四国がんセンター:医療関係者の方へ

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尿路上皮癌に対するアテゾリズマブに関して

尿路上皮癌に対するアテゾリズマブに関して

これまではアテゾリズマブを指示する報告ばかりでしたが、セカンドラインでの第3相試験の結果が発表されました(IMvigor211)。931例がアテゾリズマブ群と化学療法群(パクリタキセルやドセタキセルなど)に振り分けられました。PD-L1の染色が高い群(5%以上)で生存期間中央値に有意差はありません(11.1か月と10.6か月)。また、有効率も23%と22%で差はありませんが、有効期間はアテゾリズマブの方が長い傾向を示しました。一方で有害事象はアテゾリズマブの方が少ない結果でした。予想外の結果でしたが、今後さらに塚検討がなされるものと思われます。

アテゾリズマブに関してこれまでに報告されているものは、以前このコーナーでも紹介したファーストラインでの治療成績(IMvigor210)とセカンドラインでの治療成績があります。ファーストラインは単アームの第2相試験ですが、その有用性が示され、セカンドラインでもその有用性が示され、有効率はPD-L1の免疫染色性に関連することが示されています(単アーム第2相試験)。また、IMvigor210では、増悪後にもアテゾリズマブが使用された症例の検討から、3.6%にその後再度効果が認められたことが報告され、他の治療を受けた症例の生存期間中央値が6.8か月であったのに対し、アテゾリズマブ使用群では8.6か月でした。

http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(16)32455-2/abstract

http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0140673616005614

https://academic.oup.com/annonc/article/28/12/3044/4108210

2018年1月15日  橋根 勝義

腎がん術後補助療法でパゾパニブはベネフィットなし

腎がん術後補助療法でパゾパニブはベネフィットなし

淡明細胞がんで根治切除出来たpT2G3-4N0,pT3-4N0,pN1症例を対象に、パゾパニブ800mg(中止症例が多かったため途中から600mgに減量)を1年間内服する第3相試験で、対象はプラセボ。600mg内服では無増悪生存率に有意差を認めませんでしたが、800mg内服ではプラセボとの間に有意差を認めました(p=0.0201)。しかし、800mg内服は有害事象のため内服できず、主要目的を600mg内服での無増悪生存率に変更したためパゾパニブは術後補助療法としてベネフィットはないことになります。術後補助療法はスニチニブで有用性が示された試験がありますが、他の試験ではソラフェニブやスニチニブはベネフィットがなかったという報告もあり、今ひとつのようです。 

2017年12月27日  橋根 勝義

ペンブロリズマブは尿路上皮癌に対する初回化学療法でも有用

ペンブロリズマブは尿路上皮癌に対する初回化学療法でも有用

ペンブロリズマブは尿路上皮癌に対して2次化学療法としての有用性が示され、本邦でも近々保険収載予定です。今回さらに初回化学療法としての有用性が示されました。第2相試験で、クレアチニンクリアランスが30-60ml/minのシスプラチンunfit症例に対してペンブロリズマブ200mgを3週毎に繰り返し投与されました(KEYNOTE-052)。370例に投与され、CR:5%、PR:19%、SD:23%でした。観察期間中央値がまだ5か月と短いものの効果を認めた症例のうち83%で効果が持続しています。G3/4の有害事象は、倦怠感(2%)、腸炎(1%)でした。現在進行中の第3相試験の結果が待たれます。

2017年12月19日  橋根 勝義

肝細胞がんに対するオランチニブと血管塞栓化学療法との併用療法

肝細胞がんに対するオランチニブと血管塞栓化学療法との併用療法

肝細胞がんに対する血管塞栓化学療法と血管新生阻害薬オランチニブ(TSU-68)との併用療法の第Ⅲ相試験(ORIENTAL試験)の結果がLancet Gastroenterol Hepatolに公表された。既に2014年7月にプレスリリースされ、無効中止が報告されている。本試験は大鵬薬品工業主導の日本、韓国、台湾3カ国で行われた治験である。889例がオランチニブまたはプラセボに1:1で割り付けられ、血管塞栓化学療法との併用療法で全生存が比較されたが、中間解析によりオランチニブ群がプラセボ群を上回る可能性が極めて低いことから試験中止が決定された。

2017年11月6日  石井 浩

肝細胞がんに対する経皮的ラジオ波焼灼療法と温度感受性を有するリポ化ドキソルビシンの併用療法

肝細胞がんに対する経皮的ラジオ波焼灼療法と温度感受性を有するリポ化ドキソルビシンの併用療法

HEAT試験は40度以上でドキソルビシンを放出するリポ化製剤の経静脈内投与を経皮的ラジオ波焼灼療法と併用することにより、経皮的ラジオ波焼灼療法単独と比較して無再発生存期間が延長するか検証するアジアを中心とした第Ⅲ相試験であり、日本からは東大前教授、山梨県立中央病院の小俣先生が共著者に名を連ねている。最大径3-7cm、4結節以下の肝細胞がん701例が登録され、実薬とプラセボにダブルブラインドで割り付けられた。結果は残念ながらネガティブで無再発生存期間、全生存期間にプラセボとの有意差はみられなかった。サブグループ解析では経皮的ラジオ波焼灼療法が45分以上かかった例で実薬の有用性が示唆された。

2017年10月23日  石井 浩

プラチナ感受性再発卵巣がんに対するオラパリブ維持療法の第Ⅲ相試験:SOLO2/ENGOT-Ov21

プラチナ感受性再発卵巣がんに対するオラパリブ維持療法の第Ⅲ相試験:SOLO2/ENGOT-Ov21

これまでに2ライン以上の化学療法が実施されているBRCA1/2 変異を有するプラチナ感受性再発卵巣がん患者に対するオラパリブ維持療法の効果を評価した第Ⅲ相試験の結果が発表されました。プラチナ感受性再発卵巣がん患者にオラパリブ錠300mgの内服維持療法を行うことで、プラセボ内服に比べ無増悪生存期間が13.6ヵ月延長しました(19.1か月 vs 5.5か月 ハザード比0.30、p<0.0001)。一方、オラパリブ内服群で貧血、腹痛、腸管通過障害などの重大な有害異常が18%に認められました(プラセボ群は8%)。

本試験には当院もGOG Japanとして参加しています。この結果を受けて本邦での承認に向けて検討がなされているとのことです。

2017年10月16日  竹原 和宏

切除境界/局所進行膵がんの化学療法後切除:どのように症例選択するか?

