四国がんセンター:医療関係者の方へ

Special recommended references for oncologists 2017年7月

塩化ラジウムの予後因子と効果予測因子

塩化ラジウムの予後因子と効果予測因子

去勢抵抗性前立腺がんに対して塩化ラジウムの有用性が示されたALSYMPCA試験で、ALP、LDH、PSAが予後因子、効果予測因子になりうるかの検討がなされました。また、各パラメーターの変化率が全生存率の代替エンドポイントとなり得るかの評価もしています。塩化ラジウム投与群でベースラインのALP、LDH、PSAは予後と相関し、いずれも高値群が予後不良でした。また投与後12週時のALP低下例は非低下例に比べ有意に全生存が延長(17.8ヶ月対10.4ヶ月)、これはLDHでも同様の結果でした(低下例;19.5ヶ月、非低下例:14.6ヶ月)。代替性評価に関して、ALPの妥当性が高かったが、統計学的には不十分な結果でした。一方で、PSAの変化と全生存には全く相関がありませんでした。

2017年7月31日  橋根 勝義

上部尿路がんでの術後補助化学療法の有用性について

上部尿路がんでの術後補助化学療法の有用性について

2004年から2012のNational Cancer Databaseを用いて、上部尿路がんの術後補助化学療法について検討しています。対象はpT3/T4あるいはpN+の3253例で、23%が化学療法施行、77%は未施行です。全生存率は化学療法施行群で47ヶ月、未施行群で36ヶ月で施行群の方が有意に良い結果でした。全生存率の差は各種因子で調整しても有意差を認めています。また、年齢、性別、合併症、病理学的病期、切除断端毎に解析しても化学療法施行群が有意に良好でした。後向き観察研究であるため、術後の腎機能や化学療法の内容など重要な部分が解析に含まれていないなどの制限がありますが、術後補助化学療法の一つのエビデンスになるものと考えられます。

2017年7月18日  橋根 勝義

エベロリムスとスニチニブの逐次療法はどちらが先が良いか?(RECORD-3)

エベロリムスとスニチニブの逐次療法はどちらが先が良いか?(RECORD-3)

現在は免疫チェックポイント阻害剤の試験が目白押しですが、分子標的薬の逐次療法に関してRCTの結果が出ました。エベロリムスからスニチニブに変更する群(E-S群:238例)とスニチニブからエベロリムスに変更する群((S-E群)233例)の第2相試験です。逐次療法での無増悪生存期間はE-S群で21.7ヶ月、S-E群で22.2ヶ月で差はありませんでした。全生存期間はE-S群で22.4ヶ月、S-E群で29.5ヶ月でした。この結果から、エベロリムスとスニチニブの逐次療法ではスニチニブ先行の方が全生存率に関してベネフィットがあったことになります。現在、免疫チェックポイント阻害剤により腎がんも治療体系が変わろうとしています。この試験の結果も重要ではありますが現在の治療体系にはそぐわないかもしれません。この試験のサブ解析で、NLR(好中球リンパ球比)が高いと全生存率が悪いことが示されました。

2017年7月11日  橋根 勝義

限局線前立腺がんに対する各種治療法の3年後のQOL評価

限局線前立腺がんに対する各種治療法の3年後のQOL評価

2011年から2012年にかけて、手術、放射線、監視療法を受けた80歳以下のT1-2前立腺がん患者2550名の前向き観察研究で、3年後のQOL評価が示されました。QOLはEPICで評価されています。治療後3年目のQOLに関して、性機能は手術群が放射線群より悪く、尿失禁に関しては手術群が放射線群と監視療法群と比べ悪い結果でした。一方、排尿刺激症状は監視療法群が手術群より悪い結果でした。排便機能と内分泌機能は3群間で差はありませんでした。また、疾患特異的生存率も3群間で差はありません。若干手術に不利な報告ですが、この研究の限界として評価時期が3年と短期間であること、再発などの不安感の評価がないこと、手術に関しては施設や術者間でQOLに差があることなどが上げられます。

また、同様の報告が1141例の前立腺がんで報告されています(http://jamanetwork.com/journals/jama/article-abstract/2612617)。前立腺全摘除術、外照射、小線源、監視療法の各群の比較です。治療前、治療後3か月後、12ヶ月後、24ヶ月後のQOLに関して傾向スコア解析を用い4群間の比較をしています。監視療法と比較して、3ヶ月後の性機能は他の3群で悪く、3ヶ月後の尿失禁は手術群で悪く、排尿刺激は外照射群と小線源群で悪く、排便機能は外照射群で悪い結果でした。これらの差は24ヶ月後には無くなっています。この研究ではQOLはProstate Cancer Symptom Indexという調査票を使用しており、上の研究とは違います。このように、使用する調査票や対象によってQOL評価は異なるため、治療法の比較には注意が必要です。一方で、同じ治療法内での経時変化に関しては大いに参考になります。

2017年7月3日  橋根 勝義

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