四国がんセンター

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最新のがんセンターニュース

まえがき

新年あけまして、おめでとうございます。

年明け早々に昨年を振り返るのは恐縮ですが、2018年は実に騒然とした年でした。国際社会をみると、中東問題は収まらずイラン米国対立は悲しい状況。EUは国家間・国民間に亀裂が生じ、英国は迷走中。北朝鮮の核問題が解決に向かうと思いきや、中国と米国は経済戦争へ突入しました。自国ファーストの指導者の台頭は最悪です。2018年は新たな世界冷戦勃発の年として後世に記録されるでしょう。韓国の内政混乱により日韓関係も不穏で心が痛みます。振り返って国内では将来に禍根を残すかもしれない多くの政策があっという間に決まりました。やみくもに反対というわけではありませんが、決定へのプロセスはどうなのだろうと思ってしまいます。あまねく民主主義の劣化が激しく、世界で今を乗り越えられるのは独裁体制だけなのでしょうか。今年の日本はうまくやってほしいと心から願わないではいられません。

私の周辺も昨年は激動の年でした。がん医療は革命が勃発しました。昨年、当院はがんゲノム医療連携病院の指定を受け、がんゲノム医療外来、遺伝性がん診療科(家族性腫瘍相談)、ハイリスク検診を発足させました。さらに体制を強化していく必要を感じています。

昨年から急浮上した「働き方改革」は今年からは特に重要です。先日、本屋で偶然「会社の中はジレンマだらけ」(本間浩輔、中原淳著 光文社新書)を手に取りました。会社も病院も生じている問題は似たり寄ったり。内部でお互いの意思疎通を強化し、信頼関係を築くことが大切という論調で、その方法論が事例を交えて紹介されていました。いま当院は内憂外患に揺れ動き、職員からは厳しい意見が寄せられ、幹部は改めて奮起しています。院内のコミュニケーションが不足していると感じ、私は少し前から「コーチング」を習い始めました。「部下が何を考えているか知っていますか」と聞かれて、職員のことを全く知らない自分に気がついたからです。その後、職員の話を聞く時間を定期的に持つようにしました。己のことながら今後の成果に期待しています。

病院の課題は山積していますが、できることから一つずつ片づけていこうと思います。やるべきことをやりながら、その上で『客観的に組織の活力を評価し、システミックなコーチングを導入したい』、これが私の今年の目標です。そして皆さまから信頼されるいい病院であり続けたいと願っています。

今年は猪突猛進。すべての皆さまにとって、今年がいい年でありますように!

(院長 谷水 正人 )

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がん治療最前線 遺伝性がん診療科2 サーベイランス

がんの予防・早期発見のために大切なのは、生活習慣の改善やがん検診。一度は耳にしたことがあると思います。もちろん、これで100%安心とはいきませんが、大事なことなので長らく言われ続けているのです。しかし、医学の進歩とともに、「がんへの対策」にも少しずつ選択肢が増えてきました。今回は四国がんセンターの新しい対策をお伝えします。

近年、「遺伝性腫瘍症候群」という、遺伝的にがんにかかりやすい体質があることが明らかになってきました。これは原因となる遺伝子に生まれつき変異があるために、特定のがんにかかりやすい体質のことです。決して稀な体質ではないことも分かってきました。

四国がんセンターの遺伝性がん診療科は、この遺伝的にがんにかかりやすい体質の方を対象とした診療を行っています。遺伝性腫瘍症候群の可能性がある方の相談、遺伝子の検査、そして体質に合わせた検診です。残念ながら、体質自体を変えることはできません。けれど変異のある遺伝子の種類によって発症しやすいがんや、その発症年齢がある程度わかっているため、その特徴に合わせた「特別な検診プログラム」を行うことでがんの予防・早期発見を目指すのです。この特別な検診を「サーベイランス」と呼び、一般的ながん検診と区別しています。

がんにかかりやすい体質を持っている方へ適切な健康管理を提供し、がんの発症を防ぐ、もしくは早期発見して体に負担が少ない治療で済ませる。これが私達の目指していることです。

