四国がんセンター:医療関係者の方へ

Special recommended references for oncologists 2016年10月

中間から高リスク群の限局性前立腺がんに対する放射線治療には短期間のホルモン併用が有用である

中間から高リスク群の限局性前立腺がんに対する放射線治療には短期間のホルモン併用が有用である

中間から高リスク群に対して放射線治療単独(70-78 Gy)と6ヶ月間のゴセレリン併用群とのランダム化比較試験の結果が発表されました。5年でのPSA非再発率は併用群で82.6%、単独群の69.8%と比較し優位に良好でした。臨床的再発や局所再発も併用群が良好でしたが、全生存に関しては両群に差は見られません。今後長期の観察によって短期間のホルモンの併用の意義がさらに明らかにされるものと思われます。

2016年10月31日  橋根 勝義

肝細胞がんに対するレンバチニブの第Ⅱ相試験

肝細胞がんに対するレンバチニブの第Ⅱ相試験

進行再発肝細胞がんの標準的薬物療法はソラフェニブ療法である。レンバチニブはエーザイが開発している日本発のマルチキナーゼ阻害薬であり、今回第Ⅱ相試験成績が論文公表された。日本と韓国で46例が登録され、奏効割合は37%、全生存期間中央値は18.7ヶ月と従来のソラフェニブと比較して抜群によい治療成績であった。ソラフェニブとの直接対決の第Ⅲ相試験結果がほどなく公表される予定である。刮目して待ちたい。

2016年10月27日  石井 浩

転移のある前立腺癌患者に対して前立腺に放射線治療を追加することで生存率が改善する

転移のある前立腺癌患者に対して前立腺に放射線治療を追加することで生存率が改善する

2004~2012年にかけて,転移のある前立腺癌患者 6,382名をデータベースから特定、その中で538名(8.4 %)が前立腺に放射線治療を受けていました。経過観察期間中央値 5.1年で,ホルモン治療と放射線治療の併用群でホルモン治療単独群より全生存期間の改善が見られました(中央値で55ヶ月対37ヶ月、P<0.001)。ホルモン治療と前立腺全摘除術の解析もなされ、ホルモン治療単独より生存率は良く、放射線群とは有意差はありませんでした。転移のある前立腺癌ではホルモン治療単独がこれまで一般的でしたが、今後治療効果予測因子が明らかになれば、放射線や手術の局所療法も選択肢になりそうです。

2016年10月24日  橋根 勝義

肝細胞がんに対するソラフェニブ±シスプラチン動注療法のランダム化第Ⅱ相試験

肝細胞がんに対するソラフェニブ±シスプラチン動注療法のランダム化第Ⅱ相試験

筆者がグループ事務局を務めるJCOG肝胆膵グループの施設が中心となって施行した第Ⅱ相試験です。進行肝細胞がん例を対象として、試験治療(ソラフェニブ+シスプラチン動注併用療法)と標準治療(ソラフェニブ単独療法)を2:1にランダム割り付けし、主要評価項目である全生存期間を比較しました。試験治療66例の生存期間中央値は10.6ヶ月であり、標準治療42例の8.7ヶ月に比較して有意(ハザード比:0.60、P=0.031)に良好でした。試験治療は第Ⅲ相試験治療の有力候補である。
Lancet Oncologyに本論文のニュースが掲載された。試験概要の紹介とともに、「化学療法とのコンビネーションは魅力がない」「免疫チェックポイント阻害薬の方が魅力的」「日本人データで非アジアで再現されるか疑問」など、米国の研究者数名の辛口コメントが並んでいる。

2016年10月20日  石井 浩

膵神経内分泌腫瘍に対するエベロリムス:RADIANT3全生存期間アップデート

膵神経内分泌腫瘍に対するエベロリムス:RADIANT3全生存期間アップデート

2011年に公表された主たる解析(Everolimus for Advanced Pancreatic Neuroendocrine Tumors)の続報で、全生存期間のアップデートである。エベロリムス群の全生存期間中央値は44.0ヶ月であり、プラセボ群(37.7ヶ月)と比べて良好であったが、有意差はみられなかった(ハザード比:0.94、P=0.30)。プラセボ群の85%がクロスオーバーでエベロリムス治療を受けたことが有意差のみられなかった要因と考えられる。

