四国がんセンター:医療関係者の方へ

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日本人膵がん患者に対するゲムシタビンとナブ・パクリタキセル併用療法の第Ⅰ/Ⅱ相試験

日本人膵がん患者に対するゲムシタビンとナブ・パクリタキセル併用療法の第Ⅰ/Ⅱ相試験

ゲムシタビンとナブ・パクリタキセル(GnP)併用療法はMPACT試験により進行再発膵がんに対する第一選択治療として確立した。本論文は同療法の日本における治験成績である。進行再発膵がんに対するもうひとつの第一選択治療であるFOLFIRINOX(FFX)療法と比較すると、海外データではFFX療法が、日本人データ(治験)ではGnP療法が優位な治療成績を示している。

2016年5月2日  石井 浩

膵がんFOLFIRINOX(FFX)療法とゲムシタビン・ナブパクリタキセル(GnP)療法の費用対効果分析

膵がんFOLFIRINOX(FFX)療法とゲムシタビン・ナブパクリタキセル(GnP)療法の費用対効果分析

FFX療法とGnP療法は進行再発膵がんの標準療法である。本論文はFFX療法のPRODIGE試験とGnP療法のMPACT試験をもとにマルコフモデルを用いて行われた中国・四川大学の費用対効果分析である。彼らの計算によるとGnP療法からFFX療法に切り替えたときの増分費用効果比(ICER)は3万2千ドル/QALY、すなわちFFX療法でもう一年延命するために約350万円必要である。中国における費用対効果の閾値は220万円程度であることから、GnP療法はFFX療法に比較して費用対効果が良好である。因みに費用対効果の閾値はイギリス、日本、アメリカでおおよそ350万円、500万円、670万円と考えられている。
本論文のコストは中国、四川省での試算であり、FFX療法のコストがGnP療法よりも高額など日本の事情と異なる点が多々ある。医療経済分析の結果やその解釈は国や地域で異なるが、このような費用対効果解析は今後重要な課題になってくると思われる。

2016年4月26日  石井 浩

乳癌細胞セルブロックを用いたHER2免疫染色標本は組織標本と同様に扱うことができる

乳癌細胞セルブロックを用いたHER2免疫染色標本は組織標本と同様に扱うことができる

四国がんセンターで行われた検討です。

2013年ASCO/CAPの乳癌HER2検査に関する指針で、可能であれば転移巣のHER2検査も行うことが提唱されたため、胸腹水等の細胞診検体を用いた受容体検査の必要性が高まっています。ホルモン受容体検査については充分検討されてきましたが、HER2検査については、染色結果が安定した方法はありませんでした。

そこで、この論文では、乳癌ホルマリン固定セルブロックで免疫染色とDISH検査を行い、組織標本の結果と比較し、日常運用可能なHER2検査方法を提案しています。ホルマリン固定セルブロックは、通常の病理検査室で作製することができ、固定液と固定時間を管理すれば安定した標本作製が可能です。まず免疫染色を行うことにより、費用と手間がかかるDISH検査の件数を減らすことができます。また、DISH検査はFISH検査と比較すると、通常の光学顕微鏡下で観察できます。 

2016年4月7日  西村 理恵子

肝細胞癌に対するビーズ単独塞栓(TAE)vs.ドキソルビシン・ビーズTACE

肝細胞癌に対するビーズ単独塞栓(TAE)vs.ドキソルビシン・ビーズTACE

肝細胞癌は周囲肝と異なり栄養血管が肝動脈ほぼ100%(周囲肝は20%、他の80%は門脈)であることから、栄養動脈をビーズなどの塞栓物質で塞栓すれば肝細胞癌部が選択的に阻血壊死する。「抗腫瘍効果は塞栓物質だけでなく、抗癌剤を併用した方が高いだろう」と昔から考えられ、これを支持する研究も否定的な研究もあります。本論文は欧米で事実上の標準塞栓物質であるビーズに、肝細胞癌に最もよく使用される殺細胞薬ドキソルビシンをon-offしてランダム比較したもの。結果は明らかな差なし。

日本では抗癌剤単独の経動脈的治療も標準治療のひとつと評価されているので本論文は黙殺される、かもしれない。

2016年4月7日  石井 浩

膵がんmodified FOLFIRINOX療法の第Ⅱ相試験:最終報告

膵がんmodified FOLFIRINOX療法の第Ⅱ相試験:最終報告

FOLFIRINOX(FFX)療法は全身状態良好である若年膵がん患者に対する標準治療である。しかし、原法は副作用が強く日本の治験では発熱性好中球減少が20%強にみられ、減量した所謂modified regimen(mFFX療法)が求められていた。本論文はエール大学が中心となって行ったmFFX療法の前向き第Ⅱ相試験の最終結果である。遠隔転移例の奏効割合は35.1%、生存期間中央値は10.2ヶ月であり、ACCORD11試験や日本の治験に遜色のない遠隔成績がより低い毒性で達成され、FFX療法の実臨床への導入に弾みが付きそうである。また、本試験では局所進行例も対象としており、無増悪生存期間中央値、生存期間中央値はそれぞれ17.8ヶ月、26.6ヶ月と極めて良好な成績が示された。局所進行例治療に放射線療法は必要ないのではという長年のテーマが再燃しそうである。

