四国がんセンター:医療関係者の方へ

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肝細胞がんに対するレンバチニブの第Ⅱ相試験

肝細胞がんに対するレンバチニブの第Ⅱ相試験

進行再発肝細胞がんの標準的薬物療法はソラフェニブ療法である。レンバチニブはエーザイが開発している日本発のマルチキナーゼ阻害薬であり、今回第Ⅱ相試験成績が論文公表された。日本と韓国で46例が登録され、奏効割合は37%、全生存期間中央値は18.7ヶ月と従来のソラフェニブと比較して抜群によい治療成績であった。ソラフェニブとの直接対決の第Ⅲ相試験結果がほどなく公表される予定である。刮目して待ちたい。

2016年10月27日  石井 浩

転移のある前立腺癌患者に対して前立腺に放射線治療を追加することで生存率が改善する

転移のある前立腺癌患者に対して前立腺に放射線治療を追加することで生存率が改善する

2004~2012年にかけて,転移のある前立腺癌患者 6,382名をデータベースから特定、その中で538名(8.4 %)が前立腺に放射線治療を受けていました。経過観察期間中央値 5.1年で,ホルモン治療と放射線治療の併用群でホルモン治療単独群より全生存期間の改善が見られました(中央値で55ヶ月対37ヶ月、P<0.001)。ホルモン治療と前立腺全摘除術の解析もなされ、ホルモン治療単独より生存率は良く、放射線群とは有意差はありませんでした。転移のある前立腺癌ではホルモン治療単独がこれまで一般的でしたが、今後治療効果予測因子が明らかになれば、放射線や手術の局所療法も選択肢になりそうです。

2016年10月24日  橋根 勝義

肝細胞がんに対するソラフェニブ±シスプラチン動注療法のランダム化第Ⅱ相試験

肝細胞がんに対するソラフェニブ±シスプラチン動注療法のランダム化第Ⅱ相試験

筆者がグループ事務局を務めるJCOG肝胆膵グループの施設が中心となって施行した第Ⅱ相試験です。進行肝細胞がん例を対象として、試験治療(ソラフェニブ+シスプラチン動注併用療法)と標準治療(ソラフェニブ単独療法)を2:1にランダム割り付けし、主要評価項目である全生存期間を比較しました。試験治療66例の生存期間中央値は10.6ヶ月であり、標準治療42例の8.7ヶ月に比較して有意(ハザード比:0.60、P=0.031)に良好でした。試験治療は第Ⅲ相試験治療の有力候補である。
Lancet Oncologyに本論文のニュースが掲載された。試験概要の紹介とともに、「化学療法とのコンビネーションは魅力がない」「免疫チェックポイント阻害薬の方が魅力的」「日本人データで非アジアで再現されるか疑問」など、米国の研究者数名の辛口コメントが並んでいる。

2016年10月20日  石井 浩

膵神経内分泌腫瘍に対するエベロリムス:RADIANT3全生存期間アップデート

膵神経内分泌腫瘍に対するエベロリムス:RADIANT3全生存期間アップデート

2011年に公表された主たる解析(Everolimus for Advanced Pancreatic Neuroendocrine Tumors)の続報で、全生存期間のアップデートである。エベロリムス群の全生存期間中央値は44.0ヶ月であり、プラセボ群(37.7ヶ月)と比べて良好であったが、有意差はみられなかった(ハザード比:0.94、P=0.30)。プラセボ群の85%がクロスオーバーでエベロリムス治療を受けたことが有意差のみられなかった要因と考えられる。

2016年10月17日  石井 浩

ネオ・アジュバント療法+切除術とアップフロント切除術の比較:傾向スコア解析

ネオ・アジュバント療法+切除術とアップフロント切除術の比較:傾向スコア解析

2006年から2012年までの米国がん登録から臨床病期1/2(切除可能)で根治を目的とした手術が行われた膵頭部腺癌15,237例を抽出した。病歴不備等で296例を除外した14,941例(ネオ・アジュバント療法+切除術(NAT):2,104例、アップフロント切除術(UR):12,837例)が本研究のコホートであり、3:1で傾向スコア・マッチングしたNAT群:2,005例、UR群:6,015例を比較した。
NAT群の生存期間中央値は26ヶ月であり、UR群(21ヶ月)と比較し有意に良好(ハザード比:0.72)であった。UR群の背景はpT3/4割合、pN1割合、R0割合が有意に高かった。UR群の術後補助療法サブグループとの比較でも、NAT群の遠隔成績は有意に良好(ハザード比:0.83)であった。
本研究は後ろ向き観察研究であり、NAT群は補助療法のあとに切除療法を受けることが可能であった「選ばれた集団」である。したがって結果はあくまでも仮説であるが、切除可能性に対するネオ・アジュバント療法前向き試験に大きな合理性を与えるものである。とくに、侵襲の大きい手術を避けるべき患者の選択手段としてネオ・アジュバント療法は期待される。

2016年10月13日  石井 浩

転移のある前立腺癌患者に対して前立腺に放射線治療を追加することで生存率が改善する

転移のある前立腺癌患者に対して前立腺に放射線治療を追加することで生存率が改善する

2004~2012年にかけて,転移のある前立腺癌患者 6,382名をデータベースから特定、その中で538名(8.4 %)が前立腺に放射線治療を受けていました。経過観察期間中央値 5.1年で,ホルモン治療と放射線治療の併用群でホルモン治療単独群より全生存期間の改善が見られました(中央値で55ヶ月対37ヶ月、P<0.001)。ホルモン治療と前立腺全摘除術の解析もなされ、ホルモン治療単独より生存率は良く、放射線群とは有意差はありませんでした。転移のある前立腺癌ではホルモン治療単独がこれまで一般的でしたが、今後治療効果予測因子が明らかになれば、放射線や手術の局所療法も選択肢になりそうです。

