四国がんセンター:医療関係者の方へ

Special recommended references for oncologists 2017年2月

前立腺全摘後のPSA再発に対して救済放射線照射にカソデックスを2年間併用することで生存率が改善する

前立腺全摘後のPSA再発に対して救済放射線照射にカソデックスを2年間併用することで生存率が改善する

前立腺全摘後のPSA再発に対する救済放射線照射で、6ヶ月間のLH-RH投与で無増悪生存期間を改善させましたが、今回はカソデックスを2年間内服することで救済放射線単独治療と比較して無増悪生存期間のみならず、全生存期間も改善させたデータが示されました。RTOG9601ですが、試験観察期間13年で760例を救済放射線単独と救済放射線+カソデックス内服群にランダム化、前立腺癌死は13.4%と5.8%、転移出現率は23.0%と14.5%、全生存は71.3%と76.3%でいずれも併用群が勝っていました。有害事象は併用群で女性化乳房が約70%に出現しましたが、放射線関連の有害事象に差はありませんでした。救済放射線照射に関するエビデンスも徐々に出てきました。現在JCOG泌尿器科グループで救済放射線照射単独とカソデックス内服単独の臨床試験を行っており、結果が待たれるところです。

2017年2月27日  橋根 勝義

膵がん切除後補助化学療法ESPAC-4試験:欧州新標準はゲムシタビン+カペシタビン

膵がん切除後補助化学療法ESPAC-4試験:欧州新標準はゲムシタビン+カペシタビン

膵がん切除後の補助化学療法に関しては、欧州連合のESPAC、ドイツのCONKO、日本のJASPACが、大規模ランダム化試験として一級のエビデンスを発信してきた。本試験の前身、ESPAC-3はFUに対するゲムシタビン(Gem)の非劣性、CONKO-001は経過観察に対するGemの優越性、JASPAC-01はGemに対するFU(S1)の優越性を各々検証した。欧米人に対してS1は毒性が強いため、これらのエビデンスから欧米ではGem、日本ではS1が標準薬であった。
ESPAC-4は欧米標準Gemに対するGem+カペシタビンの優越性を検証する試験であり、仮説はハザード比0.82(P=0.032)で見事に検証された。JASPAC-01と同様、試験治療はR1例よりもRO例でより有効であった。試験治療Gem+カペシタビンの毒性は許容範囲内と考えられ、本療法は(欧州の)新標準治療である。
日本のJSAP-04(術後Gem対Gem+S1)の結果が待望される。

2017年2月20日  石井 浩

手術・放射線・監視療法後のQOL

手術・放射線・監視療法後のQOL

PSAで発見された限局性前立腺癌に対して,監視療法,手術,放射線の3群を比較した無作為化比較試験(ProtecT試験)の生存解析が発表され、このコラムでも以前紹介しました。さらに追加報告として、同試験におけるQOL結果が発表されました。手術群では,性機能と尿禁制でQOLが低下し、悪影響を及ぼしていました。放射線群では,消化管機能の低下が目立ち(6か月目が最悪),性機能障害は一過性でした。監視療法群では,性機能と排尿機能が徐々に低下していました。一方で,不安,うつ症状,健康状態には有意差は認めませんでした。 

2017年2月13日  橋根 勝義

中腸神経内分泌腫瘍に対するルテチウム-177の第Ⅲ相試験

中腸神経内分泌腫瘍に対するルテチウム-177の第Ⅲ相試験

2015年ウィーンで開催された欧州臨床腫瘍学会で発表されたソマトスタチン受容体陽性中腸神経内分泌腫瘍患者におけるルテチウム-177の第Ⅲ相試験(NETTER試験)の中間解析結果の論文である。本療法はα線を放出する放射線同位元素:ルテチウム-177を用いた核医学治療である。ソマトスタチン・アナログに結合したルテチウム-177が、ソマトスタチン受容体陽性腫瘍に集積し、選択的に内照射放射線療法を行う。
高分化型の転移性中腸神経内分泌腫瘍229例を試験治療(ルテチウム-177+ソマトスタチン)と標準治療ソマトスタチン単独に割り付け、治療成績を比較した。20ヵ月無増悪生存割合は試験治療群65.2%(95%信頼区間50.0-76.8%)、標準治療群10.8%(同3.5~23.0%)、奏効割合は試験治療群18%、標準治療3%であった(P<0.001)。試験治療の主な有害事象は血液毒性で、グレード3/4の好中球減少、血小板減少、リンパ球減少は各々1%、2%、9%であった。
中間解析結果ではあるが圧倒的な差がみられており、本邦でも早期の承認が望まれる。

2017年2月6日  石井 浩

1