四国がんセンター:医療関係者の方へ

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肝細胞がんに対する経皮的ラジオ波焼灼療法 vs. 定位放射線療法

肝細胞がんに対する経皮的ラジオ波焼灼療法 vs. 定位放射線療法

ミシガン大学における経皮的ラジオ波焼灼療法(RFA)と定位放射線療法(SBRT)の後ろ向き観察研究。8年間にRFAで治療した161例とSBRTで治療した63例の比較。
主腫瘍径(1.8 vs. 2.2 cm)や結節数など背景は近似していたが、SBRT群は比較的肝予備能良好、AFP値は高値で、局所的な前治療歴が多かった。1年後、2年後の局所制御割合はそれぞれRFA:83.6%、80.2%、SBRT:97.4%、83.8%であった。局所制御と腫瘍径との関連は、SBRTでは明らかではないものの、RFAは腫瘍径が大きいほど局所制御は低下し、2 cmを超えるとSBRTが有意に良好であった。SBRTは切除不能である肝細胞がん例のやや大きい結節に対する一次治療としてリーズナブルである。
 
台湾の先生からRFA擁護のレター:RFA群の背景が不利でフェアではない。RECISTで局所再発判定はいかがなものか。
 
スイスの先生からSBRT優性は周知の事実とのレター:TACEとのランダム化試験の方が興味あり。
 
ついにRFAの牙城に迫ってきた放射線療法。次の標的は肝切除、刺客は陽子線療法。乞うご期待。
 

2016年7月19日  石井 浩

転移のない膵がん(localized pancreatic cancer)に対する治療の進歩

転移のない膵がん(localized pancreatic cancer)に対する治療の進歩

原著論文「切除可能境界例に対するmFFX療法・カペシタビン化学放射線療法の逐次術前補助療法:A021101」と同じ2016/6/8発行のJAMA Surgery に掲載されたレビューです。
化学療法、放射線療法の進歩により、切除可能性が高まり、膵がん治療の遠隔成績の向上が期待されている現状が理解できます。

2016年7月11日  石井 浩

切除不能原発性肝がんに対する高用量陽子線療法の第Ⅱ相試験

切除不能原発性肝がんに対する高用量陽子線療法の第Ⅱ相試験

米国3施設(マサチューセッツ総合病院、MDアンダーソンがんセンター、ペンシルバニア大学)共同の陽子線療法試験です。対象はキャンサーボードで切除不能と判断された原発性肝がん83例(肝細胞がん(HCC)44、肝内胆管がん(ICC)37、混合型肝がん2)です。HCCの31%、ICCの61%が既治療例、最大腫瘍径中央値は5-6cm、HCCの27%、ICCの12%が多発例、脈管浸潤はHCC、ICCともに3割弱で陽性でした。67.5GyE/15fractions目標で照射量中央値は58.0Gyでした。主要評価項目である2年局所制御割合(目標80%超)はHCC:94.8%、ICC:94.1%で、2年全生存割合はHCC:63.2%、ICC:46.5%でした。これらの良好な結果をもとに、現在、HCCに対する放射線療法 vs. 陽子線療法、ICCに対する化学療法±放射線療法の第Ⅲ相試験の計画が進行中です。
局所制御割合90%超なら小型HCCに対する経皮的ラジオ波焼灼療法に遜色なく、コストを度外視すれば痛みも少なく患者に優しい治療として歓迎されるでしょう。

