四国がんセンター:医療関係者の方へ

Special recommended references for oncologists橋根 勝義

合併症の有無は前立腺癌死には影響しない

合併症の有無は前立腺癌死には影響しない

1998年から2012年のスウェーデンのデータベースの解析結果です。このデータベースは98%以上の前立腺がんが登録され、前向きに観察が行われています。このデータベースを利用し、Charlson comorbidity index (CCI)と全生存および前立腺癌死について検討しています。CCIはスコアを0、1、2、3以上に分類、治療は手術、放射線、ホルモン治療、無治療経過観察で検討しています。何も調整しないとCCI3以上は癌死率が1.99倍、全死亡が5.62倍に上昇します。患者や腫瘍の各因子で調整すると癌死率は1.08倍で有意差はなくなりますが、全死亡は3.33倍でこちらは有意差が残りました。治療法毎の検討でも手術や放射線治療後の癌死はCCIと関連しませんでした。

2018年5月21日  橋根 勝義

進行性腎がんに対するニボルマブとイピリムマブ併用療法の結果が出ました

進行性腎がんに対するニボルマブとイピリムマブ併用療法の結果が出ました

1096例に対してスーテントとの第3相ランダム化比較試験が施行され、ニボルマブとイピリムマブの併用療法の有用性が示されました。観察期間中央値25.2か月で、18か月後の全生存率は併用群で75%であったのに対し、スーテント群では60%でした。全生存期間の中央値はスーテント群で26.0か月ですが、併用群では未達でした。無増悪生存期間は併用群11.6か月、スーテント群8.4か月、評価可能病変に対する効果も42%と27%で併用群が勝り、CR率も9%と1%でした。G3/4の有害事象は併用群46%、スーテント群63%でしたが、有害事象による中止症例は併用群が22%でスーテント群の12%より多い結果でした。進行性腎がんの中でpoor risk症例に対してはスーテントよりニボルマブとイピリムマブの併用療法の効果が上回りましたが、有害事象の面で注意が必要です。(CheckMate214)

2018年5月15日  橋根 勝義

CHAARTED試験の追加報告が出ました

CHAARTED試験の追加報告が出ました

観察期間中央値が53.7ヶ月に伸びたCHAARTED試験の結果が示されました。全生存期間中央値はドセタキセル併用群が57.6ヶ月で、ホルモン単独の47.2ヶ月と比較し有意に延長しました。High-volume(臓器転移あるいは骨転移4カ所以上)では生存率の差は51.2ヶ月と34.4ヶ月と拡大しますが、low-volumeでは全生存率に関してベネフィットは認めませんでした。

さらにQOLについての報告もありました。FACT-Pで評価されたQOLは、3ヶ月目ではドセタキセル併用群が悪く、12ヶ月後では併用群が良い結果でした。ただし両群とも変化は少なく、ドセタキセル併用でも長期にわたってQOLを悪化させるものでは無かったとしています。

http://ascopubs.org/doi/abs/10.1200/JCO.2017.75.3335

2018年5月1日  橋根 勝義

膀胱がんに対する転移巣切除

膀胱がんに対する転移巣切除

転移を有する膀胱がんの標準治療は化学療法ですが、腎がんで有用性が示されている転移巣切除に関して膀胱がんではどうなのかをレビューしています。化学療法に対して効果があり、切除可能な転移巣で全身状態の良い患者が手術適応になり得るとレビュー結果をまとめています。具体的には化学療法に効果があった骨盤内あるいは後腹膜のリンパ節や、肺転移のみの症例が上げられます。これまでは化学療法しか治療がなかった転移巣に対しても、手術を組み合わせることで予後の改善が得られるかもしれない可能性が出てきました。ただし、ランダム化比較試験の結果では無いので症例選択には注意すべきです。

2018年4月25日  橋根 勝義

低用量のアビラテロンでも十分効果あり

低用量のアビラテロンでも十分効果あり

去勢抵抗性前立腺がんに対して有用性が示されているアビラテロンは、通常空腹時に1000mg内服しますが、250mgでも有効だという結果が報告されました。ランダム化第2相試験で、通常量のアビラテロン1000mg空腹時内服と250mgを低脂肪食と一緒に内服する群との比較です。両群36例ずつですが、PSA低下は低用量で58%、標準量で50%と差はなく、無増悪生存期間中央値も両群とも9ヶ月で差はありませんでした。追加試験での検証が必要ですが、アビラテロンの内服に関して有望な結果だと思われます。

2018年4月16日  橋根 勝義

尿路上皮癌に対するアテゾリズマブに関して

尿路上皮癌に対するアテゾリズマブに関して

これまではアテゾリズマブを指示する報告ばかりでしたが、セカンドラインでの第3相試験の結果が発表されました(IMvigor211)。931例がアテゾリズマブ群と化学療法群(パクリタキセルやドセタキセルなど)に振り分けられました。PD-L1の染色が高い群(5%以上)で生存期間中央値に有意差はありません(11.1か月と10.6か月)。また、有効率も23%と22%で差はありませんが、有効期間はアテゾリズマブの方が長い傾向を示しました。一方で有害事象はアテゾリズマブの方が少ない結果でした。予想外の結果でしたが、今後さらに塚検討がなされるものと思われます。

