四国がんセンター:医療関係者の方へ

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膵頭部領域悪性腫瘍による閉塞性黄疸:切除前に減黄は必要か?

膵頭部領域悪性腫瘍による閉塞性黄疸:切除前に減黄は必要か?

閉塞性黄疸を有する膵癌例に対し、減黄術なしで切除に望む方針と減黄術を施行してから切除に望む方針でどちらが有利であるかは未だ不明である。本論文は両方針について、全合併症、創感染、膵液瘻、腹腔内膿瘍、30日以内全死亡の症例割合を比較したミュンヘン工科大学によるメタアナリシスである。
PRISMAガイドラインに従い、関連する1,816論文から25論文(後ろ向き研究22、ランダム化試験3、計6,214例)を選択した。術前減黄術は切除ファーストに比べて全合併症はオッズ比1.40(95%信頼区間1.14-1.72)、創感染はオッズ比1.94(95%信頼区間1.48-2.53)で高リスクであった。膵液瘻、腹腔内膿瘍、30日以内全死亡の症例割合は両方針で有意差はみられなかった。
術前減黄術は術後経過を明らかに好転させるものではなく、むしろ全合併症、創感染のリスク因子となる。術前減黄術はルーティンに漫然と行うべき手技ではなく、施行前によくよくその適応を吟味すべきである。

2017年1月16日  石井 浩

LH-RH単独での去勢抵抗性前立腺癌にはビカルタミドよりエンザルタミドの方が有効

LH-RH単独での去勢抵抗性前立腺癌にはビカルタミドよりエンザルタミドの方が有効

STRIVE試験およびTERRAIN試験ともLH-RH単独治療後の病勢進行に対して、ビカルタミドとエンザルタミドにランダム化された試験で、両試験ともに各群約200例ずつの第2相試験結果です。両試験ともにエンザルタミド群で有意に無増悪生存期間が延長しており、エンザルタミドの有用性が示されました。ただし、日本ではホルモン治療ははじめからビカルタミドを併用することが多く、またエンザルタミドの有害事象も問題となることが多く若干状況が違っています。

TERRAIN試験:
 http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1470204515005185

2017年1月10日  橋根 勝義

ソラフェニブ不応肝細胞癌に対するレゴラフェニブの第Ⅲ相試験

ソラフェニブ不応肝細胞癌に対するレゴラフェニブの第Ⅲ相試験

去年(2016年)6月30日、第18回世界消化器癌学会(バルセロナ)で公表されたピボタル試験の論文である。切除不能進行肝細胞癌の標準治療であるソラフェニブ療法で画像進行した患者に対するレゴラフェニブのプラセボ対照二重盲検ランダム化第Ⅲ相で、21カ国152施設が参加し843例が登録された。レゴラフェニブ群の生存期間中央値は10.6ヶ月であり、プラセボ群(7.8ヶ月)に比較して有意な延長がみられた。頻度の高い重要な副作用は高血圧、手足皮膚反応、疲労、下痢であった。レゴラフェニブ治療関連死は2%であった。
ソラフェニブ登場以来10余年にわたる数多の第Ⅲ相試験の歴史で初めての成功例であり喜ばしい限りであるが、ソラフェニブと同系統薬であるところが痛し痒しである。

2017年1月4日  石井 浩

スニチニブの術後補助療法

スニチニブの術後補助療法

限局性腎癌に対してスニチニブを術後1年間内服する第3相ランダム化比較試験です。対象は高リスク淡明細胞癌患者615例で、スニチニブ群とプラセボ群にランダム化され、スニチニブは50mgから開始、37.5mgまでの減量は許容されます。非再発生存期間中央値はスニチニブ群で6.8年、プラセボ群の5.6年と比較し有意に延長しました。一方で、スニチニブ群での減量は34.3%、中止症例は28.1%あり、grade3以上の有害事象もスニチニブ群が多い結果でした。

2016年12月26日  橋根 勝義

切除不能進行胆道癌に放射線療法は役に立っているのだろうか?

切除不能進行胆道癌に放射線療法は役に立っているのだろうか?

多くの先進国で胆道癌は稀少であり、胆道癌に対する放射線療法のエビデンスはほとんどない。本研究は米国スタンフォード大学放射線腫瘍科のSEERメディケア・データベースを用いた観察研究である。
対象は1998年から2011年までに切除不能胆道癌診断された2343例で、このうち451例(19%)が診断4ヶ月以内に放射線療法を受けていた。高齢、独身、低所得等が放射線療法を受けにくい因子だった(逆にいうと、家庭を持っている若い高所得者が放射線路湯法を受ける傾向にあった)。4ヶ月以上生存例の生存期間中央値は、放射線療法なし群9.3ヶ月、あり群10.0ヶ月で有意差はなかった。しかし、化学療法あり群(1053例)に限定すると、放射線療法ありのハザード比は0.82(95%信頼区間0.70-0.97)で予後改善と有意に関連していた。化学療法なし群(1290例)では放射線療法ありのハザード比は1.09(95%信頼区間0.91-1.30)であり、予後との関連は明らかではなかった。以上の傾向は傾向スコア解析でも同様であった。以上、胆道癌に対する放射線療法は化学療法との併用で生存期間延長の可能性が示唆されたが、施行件数は年々減少傾向にある。
胆道癌放射線療法をもう少し盛り上げたいという放射線療法の先生の思いを感じました。