2016年7月4日  石井 浩

切除可能境界例に対するmFFX療法・カペシタビン化学放射線療法の逐次術前補助療法:A021101

切除可能境界例に対するmFFX療法・カペシタビン化学放射線療法の逐次術前補助療法:A021101

米国国立がん研究所(NCI)がスポンサーとなる臨床試験グループ、Allianceの膵癌術前療法試験です。切除可能境界例とは、切除可能例と局所進行(切除不能)例の境界例のことです。技術的に切除可能であっても、動脈浸潤等で予後不良が予想されることから非手術になることが多い病態です。
膵がんに対しても抗腫瘍効果の著しい治療が近年登場してきていることから、術前療法で切除可能になるのではと注目を集めている領域です。また、膵がんは小さくみつけても、オカルト転移が少なくないことから、手術療法単独の限界は明らかです。そこで補助療法の出番になりますが、膵がん切除術は侵襲が大きく、術後補助療法を受けられる集団は限られています。その点でも術前補助療法は手術とセットで受容できる集団が多いことから、その有用性に関心が高くなっています。
本試験治療は最も強力な多剤併用化学療法のひとつであるmodified FOLFIRINOX(mFFX)療法、化学放射線療法の逐次療法のあとで手術を行い、術後もゲムシタビン補助療法を加えるフルコースになります。登録23例中22例が治療開始となり、14例がグレード3以上の有害事象を経験しつつ、15例が膵切除を受けました。手術15例中14例にR0手術が可能で、2例で病変は完全寛解でした。治療22例の生存期間中央値は21.7ヶ月でした。
従前なら非切除となる集団ですが、今の非手術療法だとこの集団で生存期間中央値21.7ヶ月はそれほど良好な結果とはいえません。しかし、何と言っても手術のメリットは長期生存ですので、本試験では今後の経過観察の結果に期待したいところです。

2016年6月27日  石井 浩

腎がん手術後のスニチニブあるいはソラフェニブによるアジュバント療法

腎がん手術後のスニチニブあるいはソラフェニブによるアジュバント療法

完全切除がなされた腎がん(T1b, G3-4以上)に対するスニチニブ、ソラフェニブ、プラセボ投与の二重盲検試験です。1943例が3群に振り分けられ、1年間内服治療をします。非再発生存率の中央値は、スニチニブ群で5.8年、ソラフェニブ群で6.1年、プラセボ群で6.6年、各群間に有意差は認めませんでした。スニチニブとソラフェニブ投与群で高血圧や手足症候群の有害事象が多く、45%で投与中止になっています。また減量して開始しても30%で投与中止になりました。腎がん手術後の初めてのアジュバント試験でしたが、チロシンキナーゼ阻害薬はアジュバント使用で効果は認めませんでした。

2016年6月23日  橋根 勝義

膵癌切除後補助化学療法S-1 vs. ゲムシタビン:JASPAC 01試験

膵癌切除後補助化学療法S-1 vs. ゲムシタビン:JASPAC 01試験

CONKO-001試験の結果から、膵癌切除後補助療法の標準治療は世界的にゲムシタビン単独療法と考えられていました。JASPAC 01試験は、簡便性、安全性に優れるS-1がゲムシタビンに遜色ない非劣性の遠隔成績を証明するための試験でした。結果は非劣性どころか全生存期間のハザード比が0.57、驚異の圧勝で、日本における膵癌診療が大きく変わるピボタル試験になりました。本試験は打ち切り例がほとんどいなく、その生存曲線は極めて固いエビデンスを物語っています。
ところで、こんな大差で有効中止になっているのに、なぜ観察期間中央値が6年半を超えるまでに最終解析と論文公表が遅れたのでしょうか。その答えは論文中に示されています。徹底的に監査を行い、「日本の論文=研究不正」の疑いの芽を一年かけて徹底的に摘む時間が必要だったようです。

2016年6月20日  石井 浩

進行肝細胞がんの対するソラフェニブ vs. 定位放射線療法:費用対効果解析

進行肝細胞がんの対するソラフェニブ vs. 定位放射線療法:費用対効果解析

切除不能進行肝細胞がんの標準治療はソラフェニブ療法である。しかし、局所進行例に対しては放射線療法が良い治療成績を示すことが観察研究や単アームの臨床試験で示されている。このため、日本では(エビデンスレベルが低いにも関わらず)保険収載されており、その費用はおよそ60万円である。
本論文は台湾で行われたソラフェニブと定位放射線療法の費用対効果分析であり、データはソラフェニブのエビデンスを確立させたSHARP試験とトロント大学で行われた定位放射線療法の第Ⅰ/Ⅱ相試験が用いられた。モデルのソラフェニブ薬剤費は180万円、定位放射線療法費は70万円である。
彼らの計算による増分費用効果比(ICER:定位放射線療法をソラフェニブに切り替えたとき、健康な1年を得るのに必要な差し分の費用)は1300万円/QALYであり、費用対効果の閾値:740万円より高い。よって台湾における進行肝細胞がん定位放射線療法のコスパは高い。
費用対効果の閾値は、イギリス、日本、アメリカで350万円、500万円、670万円とする資料があり、台湾で740万円は?と思います(中国本土では220万円とする論文を既に紹介しました)。つまり、費用対効果解析は所変われば品変わる代物で、インターナショナル・ジャーナルに英文で掲載するべきものなのか、ちょっと訝しむところがあります。

