四国がんセンター:医療関係者の方へ

Special recommended references for oncologists 2017年

ステージ4膵がんの遠隔成績は遠隔転移の部位により大分違う

ステージ4膵がんの遠隔成績は遠隔転移の部位により大分違う

SEERデータベースを用いた疫学研究である。ステージ4の膵がん13,233例を対象に、遠隔転移部位(肝、肺、骨、脳、遠隔リンパ節)別にみた生存時間解析を行った。肺転移単独群および遠隔リンパ節単独群の全生存時間および膵がん特異的生存時間は、肝転移単独群と比較してそれぞれ有意に良好であった(P<0.0001)。多変量解析では65才未満、白色人種、既婚者、女性、原発巣と転移巣の手術が、全生存時間および膵がん特異的生存時間について予後良好因子であった。
肺転移単独もしくは遠隔リンパ節単独のステージ4膵がんに局所療法を適応する理論的根拠になるかもしれない。

2017年4月17日  石井 浩

喫煙習慣は膵がんの予後不良因子:禁煙は今からでも遅くない

喫煙習慣は膵がんの予後不良因子:禁煙は今からでも遅くない

喫煙は膵がん発症のリスク因子であるが、喫煙が膵がん患者の予後因子であるかはよくわかっていなかった。本論文は米国の大規模な前向きコホート研究により喫煙状況と膵癌遠隔成績との関連を調べたものである。対象は1986年から2013年までに診断された1037例の膵がんであり、うち485例では診断前のコチニン血中濃度を評価した。コチニンはニコチン代謝物質であり、その血中濃度は喫煙曝露量と比例する。コチニンレベルによって対象を非喫煙者、軽度喫煙者、高度喫煙者に3分割した。
非喫煙者に対する喫煙者の死亡危険比は1.37(95%信頼区間:1.11-1.69)であった。また、1日のタバコの箱数×年数(pack years)は死亡危険を有意に増加させ、非喫煙者に対する60 pack-yearsの死亡危険比は1.49であった。禁煙車の生存期間は禁煙からの期間に関わらず非喫煙者の生存期間とほぼ同等であった。非喫煙者に対する高度喫煙者の死亡危険比は1.76であった。さらに、診断5年以上前のコチニン測定で高度喫煙者と判定された場合、非喫煙者に比べて2.47倍死亡危険リスクが高かった。
喫煙習慣は膵がん患者の明らかな予後不良因子である。今からでも禁煙は遅くない。

2017年4月5日  石井 浩

前立腺全摘後のPSA再発に対して救済放射線照射にカソデックスを2年間併用することで生存率が改善する

前立腺全摘後のPSA再発に対して救済放射線照射にカソデックスを2年間併用することで生存率が改善する

前立腺全摘後のPSA再発に対する救済放射線照射で、6ヶ月間のLH-RH投与で無増悪生存期間を改善させましたが、今回はカソデックスを2年間内服することで救済放射線単独治療と比較して無増悪生存期間のみならず、全生存期間も改善させたデータが示されました。RTOG9601ですが、試験観察期間13年で760例を救済放射線単独と救済放射線+カソデックス内服群にランダム化、前立腺癌死は13.4%と5.8%、転移出現率は23.0%と14.5%、全生存は71.3%と76.3%でいずれも併用群が勝っていました。有害事象は併用群で女性化乳房が約70%に出現しましたが、放射線関連の有害事象に差はありませんでした。救済放射線照射に関するエビデンスも徐々に出てきました。現在JCOG泌尿器科グループで救済放射線照射単独とカソデックス内服単独の臨床試験を行っており、結果が待たれるところです。

2017年2月27日  橋根 勝義

膵がん切除後補助化学療法ESPAC-4試験:欧州新標準はゲムシタビン+カペシタビン

膵がん切除後補助化学療法ESPAC-4試験:欧州新標準はゲムシタビン+カペシタビン

膵がん切除後の補助化学療法に関しては、欧州連合のESPAC、ドイツのCONKO、日本のJASPACが、大規模ランダム化試験として一級のエビデンスを発信してきた。本試験の前身、ESPAC-3はFUに対するゲムシタビン(Gem)の非劣性、CONKO-001は経過観察に対するGemの優越性、JASPAC-01はGemに対するFU(S1)の優越性を各々検証した。欧米人に対してS1は毒性が強いため、これらのエビデンスから欧米ではGem、日本ではS1が標準薬であった。
ESPAC-4は欧米標準Gemに対するGem+カペシタビンの優越性を検証する試験であり、仮説はハザード比0.82(P=0.032)で見事に検証された。JASPAC-01と同様、試験治療はR1例よりもRO例でより有効であった。試験治療Gem+カペシタビンの毒性は許容範囲内と考えられ、本療法は(欧州の)新標準治療である。
日本のJSAP-04(術後Gem対Gem+S1)の結果が待望される。

2017年2月20日  石井 浩

手術・放射線・監視療法後のQOL

手術・放射線・監視療法後のQOL

PSAで発見された限局性前立腺癌に対して,監視療法,手術,放射線の3群を比較した無作為化比較試験(ProtecT試験)の生存解析が発表され、このコラムでも以前紹介しました。さらに追加報告として、同試験におけるQOL結果が発表されました。手術群では,性機能と尿禁制でQOLが低下し、悪影響を及ぼしていました。放射線群では,消化管機能の低下が目立ち(6か月目が最悪),性機能障害は一過性でした。監視療法群では,性機能と排尿機能が徐々に低下していました。一方で,不安,うつ症状,健康状態には有意差は認めませんでした。 

