四国がんセンター:医療関係者の方へ

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膵がん切除後補助化学療法ESPAC-4試験:欧州新標準はゲムシタビン+カペシタビン

膵がん切除後補助化学療法ESPAC-4試験:欧州新標準はゲムシタビン+カペシタビン

膵がん切除後の補助化学療法に関しては、欧州連合のESPAC、ドイツのCONKO、日本のJASPACが、大規模ランダム化試験として一級のエビデンスを発信してきた。本試験の前身、ESPAC-3はFUに対するゲムシタビン(Gem)の非劣性、CONKO-001は経過観察に対するGemの優越性、JASPAC-01はGemに対するFU(S1)の優越性を各々検証した。欧米人に対してS1は毒性が強いため、これらのエビデンスから欧米ではGem、日本ではS1が標準薬であった。
ESPAC-4は欧米標準Gemに対するGem+カペシタビンの優越性を検証する試験であり、仮説はハザード比0.82(P=0.032)で見事に検証された。JASPAC-01と同様、試験治療はR1例よりもRO例でより有効であった。試験治療Gem+カペシタビンの毒性は許容範囲内と考えられ、本療法は(欧州の)新標準治療である。
日本のJSAP-04(術後Gem対Gem+S1)の結果が待望される。

2017年2月20日  石井 浩

手術・放射線・監視療法後のQOL

手術・放射線・監視療法後のQOL

PSAで発見された限局性前立腺癌に対して,監視療法,手術,放射線の3群を比較した無作為化比較試験(ProtecT試験)の生存解析が発表され、このコラムでも以前紹介しました。さらに追加報告として、同試験におけるQOL結果が発表されました。手術群では,性機能と尿禁制でQOLが低下し、悪影響を及ぼしていました。放射線群では,消化管機能の低下が目立ち(6か月目が最悪),性機能障害は一過性でした。監視療法群では,性機能と排尿機能が徐々に低下していました。一方で,不安,うつ症状,健康状態には有意差は認めませんでした。 

2017年2月13日  橋根 勝義

中腸神経内分泌腫瘍に対するルテチウム-177の第Ⅲ相試験

中腸神経内分泌腫瘍に対するルテチウム-177の第Ⅲ相試験

2015年ウィーンで開催された欧州臨床腫瘍学会で発表されたソマトスタチン受容体陽性中腸神経内分泌腫瘍患者におけるルテチウム-177の第Ⅲ相試験(NETTER試験)の中間解析結果の論文である。本療法はα線を放出する放射線同位元素:ルテチウム-177を用いた核医学治療である。ソマトスタチン・アナログに結合したルテチウム-177が、ソマトスタチン受容体陽性腫瘍に集積し、選択的に内照射放射線療法を行う。
高分化型の転移性中腸神経内分泌腫瘍229例を試験治療(ルテチウム-177+ソマトスタチン)と標準治療ソマトスタチン単独に割り付け、治療成績を比較した。20ヵ月無増悪生存割合は試験治療群65.2%(95%信頼区間50.0-76.8%)、標準治療群10.8%(同3.5~23.0%)、奏効割合は試験治療群18%、標準治療3%であった(P<0.001)。試験治療の主な有害事象は血液毒性で、グレード3/4の好中球減少、血小板減少、リンパ球減少は各々1%、2%、9%であった。
中間解析結果ではあるが圧倒的な差がみられており、本邦でも早期の承認が望まれる。

2017年2月6日  石井 浩

尿路上皮がんに対する免疫チェックポイント阻害剤

尿路上皮がんに対する免疫チェックポイント阻害剤

免疫チェックポイントの開発は尿路上皮癌でも急速に進んでいますが、まずはじめに抗PD-L1である、アテゾリズマブの結果が公表されました。第2相試験、単アームでの多施設共同試験です。アテゾリズマブは3週毎に1200mg投与します。119例に試験治療がなされ、有効率は23%、CRも11例、9%に認められました。無増悪生存期間中央値は2.7ヶ月ですが、生存期間中央値は15.9ヶ月でした。有意事象は、倦怠感が30%で最も多く、次いで下痢の12%です。有害事象で治療が中止になったのは9例、8%でした。第3相試験の結果が待たれるところです。

2017年1月30日  橋根 勝義

ソラフェニブはB型肝炎陰性かつC型肝炎陽性の肝細胞がんにしか効かない!?

ソラフェニブはB型肝炎陰性かつC型肝炎陽性の肝細胞がんにしか効かない!?

ソラフェニブは初発進行肝細胞がんに対し、プラセボと比較して明らかな延命効果を示した唯一の薬物である。打倒ソラフェニブを旗印としたブリバニブ、スニチニブ、リニファニブの第Ⅲ相試験を統合した3,526例の個人データを用い、特にB型肝炎・C型肝炎の罹患状況とソラフェニブの治療効果との関連をメタアナリシス解析した。
B型陰性かつC型陽性のサブグループに対するソラフェニブの他治療に対するハザード比は-0.27(95%信頼区間:-0.46〜-0.06)であった。しかし、他のB型C型サブグループではソラフェニブの他治療に対する優位性は明らかではなく、特にB型肝炎陽性かつC型肝炎陰性のサブグループでは生存曲線がほぼ完全に重なった。
因みにソラフェニブとプラセボの第Ⅲ相試験、SHARP試験、AP試験で、B型陽性サブグループでのソラフェニブのプラセボに対するハザード比(95%信頼区間)はそれぞれ0.76(0.38〜1.50)、0.74(0.51〜1.06)であった。
ソラフェニブはC型肝細胞がんには効くが、B型肝細胞がんに対する効果には確固たるエビデンスが未だない。

2017年1月25日  石井 浩

膵頭部領域悪性腫瘍による閉塞性黄疸:切除前に減黄は必要か?