2016年6月6日  石井 浩

局所進行膵がんに対するFOLFIRINOX療法:メタアナリシス

局所進行膵がんに対するFOLFIRINOX療法:メタアナリシス

膵がんは診断時過半数が遠隔転移を有する進行例であり、さらに35%は遠隔転移はみられないものの広範な局所進展のため切除不能である局所進行例である。遠隔転移例に対してはFOLFIRINOX療法、ゲムシタビンとナブ・パクリタキセル併用療法が標準治療として確立しているが、局所進行例に対する前向き試験のエビデンスは乏しい。本研究は11試験315例の局所進行膵がんにおける患者レベルでのメタアナリシスである。
生存期間中央値(95%信頼区間)は24.2(21.7-26.8)ヶ月であった。FOLFIRINOX療法後、63%の例が放射線療法を、26%の例が切除を受け、切除例におけるR0切除割合は78%であった。
現在、ゲムシタビン単独療法を参照治療とする第Ⅲ相試験がフランスで進行中である(PRODIGE 29-NEOPAN, NCT02539537)。
JCOG1407は局所進行膵がんを対象にFOLFIRINOX療法とゲムシタビンとナブ・パクリタキセル併用療法を比較するランダム化第Ⅱ相試験で、化学放射線療法との第Ⅲ相試験前の準決勝の位置づけであるが、案に相違して事実上の決勝戦になるかもしれない。

2016年5月30日  石井 浩

局所進行膵がんに対する化学放射線療法 vs. 化学療法単独:LAP07試験

局所進行膵がんに対する化学放射線療法 vs. 化学療法単独:LAP07試験

明らかな遠隔転移はないが、局所への広範な浸潤により切除不能である膵がん(局所進行膵がん:UICC stage Ⅲ)を対象としたフランスの試験である。標準治療が化学療法か化学放射線療法か、未だ充分なエビデンスがない対象である。試験はまずランダム化でゲムシタビン単独療法とゲムシタビン+エルロチニブ療法の2群に割付、4ヶ月の病勢制御が得られた例に対し2群をカペシタビン併用化学放射線療法と化学療法継続(第1ランダム化で割り付けられたレジメン)に再度ランダム化した。これにより化学放射線療法を加えることの化学療法単独療法に対する優越性と、ゲムシタビン+エルロチニブ療法のゲムシタビン単独療法に対する優越性の双方を検証するデザインである。結果は、化学放射線療法、エルロチニブ、いずれの上乗せ効果も示すことができなかった。局所進行膵がんに対しては、前向き臨床試験がないものの遠隔転移例に対するエビデンスに基づき、FOLFIRINOX療法、ゲムシタビン+ナブ・パクリタキセル療法が暫定の標準治療と考えられている。

2016年5月26日  石井 浩

肝細胞がんセカンドライン全身療法としてのcodrituzumabとプラセボの無作為化比較試験

肝細胞がんセカンドライン全身療法としてのcodrituzumabとプラセボの無作為化比較試験

全身療法既治療の進行肝細胞がん例に対する抗グリピカン3ヒト化モノクローナル抗体codrituzumabの有効性を探索するランダム化第Ⅱ相試験である。主要評価項目は無増悪生存期間で185例が登録され、2:1にランダム割付された。対象は半分弱がアジア系、約八割が脈管侵襲/肝外転移例、約八割がソラフェニブ既治療例であった。実薬:プラセボの無増悪生存期間、全生存期間の中央値(ハザード比)はそれぞれ2.6:1.5ヶ月(0.97)、8.7:10ヶ月(0.96)であった。オールカマーに対して現状の用量設定で抗腫瘍効果は不充分であり、グリピカン3の高発現や末梢血免疫細胞のCD16高活性など奏効予知因子による症例選択が必要である。

2016年5月23日  石井 浩

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