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部署案内:診療科・各診療部門案内:遺伝性がん診療科1.遺伝性乳がん卵巣がん

(Hereditary Breast and Ovarian Cancer:HBOC)

病気の特徴

乳がん患者さんの血縁者に、複数の乳がん患者さんが見られる場合、家族性乳がんと呼びます。そのうち、特に乳がんの発症に強く関わる遺伝子が原因で乳がんを発症している場合を遺伝性乳がんと言います。遺伝性乳がんの中で最も代表的なものとして、「遺伝性乳がん卵巣がん」が知られています。

以下のいずれかに該当する場合には、遺伝性乳がん卵巣がんの可能性について、一度専門家に相談することをお勧めします。


  • 若年(おおむね40歳未満)で乳がんを発症している
  • 1人の人が両側の乳がんあるいは乳がんと卵巣がん(または卵管がん、腹膜がん)の両方を発症している
  • 父方あるいは母方家系のいずれか一方の血縁者に2人以上の乳がん患者あるいは乳がん患者と卵巣がん(または卵管がん、腹膜がん)患者の両方がいる
  • 男性乳がんを発症している
  • 卵巣がん・卵管がん・原発性腹膜がんを発症している

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原因

遺伝性乳がん卵巣がんは、生まれながらに持っている遺伝子の変化(「遺伝子変異」といいます)によって起こります。遺伝子は、私たちの体を構成する細胞の中にあり、体を作るための設計図のような役割をしています。私たちの体や体内で必要とされる物質は、約2万5千種類もある遺伝子の情報に基づいて作られます。これらの遺伝子のうち、BRCA1とBRCA2という2つの遺伝子が遺伝性乳がん卵巣がんの原因として知られています。これらの遺伝子のいずれかかに変異をもつ方では、乳がんや卵巣がんを発症する可能性が一般の女性に比べて非常に高いことが分かっています。

BRCA1あるいはBRCA2の遺伝子変異は、親から子に2分の1の確率で受け継がれます。つまり、親が遺伝子変異を持っていても、必ず子どもに遺伝子変異が受け継がれるわけではなく、その確率は50%ということになります。また、これらの遺伝子変異を持っていても、必ずしもがんを発症するというわけではありません。

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経過観察と治療

遺伝性乳がん卵巣がんが強く疑われる家系の女性では、乳がんや卵巣がんを発症する可能性が非常に高いため、これらのがんの予防や早期発見といった対策をとることが勧められています。現状では以下の3つの対策の方法があります。(1)こまめな検診、(2)予防的手術、(3)予防的内服薬投与、です。欧米では予防的両側乳房切除・予防的両側卵巣卵管切除や予防的内服薬投与という考え方が広まっていますが、これらは日本ではまだほとんど行われていないのが現状です。検診の受け方として、乳がんのリスクに対しては、18歳から毎月の自己(視触診による)検診、25歳位から医師による半年毎の視触診および1年毎のマンモグラフィー(乳房レントゲン撮影)にMRIを加えた検診が勧められています。また卵巣がんに対しては、効果が確かめられている検診はありませんが、予防的な卵巣卵管切除術を受けない場合、35歳から半年毎に婦人科での経腟超音波検査と、血液検査によるCA-125の測定を受けることとされています。

乳がんや卵巣がんを発症した場合は、それぞれのがんの状況により、通常の(遺伝性ではない場合の)治療方法に準じて治療が行われます。遺伝性であるからと言って、必ずしもがんの性質が悪いということではありません。

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遺伝子検査

採血を行い血液から遺伝子を抽出して調べます。BRCA1またはBRCA2の遺伝子変異が見つかる可能性は、その家系内での病気の発症の状況により異なります。BRCA1またはBRCA2に遺伝子変異があった場合、遺伝性乳がん卵巣がんであることが確定します。またその場合に、血縁者の方も同じ遺伝子変異を引き継いでいるかどうかを調べることが可能になり、もし血縁者の方にも同じ遺伝子変異が認められれば、やはり綿密な検診などの対策をとることが強く勧められます。逆に血縁者の方が遺伝子変異を有していないことが分かれば、乳がんや卵巣がんを発症する確率は一般の女性と同じで、一般的な検診を受ければよいことになります。ただし、初めに遺伝子検査を受けられた方に遺伝子変異が見つからなかった場合でも、遺伝性乳がん卵巣がんでないと断定することはできないことに注意が必要です。遺伝子検査の持つ意味や検査結果がご本人やご家族にもたらす影響について、専門家やご家族とよく話し合ってから検査を受けることが大切です。