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治療法の選択に関して

前立腺がんには様々な治療があります。
標準的な治療には、

  1. PSA監視療法
  2. 手術(前立腺全摘除術)
    • ロボット支援
    • 腹腔鏡下
    • 開腹
  3. 放射線治療
  4. ホルモン治療

があります。また、これらの治療を組み合わせて行うこともあります(例えばホルモン治療+放射線治療)。しかし、リスク分類や進行度によっては治療法が制限されます。以下にリスク分類毎に適した治療法を提示しています。

  PSA監視療法 手術 小線源 外照射 ホルモン単独
超低リスク ×
低リスク ×
中間リスク × ×
高リスク × × ×
超高リスク × × ×
転移がん × × × ×

●はホルモンを併用します。外照射の中には高線量率組織内照射(イリジウム192)を併用する方法もあります。また、×でも年齢や状況によっては選択できることもあります。
前立腺がんの治療法を決める時には、自分のがんがどのような進行度か、がん細胞の悪性度がどの程度かなどを担当医より十分に説明を受け、選択することが大切です。また、治療後の変化、特に排尿状態や性機能についても十分理解し、QOL(生活の質)の低下を最小限にとどめることも必要です。決して担当医のみが治療法を決めるものではなく、患者さんと担当医が一緒に考えて決めるものです。特に、根治療法である手術と放射線治療に関しては悩まれる方が多くいます。そのような場合には一度放射線治療医から直接話を聞くのもよいでしょう。また、他の専門医の意見(セカンドオピニオンといいます)を聞くことも可能ですので、希望される方はおっしゃって下さい。

治療法選択のために参考になるデータをいくつか示します。一つ目は治療後の経過です。

治療後のPSAの変化のグラフ

左図は治療後のPSAの変化を示しています。手術の場合PSAは数ヶ月以内に速やかに低下し、再発がなければ0.2ng/ml未満になります。放射線の場合は、経過が順調でもPSAの低下は数年かかり、途中上昇することもよく見られます。また、最近報告された欧米のデータでは、手術の方が放射線に比べ生存率が良かったことが示されました(特に若年者)。しかし、手術と放射線の直接的な比較はこれまでなされておらず、示されたデータは違う集団でのデータの比較ですので、実際にはどちらの成績が良いのかなどの結論は出ていません。


QOLの変化のグラフ

次に参考になるデータとして治療後のQOL(生活の質)の変化について示します。前立腺がんの治療では、治療後に排尿・排便・性機能に影響を及ぼすことが知られています。この問題に対して、当院で施行した開腹手術と小線源治療を比較したデータを示します。まず、右に示したのは排尿機能の簡単なアンケートの結果です。手術では治療後6ヶ月目には手術前より改善していますが、小線源群では治療後6ヶ月目まではかなり悪化しています。


排尿刺激・下部尿路閉塞、尿失禁、排尿負担感のグラフ

もう少し細かく見たのが右図です。排尿刺激・下部尿路閉塞(排尿困難や頻尿など)は手術群がよく、尿失禁は手術群の回復が遅れています。排尿負担感(どれだけ苦痛に感じているか)は手術群の回復がよいことから、尿失禁もそれほど大きな問題にはなっていないことがわかります。


排便機能、排便負担感のグラフ

一方で、排便機能・負担感ともに小線源群の方に悪化が見られます。


性機能、性負担感、尿失禁のグラフ

性機能に関しては手術群で神経温存をしなければ回復することはありません。神経温存をすれば、小線源群と同程度まで回復は見られますが、負担感の回復が悪いことから、やはり手術前の状況には至っていないことが伺えます(射精がないなど)。神経温存は、尿失禁の回復にも寄与しているようです。ただし、神経温存はリスク分類などにより全ての方に出来るわけではありません。


最近の報告では、ロボット支援手術では尿禁制の回復が早いことが分かっています。1年以降ではどの手術方法でも尿失禁の頻度に差はなくなりますが、3ヶ月までの早期の回復はロボット支援手術が勝ります。この点では腹腔鏡手術の回復が悪いという報告が多いです(中には差がないという報告もあります)。また、同じ神経温存手術を行った場合も、ロボット支援手術の成績が良いと報告されています。このようにロボット支援手術は、術後の機能回復にも役立っています。

以上のデータを参考に、あなたに適した治療法を決めましょう。

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