四国がんセンター:医療関係者の方へ

Special recommended references for oncologists 2016年4月

膵がんFOLFIRINOX(FFX)療法とゲムシタビン・ナブパクリタキセル(GnP)療法の費用対効果分析

膵がんFOLFIRINOX(FFX)療法とゲムシタビン・ナブパクリタキセル(GnP)療法の費用対効果分析

FFX療法とGnP療法は進行再発膵がんの標準療法である。本論文はFFX療法のPRODIGE試験とGnP療法のMPACT試験をもとにマルコフモデルを用いて行われた中国・四川大学の費用対効果分析である。彼らの計算によるとGnP療法からFFX療法に切り替えたときの増分費用効果比(ICER)は3万2千ドル/QALY、すなわちFFX療法でもう一年延命するために約350万円必要である。中国における費用対効果の閾値は220万円程度であることから、GnP療法はFFX療法に比較して費用対効果が良好である。因みに費用対効果の閾値はイギリス、日本、アメリカでおおよそ350万円、500万円、670万円と考えられている。
本論文のコストは中国、四川省での試算であり、FFX療法のコストがGnP療法よりも高額など日本の事情と異なる点が多々ある。医療経済分析の結果やその解釈は国や地域で異なるが、このような費用対効果解析は今後重要な課題になってくると思われる。

2016年4月26日  石井 浩

乳癌細胞セルブロックを用いたHER2免疫染色標本は組織標本と同様に扱うことができる

乳癌細胞セルブロックを用いたHER2免疫染色標本は組織標本と同様に扱うことができる

四国がんセンターで行われた検討です。

2013年ASCO/CAPの乳癌HER2検査に関する指針で、可能であれば転移巣のHER2検査も行うことが提唱されたため、胸腹水等の細胞診検体を用いた受容体検査の必要性が高まっています。ホルモン受容体検査については充分検討されてきましたが、HER2検査については、染色結果が安定した方法はありませんでした。

そこで、この論文では、乳癌ホルマリン固定セルブロックで免疫染色とDISH検査を行い、組織標本の結果と比較し、日常運用可能なHER2検査方法を提案しています。ホルマリン固定セルブロックは、通常の病理検査室で作製することができ、固定液と固定時間を管理すれば安定した標本作製が可能です。まず免疫染色を行うことにより、費用と手間がかかるDISH検査の件数を減らすことができます。また、DISH検査はFISH検査と比較すると、通常の光学顕微鏡下で観察できます。 

2016年4月7日  西村 理恵子

肝細胞癌に対するビーズ単独塞栓(TAE)vs.ドキソルビシン・ビーズTACE

肝細胞癌に対するビーズ単独塞栓(TAE)vs.ドキソルビシン・ビーズTACE

肝細胞癌は周囲肝と異なり栄養血管が肝動脈ほぼ100%(周囲肝は20%、他の80%は門脈)であることから、栄養動脈をビーズなどの塞栓物質で塞栓すれば肝細胞癌部が選択的に阻血壊死する。「抗腫瘍効果は塞栓物質だけでなく、抗癌剤を併用した方が高いだろう」と昔から考えられ、これを支持する研究も否定的な研究もあります。本論文は欧米で事実上の標準塞栓物質であるビーズに、肝細胞癌に最もよく使用される殺細胞薬ドキソルビシンをon-offしてランダム比較したもの。結果は明らかな差なし。

日本では抗癌剤単独の経動脈的治療も標準治療のひとつと評価されているので本論文は黙殺される、かもしれない。

2016年4月7日  石井 浩

膵がんmodified FOLFIRINOX療法の第Ⅱ相試験:最終報告

膵がんmodified FOLFIRINOX療法の第Ⅱ相試験:最終報告

FOLFIRINOX(FFX)療法は全身状態良好である若年膵がん患者に対する標準治療である。しかし、原法は副作用が強く日本の治験では発熱性好中球減少が20%強にみられ、減量した所謂modified regimen(mFFX療法)が求められていた。本論文はエール大学が中心となって行ったmFFX療法の前向き第Ⅱ相試験の最終結果である。遠隔転移例の奏効割合は35.1%、生存期間中央値は10.2ヶ月であり、ACCORD11試験や日本の治験に遜色のない遠隔成績がより低い毒性で達成され、FFX療法の実臨床への導入に弾みが付きそうである。また、本試験では局所進行例も対象としており、無増悪生存期間中央値、生存期間中央値はそれぞれ17.8ヶ月、26.6ヶ月と極めて良好な成績が示された。局所進行例治療に放射線療法は必要ないのではという長年のテーマが再燃しそうである。

2016年4月4日  石井 浩

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