遺伝性腫瘍症候群の診療自体が、まだ限られた施設でしか受けられない中、この体質を持った方達が安心して過ごすことができるよう、2018年7月、全国に先駆けて、四国がんセンター内でサーベイランスプログラムを立ち上げました。ご自身もしくはお身内の方の体質について心配のある方は、当院遺伝性がん診療科にご相談ください。

(遺伝性がん診療科医師 山本 弥寿子)

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診療科紹介 血液腫瘍内科

新年あけましておめでとうございます。血液腫瘍内科は病棟再編により2018年の2月1日より4階東病棟から6階西病棟へ移動となりました。6階西病棟にはクリーンルーム14床が設けられ、そのうち個室である2床は新規に設置いたしました。当院の特徴として移植の際に必要となる末梢血幹細胞を採取するための部屋とそれを保存する部屋が同一病棟内にありました。今回、幹細胞の採取を行う部屋は無くなりましたが、幹細胞の保存をするための部屋は病棟内へ新設されました。このことによってこれまでどおり解凍後の幹細胞を速やかに輸注することが可能となり、幹細胞のクオリティを保つことが維持されました。新設された個室のクリーンルームは移植の際に使用しますが、清浄度が向上しISOクラス6となっています。また、各種臨床試験や治験に参加していますが、2018年12月からは未治療のマントル細胞リンパ腫を対象とした治験が開始しています。

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医療の質とは何でしょう。建物や機器なども大いに影響しますが、やはり人が最も重要だと思います。そして協同することで改善できることは想像以上に多いものです。これからも看護師、メディカルクラーク、薬剤師、検査技師、臨床工学技士、栄養士、理学療法士等の多職種と協力しながら医療を行って行きたいと思っています。

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(血液腫瘍内科 血液腫瘍内科医長 吉田 功)

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エキスパートナース・メディカルスタッフ Part.42 医療安全管理

医療安全管理という部門があることをご存知でしょうか。

医療安全管理とは、患者さんに安全な医療を提供するために、院内の各部署と連携をはかりながら病院全体の安全管理体制を整えていく部門です。

職員は医療現場で「ヒヤッ」としたり「ハッ」とした出来事を報告します。医療安全管理部門では、その報告内容を確認し、同じミスが起きないよう対策の検討とその対策が実践できるよう環境を整えたり、ルールを見直したりしています。その中で思うのは、医療安全推進には患者さんの協力は不可欠だということです。例えば名前確認の際、「顔見知りなのに何度も名前を聞かれて」と思う患者さんもいると思います。しかし、患者さんの取り違えを防ぐ手段として、顔を知っている患者さんにも名前を確認することは、安全な医療を提供するために大切なことです。患者さんは検査や治療を受ける際には名前を名乗っていただけるようご理解とご協力をお願いします。

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医療安全管理室は、今年度4月より副看護師長が1名増員され、私が配属されました。

それまでは病棟勤務だったため、新しい業務に戸惑いもありました。しかし、現場にいたからこそ分かることや、改善できることはあります。今までの経験を生かせる大切なチャンスだと思って今後も患者や家族、医療者の安全を確保できるよう医療安全活動に取り組んでいきたいと思います。

(医療安全管理室 副看護師長 熊 美有紀 )

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お世話になって医ます 増田整形外科

四国がんセンターは、初診患者さん全てが地域の医療施設からのご紹介です。ここでは、かかりつけ医の皆さまからうかがった、様々なご意見をご紹介します。

増田整形外科

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四国がんセンターと同じ町内で診療所を開業している増田整形外科を訪問してきました。

院長の増田頼昭先生は、昭和59年に大分医科大学を卒業されて、大分医科大学病院、九州労災病院、大分医療センター病院を経て、平成5年4月に地元である松山市に帰られ、南梅本町に整形外科診療所を開院されました。

その当時、今は隣接しているフジグラン重信店はなく、農地が広がって、所々に松木が立っている閑散とした場所であったそうです。

ご趣味は?

昔はサッカー、今はゴルフを趣味としています。

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増田整形外科 増田頼昭院長(左から2人目) 杉原(左)

クリニックの特徴と普段の診察で心掛けられていることは?