2016年10月11日  橋根 勝義

ゲムシタビン不応膵がんに対するmodified FOLFOX6と5-FU/LVの第Ⅲ相試験(PANCREOX試験)

ゲムシタビン不応膵がんに対するmodified FOLFOX6と5-FU/LVの第Ⅲ相試験(PANCREOX試験)

進行再発膵がんの標準一次治療のひとつであるゲムシタビン関連レジメン後のセカンドラインに関する米国カナダの第Ⅲ相試験の報告である。ドイツで行われたCONKO-003試験で、同様のセカンドライン設定で5-FUレジメンに対するオキサリプラチンの上乗せ効果が検証されているが、用いられたOFFレジメンが一般的でないため、汎用されているmodified FOLFOX6(mFOLFOX)で追試を行った。16週後の無増悪生存割合15%の向上を80%の検出力で証明するため128例の登録目標でスタートしたが、2年半後108例で途中中止となった。結果、mFOLFOX群は対照と比べ全生存で有意に予後不良であり、グレード3/4毒性は高率であった。
本論文の考察:5-FUレジメンに対するオキサリプラチンの上乗せ効果、なぜCONKO-003試験でpositive、PANCREOX試験でnegativeなのか。オキサリプラチンの用量はCONKO-003試験のOFFレジメンよりもPANCREOX試験のmFOLFOXの方が多い。セカンドライン設定ではmFOLFOXのオキサリプラチン用量は多すぎでOFF程度でちょうど良いのかもしれない。
筆者の感想:オキサリプラチンをきっちり使うなら初回治療が好機であり、その意味ではゲムシタビン関連レジメンよりもFOLFIRINOXの方が初回治療として有利かもしれない。

2016年10月3日  石井 浩

前立腺全摘除術はロボット支援と開腹のどちらが良いのか?

前立腺全摘除術はロボット支援と開腹のどちらが良いのか?

前立腺全摘除術に関して、ロボット支援手術と開腹手術のランダム化比較試験の結果が発表されました。両群163例ずつで(最終解析はロボット支援手術131例、開腹手術121例)、術後6週と12週の時点での排尿機能、性機能は両群で有意差はなく、断端陽性率(ロボット支援手術15%、開腹手術10%)も差はなかったとしています。術後合併症は、ロボット支援手術6例(4%)、開腹手術14例(9%)で有意差はないもののロボット支援手術の方が少ない結果でした。本研究の開始時点で開放手術の術者は1500症例以上経験しているのに対し,ロボット支援手術の術者は2年のロボットfellowship後に200症例しか経験していないという不利な条件下での試験ですが、同等の結果であったと言うことはロボット支援手術の有意性をある程度示しているかもしれません。もちろん論文にあるように今後長期間の観察は必要です。

2016年9月26日  橋根 勝義

局所進行膵がんに対するナノナイフ(不可逆電気穿孔法)の第Ⅰ/Ⅱ相試験(PANFIRE試験)

局所進行膵がんに対するナノナイフ(不可逆電気穿孔法)の第Ⅰ/Ⅱ相試験(PANFIRE試験)

ナノナイフは複数本の細径電極針を腫瘍周囲に穿刺し、電極針間の高電圧短時間パルス通電により、腫瘍細胞にナノサイズの穴をあけて抗腫瘍効果を得る新規の局所療法である。東京医科大学によると、2016年4月現在、米国で50台、欧州で20台が稼働中で、日本では5台導入されている(東京医科大学ナノナイフ治療のしおりより)。本論文は膵がんに対する第Ⅰ/Ⅱ相試験であり、アムステルダム自由大学からの報告である。対象は局所進行膵がん25例で、高圧通電するため金属ステント例、てんかん例、心室性不整脈例は除外された。最大腫瘍径中央値は4.0(3.3-5.0)cmで局所増悪までの期間中央値12ヶ月、生存期間中央値は手技から13ヶ月、診断から17ヶ月であった。25例中10例に23有害事象がみられた。2例でグレード4の有害反応あり、経皮的ドレナージ要する重症膵炎と輸血を要する壊死領域近傍からの十二指腸出血であった。本療法は比較的危険な治療手技といえる。

2016年9月20日  石井 浩

進行膵がんに対するゲムシタビン±IMM-101のランダム化第Ⅱ相試験(IMAGE1試験)

進行膵がんに対するゲムシタビン±IMM-101のランダム化第Ⅱ相試験(IMAGE1試験)

IMM-101は、加熱殺菌されたマイコバクテリウム・オブエンスを含む全身免疫調整剤である。2015年に米国臨床腫瘍学会と世界消化器がん学会で発表された試験が論文として公表された。本試験は2011年から80例予定でスタートし、最終的に110例が登録され、単独群に35例、併用群に75例が割り付けられた。併用群の全生存期間、無増悪生存期間は単独群に比較して良好であった。その傾向は遠隔転移例でより顕著であり、全生存期間中央値は単独群28例4.4ヶ月、併用群64例7ヶ月であった(p=0.01)。
免疫療法といえば免疫チェックポイント阻害薬が現在花盛りであるが、膵がん領域では本剤以外にも免疫調整剤が注目されており、米国ではがんワクチン(GVAX、CRS-207)の開発が進行中である(NCT02243371:STELLAR試験、NCT02451982)。

2016年9月12日  石井 浩

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