2016年10月17日  石井 浩

ネオ・アジュバント療法+切除術とアップフロント切除術の比較:傾向スコア解析

ネオ・アジュバント療法+切除術とアップフロント切除術の比較:傾向スコア解析

2006年から2012年までの米国がん登録から臨床病期1/2(切除可能)で根治を目的とした手術が行われた膵頭部腺癌15,237例を抽出した。病歴不備等で296例を除外した14,941例(ネオ・アジュバント療法+切除術(NAT):2,104例、アップフロント切除術(UR):12,837例)が本研究のコホートであり、3:1で傾向スコア・マッチングしたNAT群:2,005例、UR群:6,015例を比較した。
NAT群の生存期間中央値は26ヶ月であり、UR群(21ヶ月)と比較し有意に良好(ハザード比:0.72)であった。UR群の背景はpT3/4割合、pN1割合、R0割合が有意に高かった。UR群の術後補助療法サブグループとの比較でも、NAT群の遠隔成績は有意に良好(ハザード比:0.83)であった。
本研究は後ろ向き観察研究であり、NAT群は補助療法のあとに切除療法を受けることが可能であった「選ばれた集団」である。したがって結果はあくまでも仮説であるが、切除可能性に対するネオ・アジュバント療法前向き試験に大きな合理性を与えるものである。とくに、侵襲の大きい手術を避けるべき患者の選択手段としてネオ・アジュバント療法は期待される。

2016年10月13日  石井 浩

転移のある前立腺癌患者に対して前立腺に放射線治療を追加することで生存率が改善する

転移のある前立腺癌患者に対して前立腺に放射線治療を追加することで生存率が改善する

2004~2012年にかけて,転移のある前立腺癌患者 6,382名をデータベースから特定、その中で538名(8.4 %)が前立腺に放射線治療を受けていました。経過観察期間中央値 5.1年で,ホルモン治療と放射線治療の併用群でホルモン治療単独群より全生存期間の改善が見られました(中央値で55ヶ月対37ヶ月、P<0.001)。ホルモン治療と前立腺全摘除術の解析もなされ、ホルモン治療単独より生存率は良く、放射線群とは有意差はありませんでした。転移のある前立腺癌ではホルモン治療単独がこれまで一般的でしたが、今後治療効果予測因子が明らかになれば、放射線や手術の局所療法も選択肢になりそうです。

2016年10月11日  橋根 勝義

ゲムシタビン不応膵がんに対するmodified FOLFOX6と5-FU/LVの第Ⅲ相試験(PANCREOX試験)

ゲムシタビン不応膵がんに対するmodified FOLFOX6と5-FU/LVの第Ⅲ相試験(PANCREOX試験)

進行再発膵がんの標準一次治療のひとつであるゲムシタビン関連レジメン後のセカンドラインに関する米国カナダの第Ⅲ相試験の報告である。ドイツで行われたCONKO-003試験で、同様のセカンドライン設定で5-FUレジメンに対するオキサリプラチンの上乗せ効果が検証されているが、用いられたOFFレジメンが一般的でないため、汎用されているmodified FOLFOX6(mFOLFOX)で追試を行った。16週後の無増悪生存割合15%の向上を80%の検出力で証明するため128例の登録目標でスタートしたが、2年半後108例で途中中止となった。結果、mFOLFOX群は対照と比べ全生存で有意に予後不良であり、グレード3/4毒性は高率であった。
本論文の考察:5-FUレジメンに対するオキサリプラチンの上乗せ効果、なぜCONKO-003試験でpositive、PANCREOX試験でnegativeなのか。オキサリプラチンの用量はCONKO-003試験のOFFレジメンよりもPANCREOX試験のmFOLFOXの方が多い。セカンドライン設定ではmFOLFOXのオキサリプラチン用量は多すぎでOFF程度でちょうど良いのかもしれない。
筆者の感想:オキサリプラチンをきっちり使うなら初回治療が好機であり、その意味ではゲムシタビン関連レジメンよりもFOLFIRINOXの方が初回治療として有利かもしれない。

2016年10月3日  石井 浩

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