当院は、運動器疾患である整形外科とリハビリテーションを中心に診療を行っています。

今日、診療所であってもますます質の高い診断と治療を求める患者さんが多くなってきています。画像診断は難しく、MRI検査とエコー検査も出来るように、私と看護師とスタッフが話し合い、研鑽を積んで、日々進化した診療をと心掛けています。

整形外科は、骨と筋肉、関節の"痛いの飛んでいけ"の科です。痛みを和らげるには、ただ鎮痛剤を与えるのみでは十分でなく、患者さんの性格、体質を診断し、総合的に判断することが必要です。痛みを除去するのは、とても難解な仕事であると痛感しています。

四国がんセンターに要望することがありますか?

当院の職員も四国がんセンターにお世話になっています。2人に1人ががんに罹患する時代です。先日の研修会で、新しい検査、治療機器を備えており、薬物療法を組み合わせればがんは治る時代に入っているとのお話しをいただき、時代の流れに驚きました。がん以外の患者さんの検査も受け入れて欲しいと感じています。

(骨軟部腫瘍・整形外科医長 杉原 進介)

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がんセンターだより 四国がんセンター第5回地域医療連携交流会を開催しました。

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平成30年9月27日に約60人先生方お招きして、第5回地域医療連携交流会を開催しました。この会は当初7月7日に開催予定でしたが豪雨で中止となっておりました。被災された皆さまには心よりお見舞い申し上げます。当日はまず、午後4時30分から当院の新しい設備を中心に見学会を行いました。当院の特色とも言える各個室に庭が併設されている緩和ケア病棟、医療連携室、最新のリニアック治療装置など主な施設を紹介し、手術室前のホールではダビンチ(ロボット手術器械)を模擬画像で実際に操作していただきました。ダビンチの操作体験はテレビでみたことしかなかった手術器械を実際に操作できて楽しめましたと大好評でした。その後研修室でロボット支援手術の適応拡大の話題、ゲノム治療の話題、家族性腫瘍相談室の活動、市内の医療施設とインターネットを介して画像を共有できる連携システム稼働の説明を行いました。説明会を終了し、バスでたかのこホテルまで移動して、お招きした先生方と当院のスタッフとの食事会を行いました。谷水院長が日頃からお世話になっている先生方の紹介を行い、各先生方の施設の紹介と当院への励ましのお言葉をいただき楽しい酒宴を開始しました。会の終盤に当院の各診療科のスタッフが各々得意とする診療内容について紹介し、日頃のお礼を述べさせていただきました。当日はお忙しいなか交流会にご参加いただき本当にありがとうございました。心よりお礼を申し上げます。

(特命副院長 河村 進)

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医者のつぶやき リレーエッセイ 第六回 一年の計

新年号なので好きなものについて書きたい。好きなものと言えば、仕事だ。他院で診断された病理標本を患者さんが持参した場合、病理診断を仕事とするわれわれが再診断する。

そのとき、若い病理医に言うのは

『診断する前に、前医の病理報告書をよく読むように』

(病理診断報告書には、患者情報、臨床経過、病理診断、依頼した臨床医の名前、診断した病理医の名前などが書いてある)

『はい』(話を円滑に進めるための脚色で、実際にはこんな素直な返事は聞いたことがない)

『報告書に書いてあるもののうちで一番大事な情報はなんだとおもう?』

『臨床経過とか、病理診断とかですか?』

『ちがうな。最も重要なのは、診断した病理医の署名だ』

署名した病理医の信用は過去の診断の積み重ねですでに決まっている。署名が信用できない場合は、病理診断の欄だけではなく、臨床医の書いた紹介状まで信じられなくなってくる。(偶然これを読んでいる若い病理医がいれば、もう一度最初から読むように)

