四国がんセンター:医療関係者の方へ

Special recommended references for oncologists 2017年6月

パゾパニブとエベロリムスの交替療法に有意性なし(ROPETAR試験)

パゾパニブとエベロリムスの交替療法に有意性なし(ROPETAR試験)

パゾパニブを8週間、その後エベロリムスを8週間内服する交替療法群とパゾパニブのみ内服するコントロール群との第2相比較試験で、それぞれ52例と49例が登録されました。無増悪生存期間は交替療法群が7.4ヶ月、コントロール群で9.4ヶ月と有意差はありません。有害事象は交替療法群で粘膜炎、貧血、めまいが多く報告されましたが、QOL評価では有意差はありませんでした。このことから初回治療として交替療法をすることで薬剤耐性を遅らせさらに有害事象も軽減させるという仮説も否定されたことになります。スニチニブとエベロリムスを使用した交替療法も無増悪生存期間は8ヶ月で同様の結果が報告されています(EVERSUN試験、Ann Oncol. 2015)

2017年6月28日  橋根 勝義

ASCO2017報告:進行肝細胞がんに対するレンバチニブの第Ⅲ相試験

ASCO2017報告:進行肝細胞がんに対するレンバチニブの第Ⅲ相試験

進行肝細胞がんに対する第一選択治療はソラフェニブ療法です。ソラフェニブ療法は自覚的に苦痛の強い副作用、手足症候群による減量や中止が大きな問題になっています。レンバチニブ(E7080)はエーザイ筑波研究所で開発されたマルチ・キナーゼ阻害薬で、先行試験において手足症候群の頻度が低く、かつ良好な奏効割合や遠隔成績が報告されています。本試験は954例を両群に1:1で割り付け、全生存期間における非劣性を検証する国際共同第Ⅲ相試験です。
当初は優越性まで検証されるだろうとの見込みでしたが、ふたを開けてみると主要評価項目の全生存期間はハザード比0.92(95%信頼区間:0.79−1.06)で非劣性が辛うじて達成されました。レンバチニブは病勢進行期間ハザード比:0.66(95%信頼区間:0.57−0.77)、奏効割合:24%(ソラフェニブ9%、P<0.00001 )と良好な治療成績を示しましたが、高血圧、蛋白尿がソラフェニブと比較して高頻度でした。また、肝酵素上昇やビリルビン上昇の有害事象割合はソラフェニブと同程度でしたが、肝不全の出現頻度がソラフェニブより高い傾向がみられました。
手足症候群の苦痛から解放され、より優れた抗腫瘍効果を有するが、全生存期間の延長効果は限定的で、時に肝不全が出現するレンバチニブ療法が、既存のソラフェニブ療法に置き換わるかが問題です。日本は開発のお膝元であり、規制当局とネゴシエーション済みなので承認され、来年ソラフェニブ療法はレンバチニブ療法に置き換わるでしょう。しかし、諸外国が追随するかは微妙かもしれません。日本はS-1の二の舞にならないよう、レンバチニブに関する新たなエビデンス構築に努力する責務があります。

2017年6月26日  石井 浩

ASCO2017報告:非扁平上皮非小細胞肺がんに対するベバシズマブ併用化学療法増悪後にベバシズマブを継続投与しても生存期間の改善にはつながらず(AvaALL試験)

ASCO2017報告:非扁平上皮非小細胞肺がんに対するベバシズマブ併用化学療法増悪後にベバシズマブを継続投与しても生存期間の改善にはつながらず(AvaALL試験)

 遡ること5年前(2012年)のASCOにおいて、進行大腸がんに対しベバシズマブ併用初回化学療法後、2次治療としてベバシズマブ併用化学療法を行うことで、がん進行のリスクが32%、死亡のリスクが19%統計学的に有意減少することが報告され、進行大腸がんに対するベバシズマブ投与継続の意義が証明された(ML18147試験: Bennouna  J, Lancet Oncol.2013)。
 
