四国がんセンター:医療関係者の方へ

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肝細胞がんに対する陽子線療法と血管塞栓化学療法(TACE)のランダム化試験

肝細胞がんに対する陽子線療法と血管塞栓化学療法(TACE)のランダム化試験

肝移植適応(ミラノもしくはサンフランシスコ規準)の肝細胞がん患者を対象とした陽子線療法もしくはTACEのランダム化試験。主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)で、2年無増悪生存割合が陽子線で15%良好を示すには110例が必要。本論文は70例登録後に行う予定された中間解析。局所制御割合、PFSで陽子線療法が優位であったが、全生存期間に有意差なし。陽子線療法12例、TACE10例で各々12.8ヶ月後、11.7ヶ月後に肝移植施行、移植例における陽子線療法、TACEの腫瘍径変化(治療前から移植後)は各々2.8から0.9 cm、3.3から2.4 cm、病理学的完全寛解割合は各々25%、10%。入院期間は陽子線療法で有意に短縮。本試験はこのまま継続する。
カリフォルニア州ロマリンダ大学(ロサンゼルスから東へ90km)の試験。陽子線療法、TACEの位置づけは肝移植までのbridgingであり、全生存で優位性を示すのは困難。また、例によって費用対効果もみる必要があるだろう。

2016年5月16日  石井 浩

日常診療における乳癌センチネルリンパ節検索についての最新情報

日常診療における乳癌センチネルリンパ節検索についての最新情報

乳癌センチネルリンパ節検索についての総説です。

 乳癌センチネルリンパ節検索についての最新情報が、豊富な引用文献とともにまとめられています。たとえば、微少リンパ節転移の意義、センチネルリンパ節陽性患者に対する腋窩リンパ節郭清、センチネルリンパ節検査の術中迅速診断の必要性、センチネルリンパ節の組織学的検索方法、術前化学療法とセンチネルリンパ節検索などについて記述されています。

 著者は病理医ですが、病理医だけではなく乳癌治療に携わる臨床医にも役にたつと思います。 

2016年5月9日  西村 理恵子

日本人膵がん患者に対するゲムシタビンとナブ・パクリタキセル併用療法の第Ⅰ/Ⅱ相試験

日本人膵がん患者に対するゲムシタビンとナブ・パクリタキセル併用療法の第Ⅰ/Ⅱ相試験

ゲムシタビンとナブ・パクリタキセル(GnP)併用療法はMPACT試験により進行再発膵がんに対する第一選択治療として確立した。本論文は同療法の日本における治験成績である。進行再発膵がんに対するもうひとつの第一選択治療であるFOLFIRINOX(FFX)療法と比較すると、海外データではFFX療法が、日本人データ(治験)ではGnP療法が優位な治療成績を示している。

2016年5月2日  石井 浩

膵がんFOLFIRINOX(FFX)療法とゲムシタビン・ナブパクリタキセル(GnP)療法の費用対効果分析

膵がんFOLFIRINOX(FFX)療法とゲムシタビン・ナブパクリタキセル(GnP)療法の費用対効果分析

FFX療法とGnP療法は進行再発膵がんの標準療法である。本論文はFFX療法のPRODIGE試験とGnP療法のMPACT試験をもとにマルコフモデルを用いて行われた中国・四川大学の費用対効果分析である。彼らの計算によるとGnP療法からFFX療法に切り替えたときの増分費用効果比(ICER)は3万2千ドル/QALY、すなわちFFX療法でもう一年延命するために約350万円必要である。中国における費用対効果の閾値は220万円程度であることから、GnP療法はFFX療法に比較して費用対効果が良好である。因みに費用対効果の閾値はイギリス、日本、アメリカでおおよそ350万円、500万円、670万円と考えられている。
本論文のコストは中国、四川省での試算であり、FFX療法のコストがGnP療法よりも高額など日本の事情と異なる点が多々ある。医療経済分析の結果やその解釈は国や地域で異なるが、このような費用対効果解析は今後重要な課題になってくると思われる。

2016年4月26日  石井 浩

乳癌細胞セルブロックを用いたHER2免疫染色標本は組織標本と同様に扱うことができる

乳癌細胞セルブロックを用いたHER2免疫染色標本は組織標本と同様に扱うことができる

四国がんセンターで行われた検討です。

2013年ASCO/CAPの乳癌HER2検査に関する指針で、可能であれば転移巣のHER2検査も行うことが提唱されたため、胸腹水等の細胞診検体を用いた受容体検査の必要性が高まっています。ホルモン受容体検査については充分検討されてきましたが、HER2検査については、染色結果が安定した方法はありませんでした。

