四国がんセンター:医療関係者の方へ

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局所進行膵がんに対するFOLFIRINOX療法:メタアナリシス

局所進行膵がんに対するFOLFIRINOX療法:メタアナリシス

膵がんは診断時過半数が遠隔転移を有する進行例であり、さらに35%は遠隔転移はみられないものの広範な局所進展のため切除不能である局所進行例である。遠隔転移例に対してはFOLFIRINOX療法、ゲムシタビンとナブ・パクリタキセル併用療法が標準治療として確立しているが、局所進行例に対する前向き試験のエビデンスは乏しい。本研究は11試験315例の局所進行膵がんにおける患者レベルでのメタアナリシスである。
生存期間中央値(95%信頼区間)は24.2(21.7-26.8)ヶ月であった。FOLFIRINOX療法後、63%の例が放射線療法を、26%の例が切除を受け、切除例におけるR0切除割合は78%であった。
現在、ゲムシタビン単独療法を参照治療とする第Ⅲ相試験がフランスで進行中である(PRODIGE 29-NEOPAN, NCT02539537)。
JCOG1407は局所進行膵がんを対象にFOLFIRINOX療法とゲムシタビンとナブ・パクリタキセル併用療法を比較するランダム化第Ⅱ相試験で、化学放射線療法との第Ⅲ相試験前の準決勝の位置づけであるが、案に相違して事実上の決勝戦になるかもしれない。

2016年5月30日  石井 浩

局所進行膵がんに対する化学放射線療法 vs. 化学療法単独:LAP07試験

局所進行膵がんに対する化学放射線療法 vs. 化学療法単独:LAP07試験

明らかな遠隔転移はないが、局所への広範な浸潤により切除不能である膵がん(局所進行膵がん:UICC stage Ⅲ)を対象としたフランスの試験である。標準治療が化学療法か化学放射線療法か、未だ充分なエビデンスがない対象である。試験はまずランダム化でゲムシタビン単独療法とゲムシタビン+エルロチニブ療法の2群に割付、4ヶ月の病勢制御が得られた例に対し2群をカペシタビン併用化学放射線療法と化学療法継続(第1ランダム化で割り付けられたレジメン)に再度ランダム化した。これにより化学放射線療法を加えることの化学療法単独療法に対する優越性と、ゲムシタビン+エルロチニブ療法のゲムシタビン単独療法に対する優越性の双方を検証するデザインである。結果は、化学放射線療法、エルロチニブ、いずれの上乗せ効果も示すことができなかった。局所進行膵がんに対しては、前向き臨床試験がないものの遠隔転移例に対するエビデンスに基づき、FOLFIRINOX療法、ゲムシタビン+ナブ・パクリタキセル療法が暫定の標準治療と考えられている。

2016年5月26日  石井 浩

肝細胞がんセカンドライン全身療法としてのcodrituzumabとプラセボの無作為化比較試験

肝細胞がんセカンドライン全身療法としてのcodrituzumabとプラセボの無作為化比較試験

全身療法既治療の進行肝細胞がん例に対する抗グリピカン3ヒト化モノクローナル抗体codrituzumabの有効性を探索するランダム化第Ⅱ相試験である。主要評価項目は無増悪生存期間で185例が登録され、2:1にランダム割付された。対象は半分弱がアジア系、約八割が脈管侵襲/肝外転移例、約八割がソラフェニブ既治療例であった。実薬:プラセボの無増悪生存期間、全生存期間の中央値(ハザード比)はそれぞれ2.6:1.5ヶ月(0.97)、8.7:10ヶ月(0.96)であった。オールカマーに対して現状の用量設定で抗腫瘍効果は不充分であり、グリピカン3の高発現や末梢血免疫細胞のCD16高活性など奏効予知因子による症例選択が必要である。

2016年5月23日  石井 浩

肝細胞がんに対する陽子線療法と血管塞栓化学療法(TACE)のランダム化試験

肝細胞がんに対する陽子線療法と血管塞栓化学療法(TACE)のランダム化試験

肝移植適応(ミラノもしくはサンフランシスコ規準)の肝細胞がん患者を対象とした陽子線療法もしくはTACEのランダム化試験。主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)で、2年無増悪生存割合が陽子線で15%良好を示すには110例が必要。本論文は70例登録後に行う予定された中間解析。局所制御割合、PFSで陽子線療法が優位であったが、全生存期間に有意差なし。陽子線療法12例、TACE10例で各々12.8ヶ月後、11.7ヶ月後に肝移植施行、移植例における陽子線療法、TACEの腫瘍径変化(治療前から移植後)は各々2.8から0.9 cm、3.3から2.4 cm、病理学的完全寛解割合は各々25%、10%。入院期間は陽子線療法で有意に短縮。本試験はこのまま継続する。
カリフォルニア州ロマリンダ大学(ロサンゼルスから東へ90km)の試験。陽子線療法、TACEの位置づけは肝移植までのbridgingであり、全生存で優位性を示すのは困難。また、例によって費用対効果もみる必要があるだろう。

2016年5月16日  石井 浩

日常診療における乳癌センチネルリンパ節検索についての最新情報

日常診療における乳癌センチネルリンパ節検索についての最新情報

乳癌センチネルリンパ節検索についての総説です。

 乳癌センチネルリンパ節検索についての最新情報が、豊富な引用文献とともにまとめられています。たとえば、微少リンパ節転移の意義、センチネルリンパ節陽性患者に対する腋窩リンパ節郭清、センチネルリンパ節検査の術中迅速診断の必要性、センチネルリンパ節の組織学的検索方法、術前化学療法とセンチネルリンパ節検索などについて記述されています。