 また非扁平上皮非小細胞肺がんに対しては、本邦において白金製剤を含むベバシズマブ併用1次療法後の2次治療においてベバシズマブのドセタキセルへの上乗せの意義を検討する比較第2相試験が実施され、無増悪生存期間中央値は4.4ヶ月と3.4ヶ月(ハザード比 0.71、p=0.058)、生存期間中央値13.1ヶ月と11.0ヶ月(ハザード比 0.74、 p=0.11)(Takeda M, Cancer 2016)であり、ベバシズマブ継続投与群で良好な傾向が示された。
 
 このような背景を踏まえ、非扁平上皮非小細胞肺がんに対しベバシズマブ併用化学療法を実施し、2次/3次治療でのベバシズマブ継続投与の意義を明らかにする比較第3相試験(AvaALL試験)の結果が待たれていたが今年のASCOにおいて発表された。
 
 結果は、主要評価である生存期間に関しては、ベバシズマブ継続投与群で中央値 11.86ヶ月、非継続群にて中央値 10.22ヶ月(ハザード比 0.84、p=0.1044)と有意差は認められず、ベバシズマブ継続投与の意義は示されなかった。
 
このような結果ではあったが、2次治療としてドセタキセルによる治療を受けたグループにおける生存期間のハザード比は、0.76と本邦の結果と極めて類似していたことは興味深い。

2017年6月19日  上月 稔幸

ASCO2017報告:胆道がん切除後カペシタビン補助療法(BILCAP試験)

ASCO2017報告:胆道がん切除後カペシタビン補助療法(BILCAP試験)

比較的早期の胆道がんは切除単独療法が標準治療であり、術後補助化学療法の意義は明らかではありません。本試験は術後補助カペシタビン療法の有用性を検証する英国の第Ⅲ相試験です。肉眼的完全切除後の胆道がん447例を観察群とカペシタビン療法群とに1:1でランダム化し両群の全生存期間を比較しました。62%がR0手術(病理学的局所遺残なし)、46%がN0(リンパ節転移なし)でした。ITT解析(登録された447例で解析)で全生存期間中央値はカペシタビン療法群:51ヶ月、観察群:36ヶ月、ハザード比0.80で有意差は明らかではありませんでした(P=0.097)。しかし、両群の背景因子で補正した解析ではハザード比0.71(P<0.01)、per-protocol解析(447例中プロトコール通りの治療が行われた430例で解析)ではハザード比0.75(0.028)でした。胆道がん切除後のカペシタビン補助化学療法は、標準治療と考えるべきでしょう(原文:should become standard of care)。
主たる解析がnegativeであったのに、感度解析でpositiveだったので全体的にもpositiveにするというのは、臨床腫瘍学原理主義的にはいかがなものかと思われます。しかし、実地診療を変えるには充分なエビデンスと言っていいのではないかいうことでしょうか。
本邦ではおそらく学会が胆道がんに対するカペシタビンを公知申請、1年後目標で臨床の現場に登場するというシナリオと思います。その頃にはJCOGの同様試験(術後S-1補助療法JCOG1202:ASCOT試験)の症例登録も完了し、胆道がん切除後のFU系補助化学療法のエビデンスは盤石になると思われます。

2017年6月15日  石井 浩

上部尿路癌でも郭清リンパ節数と予後に相関あり

上部尿路癌でも郭清リンパ節数と予後に相関あり

これまで膀胱癌に関しては郭清リンパ節が多いほど生存期間が延長されることが数多く発表されていましたが、上部尿路癌でははっきりしていませんでした。今回、National Cancer Data Baseから14472例の上部尿路癌を抽出し、リンパ郭清数と予後の関連を検討しています。2926例(20%)にリンパ郭清がなされ、pN+は771例でした。全コホートおよびpN0群で、郭清リンパ節数が多いほど全生存率は改善しています。pN+群では、郭清リンパ節数には関連しないものの、陽性リンパ節数との間に関連がありました。

日本でも、系統的なリンパ郭清をした群(44例)と郭清をしなかったあるいは限局郭清のみ施行した群(33例)の比較で系統的リンパ郭清の有用性が示されています。(Systematic regional lymph node dissection for upper tract urothelial carcinoma improves patient survival )

2017年6月12日  橋根 勝義

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