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切除不能進行胆道癌に放射線療法は役に立っているのだろうか?

切除不能進行胆道癌に放射線療法は役に立っているのだろうか?

多くの先進国で胆道癌は稀少であり、胆道癌に対する放射線療法のエビデンスはほとんどない。本研究は米国スタンフォード大学放射線腫瘍科のSEERメディケア・データベースを用いた観察研究である。
対象は1998年から2011年までに切除不能胆道癌診断された2343例で、このうち451例(19%)が診断4ヶ月以内に放射線療法を受けていた。高齢、独身、低所得等が放射線療法を受けにくい因子だった(逆にいうと、家庭を持っている若い高所得者が放射線路湯法を受ける傾向にあった)。4ヶ月以上生存例の生存期間中央値は、放射線療法なし群9.3ヶ月、あり群10.0ヶ月で有意差はなかった。しかし、化学療法あり群(1053例)に限定すると、放射線療法ありのハザード比は0.82(95%信頼区間0.70-0.97)で予後改善と有意に関連していた。化学療法なし群(1290例)では放射線療法ありのハザード比は1.09(95%信頼区間0.91-1.30)であり、予後との関連は明らかではなかった。以上の傾向は傾向スコア解析でも同様であった。以上、胆道癌に対する放射線療法は化学療法との併用で生存期間延長の可能性が示唆されたが、施行件数は年々減少傾向にある。
胆道癌放射線療法をもう少し盛り上げたいという放射線療法の先生の思いを感じました。

2016年12月19日  石井 浩

PSA監視療法より根治療法が転移進行を抑える

PSA監視療法より根治療法が転移進行を抑える

PSA監視療法、手術、放射線の3群でのランダム化比較試験ProtecT試験の結果が発表されました。この試験は1999年から2009年にイギリスで限局性前立腺癌と診断された2664例中同意の得られた1643例を3群にランダムに振り分け比較しています。前立腺癌死症例はいずれの群も少なく、有意差はありませんでしたが、転移出現や病勢進行症例は有意に監視療法群で多い結果でした。これまでのSPCG-4やPIVOT試験と異なり、治療介入への基準が定められていることから、現在の診療に近い試験結果といえます。ただし、監視生検はなされていないので監視療法には若干不利な状況です。

2016年12月12日  橋根 勝義

胆道癌標準療法GCのコストパフォーマンスはGem単独に比較して不良

胆道癌標準療法GCのコストパフォーマンスはGem単独に比較して不良

日本(愛知医大、名城大学等)からの報告。胆道癌の標準治療であるゲムシタビン+シスプラチン併用(GC)療法の費用対効果を、ゲムシタビン単独(Gem)療法と比較した。ベースのコストはGC:1545万円、Gem:1233万円であった。増分費用対効果比(ICER:健康な1年を得るために必要な費用)は1370万円であり、これは確率論的に推定された支払い意志額:600万円よりも高額であった。日本においてGC療法のコストパフォーマンスは必ずしも良くない。
たとえば、高齢者では毒性の低い単剤療法を考慮してはどうかということと思います。

2016年12月5日  石井 浩

限局性前立腺癌に対する根治療法、メタ解析では放射線より手術が上

限局性前立腺癌に対する根治療法、メタ解析では放射線より手術が上

手術と放射線の成績を直接比較するのは困難であるため、バイアスの比較的少ない論文を抽出し、メタ解析をしています。その結果、全生存率に関してはハザード比、1.63、前立腺癌特異生存率に関してもハザード比2.08で手術の方が上回っていました。リスク分類や照射方法などのサブ解析でも結果は同じで手術の方が上でした。バイアスが存在するのは仕方のないことですが、一つのエビデンスとして重要な結果だと思われます。

2016年11月21日  橋根 勝義

膵がんに対する術前減黄の遠隔成績に対する影響

膵がんに対する術前減黄の遠隔成績に対する影響

日本の多施設共同観察研究で、膵がん切除後遠隔成績の予後因子を検討しています。本論文ではとくに術前減黄について述べています。膵がん切除932例中、407例(44%)が術前減黄処置として内視鏡的ドレナージ(EBD)を受け、166例(18%)が経皮的ドレナージ(PTBD)を受けました。術前減黄なし群、EBD群、PTBD群の生存期間中央値は各々25.7ヶ月、22.3ヶ月、16.7ヶ月で、PTBD群のみが有意に成績が不良でした。また、PTBD群は23%で腹膜再発を来たし、術前減黄なし群(11%)、EBD群(10%)に比較して有意に腹膜再発割合が高率でした。
先の論文で肝門部胆管がんの術前減黄に対するPTBDの擁護を紹介しましたが、本論文は下部胆管閉塞を来す膵がんではPTBD避けるべしが結論です。

2016年11月14日  石井 浩

肝門部胆管がんに対する術前減黄に経皮的ドレナージはありか?