膵頭部領域悪性腫瘍による閉塞性黄疸:切除前に減黄は必要か?

閉塞性黄疸を有する膵癌例に対し、減黄術なしで切除に望む方針と減黄術を施行してから切除に望む方針でどちらが有利であるかは未だ不明である。本論文は両方針について、全合併症、創感染、膵液瘻、腹腔内膿瘍、30日以内全死亡の症例割合を比較したミュンヘン工科大学によるメタアナリシスである。
PRISMAガイドラインに従い、関連する1,816論文から25論文(後ろ向き研究22、ランダム化試験3、計6,214例)を選択した。術前減黄術は切除ファーストに比べて全合併症はオッズ比1.40(95%信頼区間1.14-1.72)、創感染はオッズ比1.94(95%信頼区間1.48-2.53)で高リスクであった。膵液瘻、腹腔内膿瘍、30日以内全死亡の症例割合は両方針で有意差はみられなかった。
術前減黄術は術後経過を明らかに好転させるものではなく、むしろ全合併症、創感染のリスク因子となる。術前減黄術はルーティンに漫然と行うべき手技ではなく、施行前によくよくその適応を吟味すべきである。

2017年1月16日  石井 浩

LH-RH単独での去勢抵抗性前立腺癌にはビカルタミドよりエンザルタミドの方が有効

LH-RH単独での去勢抵抗性前立腺癌にはビカルタミドよりエンザルタミドの方が有効

STRIVE試験およびTERRAIN試験ともLH-RH単独治療後の病勢進行に対して、ビカルタミドとエンザルタミドにランダム化された試験で、両試験ともに各群約200例ずつの第2相試験結果です。両試験ともにエンザルタミド群で有意に無増悪生存期間が延長しており、エンザルタミドの有用性が示されました。ただし、日本ではホルモン治療ははじめからビカルタミドを併用することが多く、またエンザルタミドの有害事象も問題となることが多く若干状況が違っています。

TERRAIN試験:
 http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1470204515005185

2017年1月10日  橋根 勝義

ソラフェニブ不応肝細胞癌に対するレゴラフェニブの第Ⅲ相試験

ソラフェニブ不応肝細胞癌に対するレゴラフェニブの第Ⅲ相試験

去年(2016年)6月30日、第18回世界消化器癌学会(バルセロナ)で公表されたピボタル試験の論文である。切除不能進行肝細胞癌の標準治療であるソラフェニブ療法で画像進行した患者に対するレゴラフェニブのプラセボ対照二重盲検ランダム化第Ⅲ相で、21カ国152施設が参加し843例が登録された。レゴラフェニブ群の生存期間中央値は10.6ヶ月であり、プラセボ群(7.8ヶ月)に比較して有意な延長がみられた。頻度の高い重要な副作用は高血圧、手足皮膚反応、疲労、下痢であった。レゴラフェニブ治療関連死は2%であった。
ソラフェニブ登場以来10余年にわたる数多の第Ⅲ相試験の歴史で初めての成功例であり喜ばしい限りであるが、ソラフェニブと同系統薬であるところが痛し痒しである。

2017年1月4日  石井 浩

スニチニブの術後補助療法

スニチニブの術後補助療法

限局性腎癌に対してスニチニブを術後1年間内服する第3相ランダム化比較試験です。対象は高リスク淡明細胞癌患者615例で、スニチニブ群とプラセボ群にランダム化され、スニチニブは50mgから開始、37.5mgまでの減量は許容されます。非再発生存期間中央値はスニチニブ群で6.8年、プラセボ群の5.6年と比較し有意に延長しました。一方で、スニチニブ群での減量は34.3%、中止症例は28.1%あり、grade3以上の有害事象もスニチニブ群が多い結果でした。

2016年12月26日  橋根 勝義

切除不能進行胆道癌に放射線療法は役に立っているのだろうか?

切除不能進行胆道癌に放射線療法は役に立っているのだろうか?

多くの先進国で胆道癌は稀少であり、胆道癌に対する放射線療法のエビデンスはほとんどない。本研究は米国スタンフォード大学放射線腫瘍科のSEERメディケア・データベースを用いた観察研究である。
対象は1998年から2011年までに切除不能胆道癌診断された2343例で、このうち451例(19%)が診断4ヶ月以内に放射線療法を受けていた。高齢、独身、低所得等が放射線療法を受けにくい因子だった(逆にいうと、家庭を持っている若い高所得者が放射線路湯法を受ける傾向にあった)。4ヶ月以上生存例の生存期間中央値は、放射線療法なし群9.3ヶ月、あり群10.0ヶ月で有意差はなかった。しかし、化学療法あり群(1053例)に限定すると、放射線療法ありのハザード比は0.82(95%信頼区間0.70-0.97)で予後改善と有意に関連していた。化学療法なし群(1290例)では放射線療法ありのハザード比は1.09(95%信頼区間0.91-1.30)であり、予後との関連は明らかではなかった。以上の傾向は傾向スコア解析でも同様であった。以上、胆道癌に対する放射線療法は化学療法との併用で生存期間延長の可能性が示唆されたが、施行件数は年々減少傾向にある。
胆道癌放射線療法をもう少し盛り上げたいという放射線療法の先生の思いを感じました。

2016年12月19日  石井 浩

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