四国がんセンター:医療関係者の方へ

Special recommended references for oncologists 2017年1月

尿路上皮がんに対する免疫チェックポイント阻害剤

尿路上皮がんに対する免疫チェックポイント阻害剤

免疫チェックポイントの開発は尿路上皮癌でも急速に進んでいますが、まずはじめに抗PD-L1である、アテゾリズマブの結果が公表されました。第2相試験、単アームでの多施設共同試験です。アテゾリズマブは3週毎に1200mg投与します。119例に試験治療がなされ、有効率は23%、CRも11例、9%に認められました。無増悪生存期間中央値は2.7ヶ月ですが、生存期間中央値は15.9ヶ月でした。有意事象は、倦怠感が30%で最も多く、次いで下痢の12%です。有害事象で治療が中止になったのは9例、8%でした。第3相試験の結果が待たれるところです。

2017年1月30日  橋根 勝義

ソラフェニブはB型肝炎陰性かつC型肝炎陽性の肝細胞がんにしか効かない!?

ソラフェニブはB型肝炎陰性かつC型肝炎陽性の肝細胞がんにしか効かない!?

ソラフェニブは初発進行肝細胞がんに対し、プラセボと比較して明らかな延命効果を示した唯一の薬物である。打倒ソラフェニブを旗印としたブリバニブ、スニチニブ、リニファニブの第Ⅲ相試験を統合した3,526例の個人データを用い、特にB型肝炎・C型肝炎の罹患状況とソラフェニブの治療効果との関連をメタアナリシス解析した。
B型陰性かつC型陽性のサブグループに対するソラフェニブの他治療に対するハザード比は-0.27(95%信頼区間:-0.46〜-0.06)であった。しかし、他のB型C型サブグループではソラフェニブの他治療に対する優位性は明らかではなく、特にB型肝炎陽性かつC型肝炎陰性のサブグループでは生存曲線がほぼ完全に重なった。
因みにソラフェニブとプラセボの第Ⅲ相試験、SHARP試験、AP試験で、B型陽性サブグループでのソラフェニブのプラセボに対するハザード比(95%信頼区間)はそれぞれ0.76(0.38〜1.50)、0.74(0.51〜1.06)であった。
ソラフェニブはC型肝細胞がんには効くが、B型肝細胞がんに対する効果には確固たるエビデンスが未だない。

2017年1月25日  石井 浩

膵頭部領域悪性腫瘍による閉塞性黄疸:切除前に減黄は必要か?

膵頭部領域悪性腫瘍による閉塞性黄疸:切除前に減黄は必要か?

閉塞性黄疸を有する膵癌例に対し、減黄術なしで切除に望む方針と減黄術を施行してから切除に望む方針でどちらが有利であるかは未だ不明である。本論文は両方針について、全合併症、創感染、膵液瘻、腹腔内膿瘍、30日以内全死亡の症例割合を比較したミュンヘン工科大学によるメタアナリシスである。
PRISMAガイドラインに従い、関連する1,816論文から25論文(後ろ向き研究22、ランダム化試験3、計6,214例)を選択した。術前減黄術は切除ファーストに比べて全合併症はオッズ比1.40(95%信頼区間1.14-1.72)、創感染はオッズ比1.94(95%信頼区間1.48-2.53)で高リスクであった。膵液瘻、腹腔内膿瘍、30日以内全死亡の症例割合は両方針で有意差はみられなかった。
術前減黄術は術後経過を明らかに好転させるものではなく、むしろ全合併症、創感染のリスク因子となる。術前減黄術はルーティンに漫然と行うべき手技ではなく、施行前によくよくその適応を吟味すべきである。

2017年1月16日  石井 浩

LH-RH単独での去勢抵抗性前立腺癌にはビカルタミドよりエンザルタミドの方が有効

LH-RH単独での去勢抵抗性前立腺癌にはビカルタミドよりエンザルタミドの方が有効

STRIVE試験およびTERRAIN試験ともLH-RH単独治療後の病勢進行に対して、ビカルタミドとエンザルタミドにランダム化された試験で、両試験ともに各群約200例ずつの第2相試験結果です。両試験ともにエンザルタミド群で有意に無増悪生存期間が延長しており、エンザルタミドの有用性が示されました。ただし、日本ではホルモン治療ははじめからビカルタミドを併用することが多く、またエンザルタミドの有害事象も問題となることが多く若干状況が違っています。

TERRAIN試験:
 http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1470204515005185

2017年1月10日  橋根 勝義

ソラフェニブ不応肝細胞癌に対するレゴラフェニブの第Ⅲ相試験

ソラフェニブ不応肝細胞癌に対するレゴラフェニブの第Ⅲ相試験

去年(2016年)6月30日、第18回世界消化器癌学会(バルセロナ)で公表されたピボタル試験の論文である。切除不能進行肝細胞癌の標準治療であるソラフェニブ療法で画像進行した患者に対するレゴラフェニブのプラセボ対照二重盲検ランダム化第Ⅲ相で、21カ国152施設が参加し843例が登録された。レゴラフェニブ群の生存期間中央値は10.6ヶ月であり、プラセボ群(7.8ヶ月)に比較して有意な延長がみられた。頻度の高い重要な副作用は高血圧、手足皮膚反応、疲労、下痢であった。レゴラフェニブ治療関連死は2%であった。
ソラフェニブ登場以来10余年にわたる数多の第Ⅲ相試験の歴史で初めての成功例であり喜ばしい限りであるが、ソラフェニブと同系統薬であるところが痛し痒しである。

2017年1月4日  石井 浩

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