新年号なので本当に好きなものについて書きたい。なんといっても正月だ。長くなるので仔細は省くが、昔は年末年始の楽しみと言えばプロレスだった。プロレスでは試合の最後の方で必殺技が炸裂するものと決まっている。英語ではこれをSignature move(シグナチャー・ムーブ)という。シグナチャーとは『署名』。よって直訳すると『署名された動き』になる。意訳すると『そのレスラー独自の技』という意味だ。レスラーは必殺技によって試合に署名し、その試合が自分のものであると宣言する**。それが下手なレスラーはファンの記憶に残らないし、試合が良ければファンはシグナチャー・ムーブを憶える。プロレスは身体能力や技術が優れていればあっという間にトップに立てるような底の浅い競技ではないので、長年にわたって日々の試合の中に残した署名の質と量で地位が決まっていく。結局、プロレスも仕事も一緒の仕組みで出来ているようだ。

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これが、筆者の署名である。

*診断者の名前がない最悪の診断書もある。
**プロレスなので、負け方がシグナチャー・ムーブであるレスラーもいる。

(がん予防・疫学研究部長 寺本 典弘)

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イベントレポート 四国がんセンター2018健康実現えひめ
~すべては明日の笑顔のために~

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10月21日(日曜日)9:30~13:00、「2018健康実現えひめ」~すべては明日の笑顔のために~をテーマに年1回実施している四国がんセンター祭りを開催しました。

開催イベントでは、がん検診検(乳がん・肺がん)や各種検査測定(骨密度・肺機能検査)を無料で実施しました。その他に食事相談や、治療と仕事の両立支援のコーナーがありました。早朝より、たくさんの地域住民の方が病院へ足を運んで頂き、日頃の皆様の自己健康管理の意識の高さに驚きました。検査結果を見て、医師によるがん相談を希望された方は帰られる時に「来てよかった。ありがとう。」というお言葉を頂き、喜んで帰って頂けることで、イベントをする側も心温まる体験をさせて頂きました。

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外来イベントホールでは、ボランティアによる日舞やフラダンス、小野中学校、愛媛大学教育学部音楽専攻生の皆さんによる楽器演奏を聴かせて頂き、心が和み、ゆったりとした時間を過ごされていました。更に、普段から病院ボランティアとして活動して頂いている方々による青空市やティーサービス、書道コーナー、などもあり、賑やかにコミュニケーションの場が広がりました。

スーパーボールすくいや綿菓子、暖だんクッキング、顕微鏡体験や調剤体験では子供さんに人気でした。アロマセラピーやフラワーセラピーでは女性の方に人気でした。

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今回のイベントはたくさんの地域住民の皆さんと触れ合うよい機会となりました。四国がんセンターでの取り組みを多くの皆様にお伝えすることができたと感じております。

最後になりましたが、イベントに協力して頂きましたボランティアの皆様をはじめスタッフの皆様に深く感謝し致します。

(看護師長 石橋 典子)

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愛される食事づくりを。 ~七草粥について~

「セリ・ナズナ・ゴギョウ・ハコベラ・ホトケノザ・スズナ・スズシロ」春の七草

ゴギョウはハハコグサ、ハコベラはハコベ、ホトケノザはタビラコ(現在ホトケノザと呼ばれているものとは別物)、スズナはカブ、スズシロはダイコンを指します。

春の七草は七草粥の食材です。正月七日に若菜を粥に入れて食べる習慣は、江戸時代に多くの人に広まったと言われていますが、新春の若菜の生命力にあやかって、これを摘んだり食べたりする習慣はさらに古くからあったようで、平安時代に始まるとも言われています。

春の七草に詠われている食材はいずれもビタミン、ミネラルその他栄養に富み、民間では古くから薬草として親しまれているものもあります。今でも食する機会の多いスズナ・スズシロは、アミラーゼやジアスターゼが消化を促進します。正月疲れの出始めるこの時期には胃腸の回復にちょうどよい食べ物とも言えます。

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実際には、七草粥は七草全てが用いられているわけではなかったり、また地方によっても食材が異なったりする場合があります。七種の食材を入れた雑炊を指したり、もちや小豆が入ったりもします。また食する日が異なる地方もあります。ですが、作り方や食材が異なっても、食する日が違っても、無病息災を願う行事であることに変わりはありません。当院でも1月7日に七草粥を提供しています。

(栄養管理室長 鎌田 裕子)

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