四国がんセンター:医療関係者の方へ

Special recommended references for oncologists橋根 勝義

上部尿路癌でも郭清リンパ節数と予後に相関あり

上部尿路癌でも郭清リンパ節数と予後に相関あり

これまで膀胱癌に関しては郭清リンパ節が多いほど生存期間が延長されることが数多く発表されていましたが、上部尿路癌でははっきりしていませんでした。今回、National Cancer Data Baseから14472例の上部尿路癌を抽出し、リンパ郭清数と予後の関連を検討しています。2926例(20%)にリンパ郭清がなされ、pN+は771例でした。全コホートおよびpN0群で、郭清リンパ節数が多いほど全生存率は改善しています。pN+群では、郭清リンパ節数には関連しないものの、陽性リンパ節数との間に関連がありました。

日本でも、系統的なリンパ郭清をした群(44例)と郭清をしなかったあるいは限局郭清のみ施行した群(33例)の比較で系統的リンパ郭清の有用性が示されています。(Systematic regional lymph node dissection for upper tract urothelial carcinoma improves patient survival )

2017年6月12日  橋根 勝義

ペンプロリズマブは尿路上皮癌の2ndライン治療に有用です

ペンプロリズマブは尿路上皮癌の2ndライン治療に有用です

プラチナベースの化学療法で再発した542例に対して、ペンプロリズマブ投与群とタキサン系などを使用した化学療法群とのランダム化比較試験がなされました(KEYNOTE-045)。生存期間中央値はペンプロリズマブ群で10.3ヶ月、化学療法群は7.4ヶ月でペンプロリズマブ群の生存期間が有意に延長しました。これはPD-L1の発現性には左右されない結果でした。有害事象もペンプロリズマブ群の方が低く、G3以上は化学療法群の49.4%に対して15.0%でした。主な有害事象は倦怠感と下痢でした。尿路上皮癌に対する免疫チェックポイント阻害剤では海外でアテゾリズマブが承認されていますが、今後数多くの薬剤が出てくるものと予測されます。

2017年5月29日  橋根 勝義

前立腺全摘後のPSA再発に対して救済放射線照射にカソデックスを2年間併用することで生存率が改善する

前立腺全摘後のPSA再発に対して救済放射線照射にカソデックスを2年間併用することで生存率が改善する

前立腺全摘後のPSA再発に対する救済放射線照射で、6ヶ月間のLH-RH投与で無増悪生存期間を改善させましたが、今回はカソデックスを2年間内服することで救済放射線単独治療と比較して無増悪生存期間のみならず、全生存期間も改善させたデータが示されました。RTOG9601ですが、試験観察期間13年で760例を救済放射線単独と救済放射線+カソデックス内服群にランダム化、前立腺癌死は13.4%と5.8%、転移出現率は23.0%と14.5%、全生存は71.3%と76.3%でいずれも併用群が勝っていました。有害事象は併用群で女性化乳房が約70%に出現しましたが、放射線関連の有害事象に差はありませんでした。救済放射線照射に関するエビデンスも徐々に出てきました。現在JCOG泌尿器科グループで救済放射線照射単独とカソデックス内服単独の臨床試験を行っており、結果が待たれるところです。

2017年2月27日  橋根 勝義

手術・放射線・監視療法後のQOL

手術・放射線・監視療法後のQOL

PSAで発見された限局性前立腺癌に対して,監視療法,手術,放射線の3群を比較した無作為化比較試験(ProtecT試験)の生存解析が発表され、このコラムでも以前紹介しました。さらに追加報告として、同試験におけるQOL結果が発表されました。手術群では,性機能と尿禁制でQOLが低下し、悪影響を及ぼしていました。放射線群では,消化管機能の低下が目立ち(6か月目が最悪),性機能障害は一過性でした。監視療法群では,性機能と排尿機能が徐々に低下していました。一方で,不安,うつ症状,健康状態には有意差は認めませんでした。 