肝門部胆管がんに対する術前減黄に経皮的ドレナージはありか?

胆道がんの術前減黄は安全な根治切除のために必要な手技である。減黄ドレナージ手技には経皮的(PTBD)と内視鏡的(EBD)のふたつのアプローチがあるが、経皮穿刺の侵襲と播種のリスクを伴うPTBDは忌避されやすく、近年の内視鏡技術の向上からEBDが積極的に推奨される傾向にある。しかし、肝門部胆管がんではEBDが困難でPTBDを選択せざるをえない状況もしばしばみられる。本論文はアメリカとオランダの2施設で術前減黄を行った278例の肝門部胆管がん症例の後ろ向き観察研究である。
術後合併症で33例を除外した245例を対象とし、88例のPTBD群と157例のEBD群を比較した。補正なしの生存期間中央値はPTBD:35ヶ月、EBD:41ヶ月(P=0.26)であった。傾向スコアで補正したハザード比は1.05で差はなかった。初回再発部位としての手術創播種はPTBD群3例(3.4%)、EBD群4例(2.7%)であった(P=0.71)。
世間的に「ドレナージは内視鏡」という風潮の中で、経皮穿刺をいやがる欧米においてPTBD再評価の論調がでたことに驚きである。

2016年11月7日  石井 浩

中間から高リスク群の限局性前立腺がんに対する放射線治療には短期間のホルモン併用が有用である

中間から高リスク群の限局性前立腺がんに対する放射線治療には短期間のホルモン併用が有用である

中間から高リスク群に対して放射線治療単独(70-78 Gy)と6ヶ月間のゴセレリン併用群とのランダム化比較試験の結果が発表されました。5年でのPSA非再発率は併用群で82.6%、単独群の69.8%と比較し優位に良好でした。臨床的再発や局所再発も併用群が良好でしたが、全生存に関しては両群に差は見られません。今後長期の観察によって短期間のホルモンの併用の意義がさらに明らかにされるものと思われます。

2016年10月31日  橋根 勝義

肝細胞がんに対するレンバチニブの第Ⅱ相試験

肝細胞がんに対するレンバチニブの第Ⅱ相試験

進行再発肝細胞がんの標準的薬物療法はソラフェニブ療法である。レンバチニブはエーザイが開発している日本発のマルチキナーゼ阻害薬であり、今回第Ⅱ相試験成績が論文公表された。日本と韓国で46例が登録され、奏効割合は37%、全生存期間中央値は18.7ヶ月と従来のソラフェニブと比較して抜群によい治療成績であった。ソラフェニブとの直接対決の第Ⅲ相試験結果がほどなく公表される予定である。刮目して待ちたい。

2016年10月27日  石井 浩

転移のある前立腺癌患者に対して前立腺に放射線治療を追加することで生存率が改善する

転移のある前立腺癌患者に対して前立腺に放射線治療を追加することで生存率が改善する

2004~2012年にかけて,転移のある前立腺癌患者 6,382名をデータベースから特定、その中で538名(8.4 %)が前立腺に放射線治療を受けていました。経過観察期間中央値 5.1年で,ホルモン治療と放射線治療の併用群でホルモン治療単独群より全生存期間の改善が見られました(中央値で55ヶ月対37ヶ月、P<0.001)。ホルモン治療と前立腺全摘除術の解析もなされ、ホルモン治療単独より生存率は良く、放射線群とは有意差はありませんでした。転移のある前立腺癌ではホルモン治療単独がこれまで一般的でしたが、今後治療効果予測因子が明らかになれば、放射線や手術の局所療法も選択肢になりそうです。

2016年10月24日  橋根 勝義

肝細胞がんに対するソラフェニブ±シスプラチン動注療法のランダム化第Ⅱ相試験

肝細胞がんに対するソラフェニブ±シスプラチン動注療法のランダム化第Ⅱ相試験

筆者がグループ事務局を務めるJCOG肝胆膵グループの施設が中心となって施行した第Ⅱ相試験です。進行肝細胞がん例を対象として、試験治療(ソラフェニブ+シスプラチン動注併用療法)と標準治療(ソラフェニブ単独療法)を2:1にランダム割り付けし、主要評価項目である全生存期間を比較しました。試験治療66例の生存期間中央値は10.6ヶ月であり、標準治療42例の8.7ヶ月に比較して有意(ハザード比:0.60、P=0.031)に良好でした。試験治療は第Ⅲ相試験治療の有力候補である。
Lancet Oncologyに本論文のニュースが掲載された。試験概要の紹介とともに、「化学療法とのコンビネーションは魅力がない」「免疫チェックポイント阻害薬の方が魅力的」「日本人データで非アジアで再現されるか疑問」など、米国の研究者数名の辛口コメントが並んでいる。

2016年10月20日  石井 浩

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