そこで、この論文では、乳癌ホルマリン固定セルブロックで免疫染色とDISH検査を行い、組織標本の結果と比較し、日常運用可能なHER2検査方法を提案しています。ホルマリン固定セルブロックは、通常の病理検査室で作製することができ、固定液と固定時間を管理すれば安定した標本作製が可能です。まず免疫染色を行うことにより、費用と手間がかかるDISH検査の件数を減らすことができます。また、DISH検査はFISH検査と比較すると、通常の光学顕微鏡下で観察できます。 

2016年4月7日  西村 理恵子

肝細胞癌に対するビーズ単独塞栓(TAE)vs.ドキソルビシン・ビーズTACE

肝細胞癌に対するビーズ単独塞栓(TAE)vs.ドキソルビシン・ビーズTACE

肝細胞癌は周囲肝と異なり栄養血管が肝動脈ほぼ100%(周囲肝は20%、他の80%は門脈)であることから、栄養動脈をビーズなどの塞栓物質で塞栓すれば肝細胞癌部が選択的に阻血壊死する。「抗腫瘍効果は塞栓物質だけでなく、抗癌剤を併用した方が高いだろう」と昔から考えられ、これを支持する研究も否定的な研究もあります。本論文は欧米で事実上の標準塞栓物質であるビーズに、肝細胞癌に最もよく使用される殺細胞薬ドキソルビシンをon-offしてランダム比較したもの。結果は明らかな差なし。

日本では抗癌剤単独の経動脈的治療も標準治療のひとつと評価されているので本論文は黙殺される、かもしれない。

2016年4月7日  石井 浩

膵がんmodified FOLFIRINOX療法の第Ⅱ相試験:最終報告

膵がんmodified FOLFIRINOX療法の第Ⅱ相試験:最終報告

FOLFIRINOX(FFX)療法は全身状態良好である若年膵がん患者に対する標準治療である。しかし、原法は副作用が強く日本の治験では発熱性好中球減少が20%強にみられ、減量した所謂modified regimen(mFFX療法)が求められていた。本論文はエール大学が中心となって行ったmFFX療法の前向き第Ⅱ相試験の最終結果である。遠隔転移例の奏効割合は35.1%、生存期間中央値は10.2ヶ月であり、ACCORD11試験や日本の治験に遜色のない遠隔成績がより低い毒性で達成され、FFX療法の実臨床への導入に弾みが付きそうである。また、本試験では局所進行例も対象としており、無増悪生存期間中央値、生存期間中央値はそれぞれ17.8ヶ月、26.6ヶ月と極めて良好な成績が示された。局所進行例治療に放射線療法は必要ないのではという長年のテーマが再燃しそうである。

2016年4月4日  石井 浩

局所進行膵がんに対するゲムシタビン併用重粒子線療法

局所進行膵がんに対するゲムシタビン併用重粒子線療法

千葉市稲毛にある放射線医学研究所、重粒子線医科学センターでの膵がん治療成績の報告である。ゲムシタビン同時併用で重粒子線照射療法を漸次増加させ、最大耐用線量を検討した。76例が試験に参加、ゲムシタビン1000mg/m2に対し55.2 GyEまで安全に併用照射可能であった(最大耐用線量に到達せず)。高線量群の2年生存割合は48%であった。

FOLFIRINOX療法もしくはゲムシタビン+ナブ・パクリタキセル療法を用いた局所進行膵がん患者の全生存期間は1.5年-2年が予想され、重粒子線療法の成績が極めて良いかは微妙である。

2016年2月22日  石井 浩

肝細胞がんに対するDEB-TACE±ソラフェニブ:SPACE試験

肝細胞がんに対するDEB-TACE±ソラフェニブ:SPACE試験

Intermediate stageの肝細胞がんに対する標準治療はTACE(血管塞栓化学療法)である。SPACE試験は標準治療:TACEに対する試験治療:TACE+ソラフェニブの優位性を二重盲検でランダム比較した試験である。腫瘍評価項目であるTTP(Tome To Progression)は標準治療、試験治療それぞれ166日、169日(ハザード比0.797、P=0.076)であり、残念ながらソラフェニブの上乗せ効果はみられなかった。DEB(Doxorubicin-Eluting Beads)は本邦に導入されて間もなく、また本試験で用いられたスケジュールされたTACE運用が日本ではなじまないことから、TACEとソラフェニブのmarriageが潰えたと未だ考えたくないところである。

2016年2月4日  石井 浩

進行腎がんに対するカボザンチニブ対エベロリムス

進行腎がんに対するカボザンチニブ対エベロリムス

一方、カボザンチニブも既治療の転移性腎がんに対してエベロリムスをコントロールに試験が行われ、無増悪生存率は7.4ヶ月対3.8ヶ月、有効率は21%対5%と良好だったものの、G3/4の有害事象は68%対58%だったと報告されました。この2剤の出現により転移性腎がんの治療体系は今後大きく変わることが予測されます。

2016年2月1日  橋根 勝義

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