四国がんセンター:医療関係者の方へ

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追加事項

臨床病期と治療
(※脈管侵襲:がん細胞がリンパ管、 あるいは血管に浸潤していること。顕微鏡検査で診断。)

精巣がんの約50%は,転移を認めないⅠ(1)期のセミノーマであり,経過観察や予防的放射線療法が選択され,Ⅰ(1)期の非セミノーマに関しては,経過観察,化学療法,即時の後腹膜リンパ節郭清術などの選択肢があります。これらの早期精巣がんに関しては,再発の際いかに早く発見できるか,またいかに再発率を低下させるかが主要な課題になっています。そのため、標準的な経過観察は以下のようになっています(表5,6,7)。

表5:セミノーマで経過観察のみ(追加治療なし)

検査 1年以内 1-2年 2-3年 3-5年 5年以上
診察(症状など) 2ヶ月毎 3ヶ月毎 3-4ヶ月毎 6ヶ月毎 1年毎
腫瘍マーカー 2ヶ月毎 3ヶ月毎 3-4ヶ月毎 6ヶ月毎 1年毎
胸部レントゲン 2ヶ月毎 3ヶ月毎 3-4ヶ月毎 6ヶ月毎 1年毎
CT(腹・骨盤部) 2ヶ月毎 3ヶ月毎 3-4ヶ月毎 1年毎 適宜

表6:非セミノーマで経過観察のみ(追加治療なし)

検査 6ヶ月以内 0.5-1年 1-2年 3-5年 5年以上
診察(症状など) 1ヶ月毎 1ヶ月毎 2-3ヶ月毎 6ヶ月毎 1年毎
腫瘍マーカー 1ヶ月毎 2ヶ月毎 2-3ヶ月毎 6ヶ月毎 1年毎
胸部レントゲン 1ヶ月毎 2ヶ月毎 2-3ヶ月毎 6ヶ月毎 1年毎
CT(腹・骨盤部) 3ヶ月毎 3ヶ月毎 4-6ヶ月毎 6ヶ月-1年毎 適宜

Ⅰ(1)期で補助治療(放射線治療や化学療法)が施行された場合は、再発率が低くなることから、CTなどの検査はもう少し頻度を少なくしても良いとされています。

表7:進行性精巣がんの治療後のフォロー

検査 1年目 2年目 3年目 4年目 5年目 5年以上
診察(症状など) 1ヶ月毎 2ヶ月毎 3ヶ月毎 4ヶ月毎 6ヶ月毎 1年毎
腫瘍マーカー 1ヶ月毎 2ヶ月毎 3ヶ月毎 4ヶ月毎 6ヶ月毎 1年毎
胸部レントゲン 1ヶ月毎 2ヶ月毎 3ヶ月毎 4ヶ月毎 6ヶ月毎 1年毎
CT(腹・骨盤部) 適宜 適宜 適宜 適宜 適宜 適宜

進行性では胸部CTや頭部CTも考慮されます(脳転移は約5%)

精巣がんの約 30%の症例は,転移を有する進行性精巣腫瘍として認められますが,シスプラチンの導入以降,たとえ転移を認めても抗がん剤による化学療法が著効し,転移のある症例の約 80%を治癒に導くことができるようになりました。特に 1997 年に IGCC分類が発表されて以来,転移を有する精巣がんの治療指針がある程度整えられたといえます。

しかしながら,導入化学療法である BEP 療法が適切に行われなかった場合や導入化学療法に抵抗性を示す場合,非常に治療に難渋する症例があるのも事実です。この場合,救済化学療法(再発時の化学療法)が必要になりますが,以前から行われていた VIP 療法(エトポシド、イホスファミド、シスプラチン)や VeIP 療法(ビンブラスチン、イホスファミド、シスプラチン)では満足のいく成績が得られず,超大量化学療法が試みられましたが明らかな優位性は証明されませんでした。そのため、パクリタキセルやゲムシタビン,イリノテカンといった新しい抗がん剤が使用され,その有効性が明らかになりつつあります。このような点から当院では救済化学療法としてTIP療法(パクリタキセル、イホスファミド、シスプラチン)とGEMOX療法(ゲムシタビン、オキサリプラチン)を行うようにしています。

また,化学療法後の残存腫瘍に対する方針も非常に重要であり,現状では可能であれば後腹膜リンパ節郭清術などにより,残存腫瘍はすべて摘除することが望ましいと考えられています。また、摘出腫瘍に残存がんを認める場合は,補助化学療法が考慮されます。

以上のように精巣がんは,転移があったとしても根治の望める数少ない固形がんです。そのためには化学療法のみならず手術も組み合わせた集学的治療が必要となります。

性腺外胚細胞腫瘍について

性腺外胚細胞腫瘍は、主に体の中心線上に発生し、精巣に明らかな腫瘍を認めない胚細胞腫瘍です。縦隔(胸の中央部分)や後腹膜に発生することが多いですが、頭蓋内に発生することもあります。成年男子において体の中心線上に原発不明の腫瘍を認めた場合には、まず腫瘍マーカーであるhCGやAFPを測定することと、精巣の超音波検査が必要です。性腺外胚細胞腫瘍が疑われた場合には腫瘍の生検を行い確定診断が得られます。治療はIGCC分類に準じた化学療法が施行されます。

長期合併症について

二次発がん

無治療経過観察と比較して放射線治療では2.0倍、化学療法では1.8倍、放射線化学療法併用群では2.9倍と危険度が増します。初診時の年齢が若いほど、経過観察が長いほど危険度が増します。

心疾患

化学療法を受けた患者さんでは、狭心症や心筋梗塞などの心血管系疾患や心不全、心臓死を起こす危険性が高くなります。放射線治療でも心疾患の危険性が増すと報告されています。

慢性腎臓病

シスプラチンによる急性期腎毒性はよく知られていますが、慢性腎臓病へ移行する可能性があり、注意が必要です。

神経毒性

化学療法の副作用として、末梢神経障害と聴力障害が問題となります。シスプラチンが400mg/m2を超えると起こりやすくなります。

その他、食欲不振や下痢などの消化器症状も長期に及ぶことがあります。

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