2017年2月13日  橋根 勝義

尿路上皮がんに対する免疫チェックポイント阻害剤

尿路上皮がんに対する免疫チェックポイント阻害剤

免疫チェックポイントの開発は尿路上皮癌でも急速に進んでいますが、まずはじめに抗PD-L1である、アテゾリズマブの結果が公表されました。第2相試験、単アームでの多施設共同試験です。アテゾリズマブは3週毎に1200mg投与します。119例に試験治療がなされ、有効率は23%、CRも11例、9%に認められました。無増悪生存期間中央値は2.7ヶ月ですが、生存期間中央値は15.9ヶ月でした。有意事象は、倦怠感が30%で最も多く、次いで下痢の12%です。有害事象で治療が中止になったのは9例、8%でした。第3相試験の結果が待たれるところです。

2017年1月30日  橋根 勝義

LH-RH単独での去勢抵抗性前立腺癌にはビカルタミドよりエンザルタミドの方が有効

LH-RH単独での去勢抵抗性前立腺癌にはビカルタミドよりエンザルタミドの方が有効

STRIVE試験およびTERRAIN試験ともLH-RH単独治療後の病勢進行に対して、ビカルタミドとエンザルタミドにランダム化された試験で、両試験ともに各群約200例ずつの第2相試験結果です。両試験ともにエンザルタミド群で有意に無増悪生存期間が延長しており、エンザルタミドの有用性が示されました。ただし、日本ではホルモン治療ははじめからビカルタミドを併用することが多く、またエンザルタミドの有害事象も問題となることが多く若干状況が違っています。

TERRAIN試験:
 http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1470204515005185

2017年1月10日  橋根 勝義

スニチニブの術後補助療法

スニチニブの術後補助療法

限局性腎癌に対してスニチニブを術後1年間内服する第3相ランダム化比較試験です。対象は高リスク淡明細胞癌患者615例で、スニチニブ群とプラセボ群にランダム化され、スニチニブは50mgから開始、37.5mgまでの減量は許容されます。非再発生存期間中央値はスニチニブ群で6.8年、プラセボ群の5.6年と比較し有意に延長しました。一方で、スニチニブ群での減量は34.3%、中止症例は28.1%あり、grade3以上の有害事象もスニチニブ群が多い結果でした。

2016年12月26日  橋根 勝義

PSA監視療法より根治療法が転移進行を抑える

PSA監視療法より根治療法が転移進行を抑える

PSA監視療法、手術、放射線の3群でのランダム化比較試験ProtecT試験の結果が発表されました。この試験は1999年から2009年にイギリスで限局性前立腺癌と診断された2664例中同意の得られた1643例を3群にランダムに振り分け比較しています。前立腺癌死症例はいずれの群も少なく、有意差はありませんでしたが、転移出現や病勢進行症例は有意に監視療法群で多い結果でした。これまでのSPCG-4やPIVOT試験と異なり、治療介入への基準が定められていることから、現在の診療に近い試験結果といえます。ただし、監視生検はなされていないので監視療法には若干不利な状況です。

2016年12月12日  橋根 勝義

限局性前立腺癌に対する根治療法、メタ解析では放射線より手術が上

限局性前立腺癌に対する根治療法、メタ解析では放射線より手術が上

手術と放射線の成績を直接比較するのは困難であるため、バイアスの比較的少ない論文を抽出し、メタ解析をしています。その結果、全生存率に関してはハザード比、1.63、前立腺癌特異生存率に関してもハザード比2.08で手術の方が上回っていました。リスク分類や照射方法などのサブ解析でも結果は同じで手術の方が上でした。バイアスが存在するのは仕方のないことですが、一つのエビデンスとして重要な結果だと思われます。

2016年11月21日  橋根 勝義

中間から高リスク群の限局性前立腺がんに対する放射線治療には短期間のホルモン併用が有用である

中間から高リスク群の限局性前立腺がんに対する放射線治療には短期間のホルモン併用が有用である

中間から高リスク群に対して放射線治療単独(70-78 Gy)と6ヶ月間のゴセレリン併用群とのランダム化比較試験の結果が発表されました。5年でのPSA非再発率は併用群で82.6%、単独群の69.8%と比較し優位に良好でした。臨床的再発や局所再発も併用群が良好でしたが、全生存に関しては両群に差は見られません。今後長期の観察によって短期間のホルモンの併用の意義がさらに明らかにされるものと思われます。

2016年10月31日  橋根 勝義

<< 前の10件  1  2  3