2016年4月4日  石井 浩

局所進行膵がんに対するゲムシタビン併用重粒子線療法

局所進行膵がんに対するゲムシタビン併用重粒子線療法

千葉市稲毛にある放射線医学研究所、重粒子線医科学センターでの膵がん治療成績の報告である。ゲムシタビン同時併用で重粒子線照射療法を漸次増加させ、最大耐用線量を検討した。76例が試験に参加、ゲムシタビン1000mg/m2に対し55.2 GyEまで安全に併用照射可能であった(最大耐用線量に到達せず)。高線量群の2年生存割合は48%であった。

FOLFIRINOX療法もしくはゲムシタビン+ナブ・パクリタキセル療法を用いた局所進行膵がん患者の全生存期間は1.5年-2年が予想され、重粒子線療法の成績が極めて良いかは微妙である。

2016年2月22日  石井 浩

肝細胞がんに対するDEB-TACE±ソラフェニブ:SPACE試験

肝細胞がんに対するDEB-TACE±ソラフェニブ:SPACE試験

Intermediate stageの肝細胞がんに対する標準治療はTACE(血管塞栓化学療法)である。SPACE試験は標準治療:TACEに対する試験治療:TACE+ソラフェニブの優位性を二重盲検でランダム比較した試験である。腫瘍評価項目であるTTP(Tome To Progression)は標準治療、試験治療それぞれ166日、169日(ハザード比0.797、P=0.076)であり、残念ながらソラフェニブの上乗せ効果はみられなかった。DEB(Doxorubicin-Eluting Beads)は本邦に導入されて間もなく、また本試験で用いられたスケジュールされたTACE運用が日本ではなじまないことから、TACEとソラフェニブのmarriageが潰えたと未だ考えたくないところである。

2016年2月4日  石井 浩

進行腎がんに対するカボザンチニブ対エベロリムス

進行腎がんに対するカボザンチニブ対エベロリムス

一方、カボザンチニブも既治療の転移性腎がんに対してエベロリムスをコントロールに試験が行われ、無増悪生存率は7.4ヶ月対3.8ヶ月、有効率は21%対5%と良好だったものの、G3/4の有害事象は68%対58%だったと報告されました。この2剤の出現により転移性腎がんの治療体系は今後大きく変わることが予測されます。

2016年2月1日  橋根 勝義

進行腎がんに対するニボルマブ対エベロリムス

進行腎がんに対するニボルマブ対エベロリムス

待ちに待った免疫チェックポイント阻害薬、ニボルマブ(PD-1阻害薬)のデータが腎がんでも公表されました。また、全く同じ号にチロシンキナーゼ阻害薬の新薬、カボザンチニブのデータも公表されました。ニボルマブは、既治療の転移性腎がんに対してエベロリムスをコントロールに試験が行われ、全生存率は25.0ヶ月対9.6ヶ月、有効率は25%対5%、G3/4の有害事象は19%対37%といずれにおいても良好な結果でした。

2016年2月1日  橋根 勝義

ゲムシタビン不応後膵癌に対するMM-398と5-FU/LVの併用療法:NAPOLI-1試験

ゲムシタビン不応後膵癌に対するMM-398と5-FU/LVの併用療法:NAPOLI-1試験

進行膵癌に対するゲムシタビン後の二次化学療法として日本の診療ガイドライン(2016年版)で推奨されているのはフルオロウラシル関連レジメンである。その根拠となった嚆矢はCONKO-003試験であり、緩和ケアとFF(フルオロウラシル、ホリナートカルシウム)療法、FF療法とOFF(オキサリプラチン+FF)療法のランダム比較である。緩和ケアとの比較である当初のCONKO-003試験は、登録不良により途中中止となったため確定的な結論は導けないが、FF療法は緩和ケアと比較し明らかに優位であり、その後の試験でOFF療法はFF療法と比較し明らかに優位であった。次いで今回紹介するNAPOLI-1試験が近年公表され、ナノ粒子化したイリノテカン、MM-398と5-FU/LVの併用療法が5-FU/LV療法と比較して明らかに優位あることを示した。本邦ではゲムシタビン後二次化学療法の事実上の標準はS1療法であり、OFF療法は普及しておらず、MM-398はようやく治験が開始されようとしている。

2016年1月27日  石井 浩

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