四国がんセンター

名誉院長エッセイ<季刊>患者の言い分、医者の言い分

気のせいかなあ・・:2017年1月号

先生!再発しとりゃせんかのお

ある日の外来。胃がんで胃の3分の2を切り取った方です。『せんせえ、傷のところがじくじく痛いんじゃが、再発でもしとりゃせんかのお』「傷が痛いんじゃったら中とは関係ないと思うがなあ。心配なら検査してみようかねえ」血液検査、CT、胃カメラなど一通りしましたが再発の所見はありませんでした。「やっぱり再発はなかったですよ。あまり痛いようなら、痛み止めを出しましょうかね」『いや、それを聞いたら治ったような気がするけんええわ。気のせいじゃったんかいのお』外来を後にする姿が、心なしか気恥ずかしそうでした(*^_^*)

そういえば自分も

今では、胃がんの大きな原因としてピロリ菌の感染があることはよく知れ渡りましたね。そのことが学会で話題になった頃、胃のあたりがなにやらむかむかするのです。また、胃がもたれて、胃の中に何か貯まったようなポチャポチャ音がし出したのです。こりゃあ大変だ。胃がんができて幽門狭窄(胃の出口ががんなどで狭くなって食物が通りにくくなることです)になっとるんじゃなかろうか。。この際、胃カメラを受けとこう。知り合いのドクターに診てもらいました。答えは「きれいな胃ですね。ストレスなんかなさそうで、ピロリ菌もいないようですよ」ほっとしたのは言うまでもありませんが、ストレスなんかなさそうで、は余分だろう(-_-;)
こんなこともありました。術後の患者さんから、まぶたがぴくぴくすると相談されたことがありました。頭の中にまぶたの筋肉を動かす神経と血管が交差するところがあって、血管が神経を圧迫して筋肉の痙攣を起こすことがあるのです。結局、知り合いの脳神経外科医へ紹介して手術してもらい、治ったことがありました。そのころです。私のまぶたもぴくぴくし出したのです。ありゃ、人ごとじゃあないぞ。自分もその仲間か。。。それは、程度が軽かったのでしばらくほおっておくと、いつの間にやら収まっていました。

そういえば学生時代にも

胸腺腫という、縦隔(胸の中で左右の肺に囲まれた心臓などがある真ん中の部分のことです)にできる腫瘍があります。時に、食道を圧迫して嚥下困難を来すことがあるのですが、学生時代に、その講義が終わったころからものを飲み込みにくくなったような気がし出したのです。意を決して、大学病院のドクターに相談し、食道、胃の透視をしてもらいました。結局何事もなく、担当の医師からはもろ岡山弁で『おめえ、ぼっけえ心配性じゃのお。気にせられな』
重症筋無力症という、筋肉の力が抜けていく病気がありますが、病気の講義を受けた頃から、左の親指の付け根の筋肉がぴくぴくし出したのです。この病気の始まりの症状とそっくりだったので、内心とても心配しました。検査を受けようかこのまま様子を見ようか迷っていましたが、そのうち症状はなくなってしまいました。同時に、病気の知識も無くなったように思いますが_(_^_)_
思い出すとまだまだありますが、恥ずかしいのでこれまでにしましょう。

心配性??

手術のあと、ちょっとした出来事にびくびくしながら生活することがあるのはよくわかります。その都度相談してくださいね。答えは、多くの場合「何いっとるん。手術のあとはそんなこともあるじゃろう」でしょうが。。。でも、その訴えこそ大事なのですよ。何かが潜んでいるかもしれませんからね。内容によっては、詳しく検査しますからね。その選択は、医者の能力でしょうが(言いすぎかな)

実は

私が、ひょうひょうと診察しているように、また何事にも動じないように思えますか?実は、いろいろな悩み?を抱えているのです。多くは、空振りですがね(^_^;)

あらあら、これを書いている間に、なんだかまぶたがぴくぴく・・・

院長 栗田 啓