切除境界/局所進行膵がんの化学療法後切除:どのように症例選択するか?

イタリア、サン・ラッファエーレ病院における切除境界/局所進行膵がん223例/14年間の経験をレビューした。ゲムシタビン併用療法を3-6ヶ月間行い、画像と術中所見で根治切除可能と判断した61例(27%)は可及的に切除した。化学療法後、画像奏効は48%、CA19-9奏効(半減)は77.8%にみられた。切除例では治療前ステージ(切除境界/局所進行)、画像奏効はいずれも予後因子ではなく、CA19-9奏効が予後因子であった(奏効例、非奏効例の生存期間中央値は各々31.5ヶ月、15ヶ月)。CA19-9非奏効例の生存期間中央値(10.5ヶ月)は非切除例(10.9ヶ月)と大差なかった。多変量解析において切除/非切除とCA19-9奏効は有意な予後因子であったが、切除境界/局所進行とCA19-9ベースライン値の予後との関連は明らかではなかった。化学療法後、膵がんを切除するか否かは画像判断よりもCA19-9判断の方が適切かもしれない。
当院においても画像診断よりCA19-9の反応性の方が好結果に繋がる印象を持っており、本論文でその意をさらに強くした。

2017年10月3日  石井 浩

転移を有するホルモン感受性前立腺がんに対して初回治療時からアビラテロンを併用する

転移を有するホルモン感受性前立腺がんに対して初回治療時からアビラテロンを併用する

これまで転移を有するホルモン感受性前立腺がんの初回治療はアンドロゲン除去療法(ADT)のみであったが、これまでのADTに加え、新規ホルモン剤であるアビラテロンを併用することで全生存率を延長させることが示されました。LATITUDE試験で、観察期間中央値30.4ヶ月でADT単独群の全生存期間中央値は34.7ヶ月であるのに対して、アビラテロン併用群では未到達でした(ハザード比0.62、P<0.001)。画像所見悪化までの期間、PSA悪化までの期間、疼痛出現までの期間などすべてアビラテロン併用群が勝っていました。一方、Grade3の有害事象に関して、高血圧と低カリウム血症が併用群で高頻度でした。

また、STAMPEDE試験でも同様にアビラテロン併用群の有用性が示されています。
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1702900

現在日本ではアビラテロンは去勢抵抗性前立腺がんのみにしか使用できませんが、これらの試験結果から、今後は治療体系が変わっていくことが予測されます。

2017年9月11日  橋根 勝義

転移のある前立腺がんに対する局所療法に関して

転移のある前立腺がんに対する局所療法に関して

転移のある前立腺がんに対する治療はホルモン治療が標準治療ですが、転移があっても局所治療を追加することでサバイバルベネフィットがあるのではという考えが出てきました。最近報告された3つの論文を紹介したいと思います。

2004年から2013年のSEERのデータベースから転移のある前立腺がん患者13692人を用いて局所療法施行に関して検討しています。局所療法は前立腺全摘が313例、放射線が161例の合計474例でした。局所療法施行群ではハザード比0.40で未施行群と比較し有意に癌死率が低下していました。傾向スコア解析を用いて手術群と放射線群を比較するとハザード比0.59で手術群の方が癌死率が低い結果でした。グリソンスコア7以下、臨床病期T3以下、およびM1aの予後が良好でした。

一方で2004年から2012年のNCDのデータベースを用いた検討では、15501例の転移症例で、1470例(9.5%)に局所療法が追加されています。傾向スコア解析を用い、3年の全生存率は局所療法群で69%、未施行群で54%、有意に施行群が良好でした。多変量解析でも、局所療法未施行、年齢、合併症の有無が全生存に関連していました。
 http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0302283816301415

症例数は極端に少なくなりますが、単一施設から11例の報告でも前立腺全摘除術を追加すると7年癌特異生存率は82%と良好な結果が示されています。この報告ではoligometastasisは骨転移数5個以下と定義しており、このような群では全摘のベネフィットがあるのではと可能性を示唆しています。
 http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0302283816305085

2017年8月14日  橋根 勝義

塩化ラジウムの予後因子と効果予測因子

塩化ラジウムの予後因子と効果予測因子

去勢抵抗性前立腺がんに対して塩化ラジウムの有用性が示されたALSYMPCA試験で、ALP、LDH、PSAが予後因子、効果予測因子になりうるかの検討がなされました。また、各パラメーターの変化率が全生存率の代替エンドポイントとなり得るかの評価もしています。塩化ラジウム投与群でベースラインのALP、LDH、PSAは予後と相関し、いずれも高値群が予後不良でした。また投与後12週時のALP低下例は非低下例に比べ有意に全生存が延長(17.8ヶ月対10.4ヶ月)、これはLDHでも同様の結果でした(低下例;19.5ヶ月、非低下例:14.6ヶ月)。代替性評価に関して、ALPの妥当性が高かったが、統計学的には不十分な結果でした。一方で、PSAの変化と全生存には全く相関がありませんでした。

2017年7月31日  橋根 勝義

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