アテゾリズマブに関してこれまでに報告されているものは、以前このコーナーでも紹介したファーストラインでの治療成績(IMvigor210)とセカンドラインでの治療成績があります。ファーストラインは単アームの第2相試験ですが、その有用性が示され、セカンドラインでもその有用性が示され、有効率はPD-L1の免疫染色性に関連することが示されています(単アーム第2相試験)。また、IMvigor210では、増悪後にもアテゾリズマブが使用された症例の検討から、3.6%にその後再度効果が認められたことが報告され、他の治療を受けた症例の生存期間中央値が6.8か月であったのに対し、アテゾリズマブ使用群では8.6か月でした。

http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(16)32455-2/abstract

http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0140673616005614

https://academic.oup.com/annonc/article/28/12/3044/4108210

2018年1月15日  橋根 勝義

腎がん術後補助療法でパゾパニブはベネフィットなし

腎がん術後補助療法でパゾパニブはベネフィットなし

淡明細胞がんで根治切除出来たpT2G3-4N0,pT3-4N0,pN1症例を対象に、パゾパニブ800mg(中止症例が多かったため途中から600mgに減量)を1年間内服する第3相試験で、対象はプラセボ。600mg内服では無増悪生存率に有意差を認めませんでしたが、800mg内服ではプラセボとの間に有意差を認めました(p=0.0201)。しかし、800mg内服は有害事象のため内服できず、主要目的を600mg内服での無増悪生存率に変更したためパゾパニブは術後補助療法としてベネフィットはないことになります。術後補助療法はスニチニブで有用性が示された試験がありますが、他の試験ではソラフェニブやスニチニブはベネフィットがなかったという報告もあり、今ひとつのようです。 

2017年12月27日  橋根 勝義

ペンブロリズマブは尿路上皮癌に対する初回化学療法でも有用

ペンブロリズマブは尿路上皮癌に対する初回化学療法でも有用

ペンブロリズマブは尿路上皮癌に対して2次化学療法としての有用性が示され、本邦でも近々保険収載予定です。今回さらに初回化学療法としての有用性が示されました。第2相試験で、クレアチニンクリアランスが30-60ml/minのシスプラチンunfit症例に対してペンブロリズマブ200mgを3週毎に繰り返し投与されました(KEYNOTE-052)。370例に投与され、CR:5%、PR:19%、SD:23%でした。観察期間中央値がまだ5か月と短いものの効果を認めた症例のうち83%で効果が持続しています。G3/4の有害事象は、倦怠感(2%)、腸炎(1%)でした。現在進行中の第3相試験の結果が待たれます。

2017年12月19日  橋根 勝義

転移を有するホルモン感受性前立腺がんに対して初回治療時からアビラテロンを併用する

転移を有するホルモン感受性前立腺がんに対して初回治療時からアビラテロンを併用する

これまで転移を有するホルモン感受性前立腺がんの初回治療はアンドロゲン除去療法(ADT)のみであったが、これまでのADTに加え、新規ホルモン剤であるアビラテロンを併用することで全生存率を延長させることが示されました。LATITUDE試験で、観察期間中央値30.4ヶ月でADT単独群の全生存期間中央値は34.7ヶ月であるのに対して、アビラテロン併用群では未到達でした(ハザード比0.62、P<0.001)。画像所見悪化までの期間、PSA悪化までの期間、疼痛出現までの期間などすべてアビラテロン併用群が勝っていました。一方、Grade3の有害事象に関して、高血圧と低カリウム血症が併用群で高頻度でした。

また、STAMPEDE試験でも同様にアビラテロン併用群の有用性が示されています。
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1702900

現在日本ではアビラテロンは去勢抵抗性前立腺がんのみにしか使用できませんが、これらの試験結果から、今後は治療体系が変わっていくことが予測されます。

2017年9月11日  橋根 勝義

転移のある前立腺がんに対する局所療法に関して

転移のある前立腺がんに対する局所療法に関して

転移のある前立腺がんに対する治療はホルモン治療が標準治療ですが、転移があっても局所治療を追加することでサバイバルベネフィットがあるのではという考えが出てきました。最近報告された3つの論文を紹介したいと思います。

2004年から2013年のSEERのデータベースから転移のある前立腺がん患者13692人を用いて局所療法施行に関して検討しています。局所療法は前立腺全摘が313例、放射線が161例の合計474例でした。局所療法施行群ではハザード比0.40で未施行群と比較し有意に癌死率が低下していました。傾向スコア解析を用いて手術群と放射線群を比較するとハザード比0.59で手術群の方が癌死率が低い結果でした。グリソンスコア7以下、臨床病期T3以下、およびM1aの予後が良好でした。

一方で2004年から2012年のNCDのデータベースを用いた検討では、15501例の転移症例で、1470例(9.5%)に局所療法が追加されています。傾向スコア解析を用い、3年の全生存率は局所療法群で69%、未施行群で54%、有意に施行群が良好でした。多変量解析でも、局所療法未施行、年齢、合併症の有無が全生存に関連していました。
 http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0302283816301415

症例数は極端に少なくなりますが、単一施設から11例の報告でも前立腺全摘除術を追加すると7年癌特異生存率は82%と良好な結果が示されています。この報告ではoligometastasisは骨転移数5個以下と定義しており、このような群では全摘のベネフィットがあるのではと可能性を示唆しています。
 http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0302283816305085

2017年8月14日  橋根 勝義

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