2017年2月13日  橋根 勝義

中腸神経内分泌腫瘍に対するルテチウム-177の第Ⅲ相試験

中腸神経内分泌腫瘍に対するルテチウム-177の第Ⅲ相試験

2015年ウィーンで開催された欧州臨床腫瘍学会で発表されたソマトスタチン受容体陽性中腸神経内分泌腫瘍患者におけるルテチウム-177の第Ⅲ相試験(NETTER試験)の中間解析結果の論文である。本療法はα線を放出する放射線同位元素:ルテチウム-177を用いた核医学治療である。ソマトスタチン・アナログに結合したルテチウム-177が、ソマトスタチン受容体陽性腫瘍に集積し、選択的に内照射放射線療法を行う。
高分化型の転移性中腸神経内分泌腫瘍229例を試験治療(ルテチウム-177+ソマトスタチン)と標準治療ソマトスタチン単独に割り付け、治療成績を比較した。20ヵ月無増悪生存割合は試験治療群65.2%(95%信頼区間50.0-76.8%)、標準治療群10.8%(同3.5~23.0%)、奏効割合は試験治療群18%、標準治療3%であった(P<0.001)。試験治療の主な有害事象は血液毒性で、グレード3/4の好中球減少、血小板減少、リンパ球減少は各々1%、2%、9%であった。
中間解析結果ではあるが圧倒的な差がみられており、本邦でも早期の承認が望まれる。

2017年2月6日  石井 浩

尿路上皮がんに対する免疫チェックポイント阻害剤

尿路上皮がんに対する免疫チェックポイント阻害剤

免疫チェックポイントの開発は尿路上皮癌でも急速に進んでいますが、まずはじめに抗PD-L1である、アテゾリズマブの結果が公表されました。第2相試験、単アームでの多施設共同試験です。アテゾリズマブは3週毎に1200mg投与します。119例に試験治療がなされ、有効率は23%、CRも11例、9%に認められました。無増悪生存期間中央値は2.7ヶ月ですが、生存期間中央値は15.9ヶ月でした。有意事象は、倦怠感が30%で最も多く、次いで下痢の12%です。有害事象で治療が中止になったのは9例、8%でした。第3相試験の結果が待たれるところです。

2017年1月30日  橋根 勝義

ソラフェニブはB型肝炎陰性かつC型肝炎陽性の肝細胞がんにしか効かない!?

ソラフェニブはB型肝炎陰性かつC型肝炎陽性の肝細胞がんにしか効かない!?

ソラフェニブは初発進行肝細胞がんに対し、プラセボと比較して明らかな延命効果を示した唯一の薬物である。打倒ソラフェニブを旗印としたブリバニブ、スニチニブ、リニファニブの第Ⅲ相試験を統合した3,526例の個人データを用い、特にB型肝炎・C型肝炎の罹患状況とソラフェニブの治療効果との関連をメタアナリシス解析した。
B型陰性かつC型陽性のサブグループに対するソラフェニブの他治療に対するハザード比は-0.27(95%信頼区間:-0.46〜-0.06)であった。しかし、他のB型C型サブグループではソラフェニブの他治療に対する優位性は明らかではなく、特にB型肝炎陽性かつC型肝炎陰性のサブグループでは生存曲線がほぼ完全に重なった。
因みにソラフェニブとプラセボの第Ⅲ相試験、SHARP試験、AP試験で、B型陽性サブグループでのソラフェニブのプラセボに対するハザード比(95%信頼区間)はそれぞれ0.76(0.38〜1.50)、0.74(0.51〜1.06)であった。
ソラフェニブはC型肝細胞がんには効くが、B型肝細胞がんに対する効果には確固たるエビデンスが未だない。

2017年1月25日  石井 浩

膵頭部領域悪性腫瘍による閉塞性黄疸:切除前に減黄は必要か?

膵頭部領域悪性腫瘍による閉塞性黄疸:切除前に減黄は必要か?

閉塞性黄疸を有する膵癌例に対し、減黄術なしで切除に望む方針と減黄術を施行してから切除に望む方針でどちらが有利であるかは未だ不明である。本論文は両方針について、全合併症、創感染、膵液瘻、腹腔内膿瘍、30日以内全死亡の症例割合を比較したミュンヘン工科大学によるメタアナリシスである。
PRISMAガイドラインに従い、関連する1,816論文から25論文(後ろ向き研究22、ランダム化試験3、計6,214例)を選択した。術前減黄術は切除ファーストに比べて全合併症はオッズ比1.40(95%信頼区間1.14-1.72)、創感染はオッズ比1.94(95%信頼区間1.48-2.53)で高リスクであった。膵液瘻、腹腔内膿瘍、30日以内全死亡の症例割合は両方針で有意差はみられなかった。
術前減黄術は術後経過を明らかに好転させるものではなく、むしろ全合併症、創感染のリスク因子となる。術前減黄術はルーティンに漫然と行うべき手技ではなく、施行前によくよくその適応を吟味すべきである。

2017年1月16日  石井 浩

LH-RH単独での去勢抵抗性前立腺癌にはビカルタミドよりエンザルタミドの方が有効

LH-RH単独での去勢抵抗性前立腺癌にはビカルタミドよりエンザルタミドの方が有効

STRIVE試験およびTERRAIN試験ともLH-RH単独治療後の病勢進行に対して、ビカルタミドとエンザルタミドにランダム化された試験で、両試験ともに各群約200例ずつの第2相試験結果です。両試験ともにエンザルタミド群で有意に無増悪生存期間が延長しており、エンザルタミドの有用性が示されました。ただし、日本ではホルモン治療ははじめからビカルタミドを併用することが多く、またエンザルタミドの有害事象も問題となることが多く若干状況が違っています。

TERRAIN試験:
 http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1470204515005185

2017年1月10日  橋根 勝義

<< 前の10件  1  2  3  4