 著者は病理医ですが、病理医だけではなく乳癌治療に携わる臨床医にも役にたつと思います。 

2016年5月9日  西村 理恵子

日本人膵がん患者に対するゲムシタビンとナブ・パクリタキセル併用療法の第Ⅰ/Ⅱ相試験

日本人膵がん患者に対するゲムシタビンとナブ・パクリタキセル併用療法の第Ⅰ/Ⅱ相試験

ゲムシタビンとナブ・パクリタキセル(GnP)併用療法はMPACT試験により進行再発膵がんに対する第一選択治療として確立した。本論文は同療法の日本における治験成績である。進行再発膵がんに対するもうひとつの第一選択治療であるFOLFIRINOX(FFX)療法と比較すると、海外データではFFX療法が、日本人データ(治験)ではGnP療法が優位な治療成績を示している。

2016年5月2日  石井 浩

膵がんFOLFIRINOX(FFX)療法とゲムシタビン・ナブパクリタキセル(GnP)療法の費用対効果分析

膵がんFOLFIRINOX(FFX)療法とゲムシタビン・ナブパクリタキセル(GnP)療法の費用対効果分析

FFX療法とGnP療法は進行再発膵がんの標準療法である。本論文はFFX療法のPRODIGE試験とGnP療法のMPACT試験をもとにマルコフモデルを用いて行われた中国・四川大学の費用対効果分析である。彼らの計算によるとGnP療法からFFX療法に切り替えたときの増分費用効果比(ICER)は3万2千ドル/QALY、すなわちFFX療法でもう一年延命するために約350万円必要である。中国における費用対効果の閾値は220万円程度であることから、GnP療法はFFX療法に比較して費用対効果が良好である。因みに費用対効果の閾値はイギリス、日本、アメリカでおおよそ350万円、500万円、670万円と考えられている。
本論文のコストは中国、四川省での試算であり、FFX療法のコストがGnP療法よりも高額など日本の事情と異なる点が多々ある。医療経済分析の結果やその解釈は国や地域で異なるが、このような費用対効果解析は今後重要な課題になってくると思われる。

2016年4月26日  石井 浩

乳癌細胞セルブロックを用いたHER2免疫染色標本は組織標本と同様に扱うことができる

乳癌細胞セルブロックを用いたHER2免疫染色標本は組織標本と同様に扱うことができる

四国がんセンターで行われた検討です。

2013年ASCO/CAPの乳癌HER2検査に関する指針で、可能であれば転移巣のHER2検査も行うことが提唱されたため、胸腹水等の細胞診検体を用いた受容体検査の必要性が高まっています。ホルモン受容体検査については充分検討されてきましたが、HER2検査については、染色結果が安定した方法はありませんでした。

そこで、この論文では、乳癌ホルマリン固定セルブロックで免疫染色とDISH検査を行い、組織標本の結果と比較し、日常運用可能なHER2検査方法を提案しています。ホルマリン固定セルブロックは、通常の病理検査室で作製することができ、固定液と固定時間を管理すれば安定した標本作製が可能です。まず免疫染色を行うことにより、費用と手間がかかるDISH検査の件数を減らすことができます。また、DISH検査はFISH検査と比較すると、通常の光学顕微鏡下で観察できます。 

2016年4月7日  西村 理恵子

肝細胞癌に対するビーズ単独塞栓(TAE)vs.ドキソルビシン・ビーズTACE

肝細胞癌に対するビーズ単独塞栓(TAE)vs.ドキソルビシン・ビーズTACE

肝細胞癌は周囲肝と異なり栄養血管が肝動脈ほぼ100%(周囲肝は20%、他の80%は門脈)であることから、栄養動脈をビーズなどの塞栓物質で塞栓すれば肝細胞癌部が選択的に阻血壊死する。「抗腫瘍効果は塞栓物質だけでなく、抗癌剤を併用した方が高いだろう」と昔から考えられ、これを支持する研究も否定的な研究もあります。本論文は欧米で事実上の標準塞栓物質であるビーズに、肝細胞癌に最もよく使用される殺細胞薬ドキソルビシンをon-offしてランダム比較したもの。結果は明らかな差なし。

日本では抗癌剤単独の経動脈的治療も標準治療のひとつと評価されているので本論文は黙殺される、かもしれない。

2016年4月7日  石井 浩

膵がんmodified FOLFIRINOX療法の第Ⅱ相試験:最終報告

膵がんmodified FOLFIRINOX療法の第Ⅱ相試験:最終報告

FOLFIRINOX(FFX)療法は全身状態良好である若年膵がん患者に対する標準治療である。しかし、原法は副作用が強く日本の治験では発熱性好中球減少が20%強にみられ、減量した所謂modified regimen(mFFX療法)が求められていた。本論文はエール大学が中心となって行ったmFFX療法の前向き第Ⅱ相試験の最終結果である。遠隔転移例の奏効割合は35.1%、生存期間中央値は10.2ヶ月であり、ACCORD11試験や日本の治験に遜色のない遠隔成績がより低い毒性で達成され、FFX療法の実臨床への導入に弾みが付きそうである。また、本試験では局所進行例も対象としており、無増悪生存期間中央値、生存期間中央値はそれぞれ17.8ヶ月、26.6ヶ月と極めて良好な成績が示された。局所進行例治療に放射線療法は必要ないのではという長年のテーマが再燃しそうである。

2016年4月4日  石井 浩

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