです。さすがに北海道へは行っていないとのことでした。

小国皮フ科医院院長と当院医師の写真
小国皮フ科医院院長 小国 隆 院長(右)
外来部長 河村 進(左)

最後に医院の玄関で一緒にお写真を撮らせていただきました。楽しいお話をお聞かせいただきありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。

(外来部長 河村 進)


友愛医院

友愛医院外観

今回は、四国がんセンターから近い友愛医院の亀井 敏光先生を訪問しました。

亀井 敏光先生は生粋の松山生まれ松山育ち、1982年(昭和57年)自治医科大学卒です。県内の山間部・島嶼部で地域医療にたずさわり、義父母の友愛医院を手伝う形で1991年(平成3年)に開業されたそうです。以来、「全人的・包括的・継続的に地域医療に尽くしたい」をモットーに、通院困難な状態であれば在宅医療まで関わられてきました。特に在宅医療に関しては20年以上にわたり、人工呼吸器装着の小児の在宅医療には松山でまだ誰も対応できなかった時代から取り組まれたそうです。今も松山市医師会の松山市在宅医療支援センターの運営を指導されています。第6回四国在宅医療推進フォーラム「市民目線の在宅医療」(2016年2月20日午後5時から、松山市市民会館中ホール)の実行委員長を担当されるそうです。この記事をお読みの皆様もぜひご参加ください。

普段の診療では、マルチスライスCTを備えるなど幅広い疾患の診断レベルを高くし、地域の総合診療医として的確・迅速に治療に結び付けることを心がけているそうです。四国がんセンターからも上部消化管の内視鏡検査やがん治療後の継続診療について通院・在宅から入院療養までいつも快く引き受けてくださっています。日常の診療連携に感謝しつつ、今後益々のご活躍を祈念したいと思います。

友愛医院院長と当院医師の写真
友愛医院 亀井 敏光 院長(右)
副院長 谷水 正人(左)

このたびの訪問に際しては1日の診療終了後お疲れのところに応じてくださり、誠にありがとうございました。自治医科大学の精神と過疎地の医療経験に裏打ちされた総合診療医としての実力を背景に活躍されている様子が伺われ、まさにこの地域の頼りになるかかりつけ医だなあと改めて感じました。

(副院長 谷水 正人)

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診療科紹介 呼吸器外科

呼吸器外科スタッフ集合写真

呼吸器外科では肺癌を中心に縦隔腫瘍(胸部で左右の肺、心臓と、肋骨や背骨に囲まれたスペースを縦隔と言います)、胸壁の腫瘍や、薬部治療効果の少ない肺の炎症性疾患と、当院では少ないですが気胸の手術が主に対象となる疾患です。今年10月から杉本を岩国医療センターから末久と交替で迎え、山下、澤田、上野の4人の呼吸器外科専門医で外来を担当し、ローテーションで回るレジデントとあわせ5人で診療に当たっております。年間250件前後の手術を麻酔科の先生方の協力を得て行っており、手術の約8割が胸腔鏡手術となっています。特に肺癌手術件数は毎年約200件と全国でも有数の手術件数で、徳島・香川・高知の西部や広島県の島嶼部からも手術を受けに来られます。

80歳を超える高齢の患者さんも多く、最近では年間20人を超えるようになってきています。特に肺の手術では、肺切除により肺活量をはじめとする呼吸機能の低下が危惧されますが、外来受診時から禁煙指導や呼吸訓練、気管支拡張薬など可能な限りの手段を用いて、安全かつ身体への負担を少なくする方法での治療を心がけています。

しかしながら重喫煙者の方では、肺だけでなく心臓や脳血管障害を合併していることも多く、合併疾患のために全身麻酔自体の危険性が高いことが危惧される場合は、呼吸器内科・外科・放射線科の先生方と相談して様々な治療を患者さんの個別の特性に合わせて行うようにしております。ほかの施設で手術困難といわれた方でもご相談ください。また、手術では病巣は完全に切り取れても、ある程度病期の進んだ肺癌では抗がん剤治療を追加することが標準になっています。特に肺腺癌では高度先進医療制度を用いた臨床試験に四国で唯一参加しており、患者さんに最新の治療を受けていただけるよう勤めています。

(婦人科医長 竹原 和宏)

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