2016年12月19日  石井 浩

PSA監視療法より根治療法が転移進行を抑える

PSA監視療法より根治療法が転移進行を抑える

PSA監視療法、手術、放射線の3群でのランダム化比較試験ProtecT試験の結果が発表されました。この試験は1999年から2009年にイギリスで限局性前立腺癌と診断された2664例中同意の得られた1643例を3群にランダムに振り分け比較しています。前立腺癌死症例はいずれの群も少なく、有意差はありませんでしたが、転移出現や病勢進行症例は有意に監視療法群で多い結果でした。これまでのSPCG-4やPIVOT試験と異なり、治療介入への基準が定められていることから、現在の診療に近い試験結果といえます。ただし、監視生検はなされていないので監視療法には若干不利な状況です。

2016年12月12日  橋根 勝義

胆道癌標準療法GCのコストパフォーマンスはGem単独に比較して不良

胆道癌標準療法GCのコストパフォーマンスはGem単独に比較して不良

日本(愛知医大、名城大学等)からの報告。胆道癌の標準治療であるゲムシタビン+シスプラチン併用(GC)療法の費用対効果を、ゲムシタビン単独(Gem)療法と比較した。ベースのコストはGC:1545万円、Gem:1233万円であった。増分費用対効果比(ICER:健康な1年を得るために必要な費用)は1370万円であり、これは確率論的に推定された支払い意志額:600万円よりも高額であった。日本においてGC療法のコストパフォーマンスは必ずしも良くない。
たとえば、高齢者では毒性の低い単剤療法を考慮してはどうかということと思います。

2016年12月5日  石井 浩

限局性前立腺癌に対する根治療法、メタ解析では放射線より手術が上

限局性前立腺癌に対する根治療法、メタ解析では放射線より手術が上

手術と放射線の成績を直接比較するのは困難であるため、バイアスの比較的少ない論文を抽出し、メタ解析をしています。その結果、全生存率に関してはハザード比、1.63、前立腺癌特異生存率に関してもハザード比2.08で手術の方が上回っていました。リスク分類や照射方法などのサブ解析でも結果は同じで手術の方が上でした。バイアスが存在するのは仕方のないことですが、一つのエビデンスとして重要な結果だと思われます。

2016年11月21日  橋根 勝義

膵がんに対する術前減黄の遠隔成績に対する影響

膵がんに対する術前減黄の遠隔成績に対する影響

日本の多施設共同観察研究で、膵がん切除後遠隔成績の予後因子を検討しています。本論文ではとくに術前減黄について述べています。膵がん切除932例中、407例(44%)が術前減黄処置として内視鏡的ドレナージ(EBD)を受け、166例(18%)が経皮的ドレナージ(PTBD)を受けました。術前減黄なし群、EBD群、PTBD群の生存期間中央値は各々25.7ヶ月、22.3ヶ月、16.7ヶ月で、PTBD群のみが有意に成績が不良でした。また、PTBD群は23%で腹膜再発を来たし、術前減黄なし群(11%)、EBD群(10%)に比較して有意に腹膜再発割合が高率でした。
先の論文で肝門部胆管がんの術前減黄に対するPTBDの擁護を紹介しましたが、本論文は下部胆管閉塞を来す膵がんではPTBD避けるべしが結論です。

2016年11月14日  石井 浩

肝門部胆管がんに対する術前減黄に経皮的ドレナージはありか?

肝門部胆管がんに対する術前減黄に経皮的ドレナージはありか?

胆道がんの術前減黄は安全な根治切除のために必要な手技である。減黄ドレナージ手技には経皮的(PTBD)と内視鏡的(EBD)のふたつのアプローチがあるが、経皮穿刺の侵襲と播種のリスクを伴うPTBDは忌避されやすく、近年の内視鏡技術の向上からEBDが積極的に推奨される傾向にある。しかし、肝門部胆管がんではEBDが困難でPTBDを選択せざるをえない状況もしばしばみられる。本論文はアメリカとオランダの2施設で術前減黄を行った278例の肝門部胆管がん症例の後ろ向き観察研究である。
術後合併症で33例を除外した245例を対象とし、88例のPTBD群と157例のEBD群を比較した。補正なしの生存期間中央値はPTBD:35ヶ月、EBD:41ヶ月(P=0.26)であった。傾向スコアで補正したハザード比は1.05で差はなかった。初回再発部位としての手術創播種はPTBD群3例(3.4%)、EBD群4例(2.7%)であった(P=0.71)。
世間的に「ドレナージは内視鏡」という風潮の中で、経皮穿刺をいやがる欧米においてPTBD再評価の論調がでたことに驚きである。

2016年11月7日  石井 浩

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