四国がんセンター

名誉院長エッセイ<季刊>患者の言い分、医者の言い分

おばけ先生:2016年10月号

「おばけ先生やな」

院長回診の時のお話です、1ヶ月に2病棟ずつですが、院内の病棟を私、院長が回診しています。1年に3巡りすることになります。
ある病棟での院長回診の時、「こんにちは。院長の栗田ですが、体の調子はどうですか」患者さん曰く、『あっ、お化け先生やな』「えっ?」あ、そうか。そういえば、がんセンターニュースに、病院に現れた?妖怪のこと、我が家に住む座敷わらしのことを書いたのでした。読んでくださってるんだなあ。感激でした。あれから時間もたちました。新築当時からいた我が家の座敷わらしもいつの間にか音沙汰がなくなり、どうやら出ていったようです(-_-;)そのせいでしょうか、夫婦二人とも病気がちになり、体のあちこちが痛くて疲れやすくなってしましました。えっ?年のせいだって‥うーん、そうかなあ…そこで、今、住み込みの座敷わらしを募集中なのです(*^_^*)

身の回りにはいろんな妖怪話があるのですよ

うちの奥さんの仕事仲間の子どもさんが、よく『お母さん。階段に座ってるお兄ちゃんとお話ししていい?』と言うのだそうです。お母さんには見えるはずもなく、最初はどきっとしたらしいのですが、実際、お話しているんだそうです(^_^;)おおこわっ。いつものことなので、ほうっておいたそうですが、子どもさんが成長するにつれて言わなくなったそうです。
もと(今も?)女優の安田成美さんは、ご自分が子供の頃、机の引き出しの中に”こびとさん”がいたんだそうです。いっしょに遊んでいたそうですが、これもいつのまにかいなくなったそうです。
私の孫娘も、時々不可解な行動をすることがあるのです。昨年のハロウィンの時、南瓜の絵が描かれてあるキャンディの包み紙をじっと見つめて、なにかお話しをしているようなのです。近所のスーパーに行っても南瓜のディスプレーを探して、なにか確認をしているようでした。じーじ(私です(^-^))が前向き抱っこして、スーパーの中を命令されるがままに行き来するのです。たぶん、そのスーパーでは名物(どちらかと言えば迷惑かな)になっていてたと思います(^_^;)。ハロウィンが過ぎて、南瓜がなくなると、何かさみしそうでしたね…どういうわけか女の子ばっかりですね。こんな不思議エピソードの持ち主は。

小説や映画にも

浅田次郎さんの小説「鉄道員(ぽっぽや)」は、不思議だけど素敵なお話ですね。映画だと「ゴースト/ニューヨークの幻」でしょうか。一度死んだものが、相方を愛するあまり現世にもどってくるお話です。皆さんは、ただのフィクションだと思っていませんか?私もその一人ではあるのですが、こんなお話があります。
水木しげるさんの妖怪事典にこんな文章があります。ある雨の日に、亡くなった奥さんが、夫を心配するあまりこの世に現れて、なにかと身の回りの世話をしたというのです。帰りに(どこへ帰ったんでしょう(^^;))傘を忘れて帰ったそうで、東北地方のあるお寺に、大正時代までその傘がおいてあったそうです。どこのお寺かは書いてありませんでした。でも、なんとも言えずロマンチックなお話ですね。その傘、見たかったなあ。

心の中に何かがあるのでしょうね

誤解のないように言っておきますが、私自身は幽霊や妖怪の存在は信じていません。我が家の”座敷わらし"も女房殿と娘が、いる(今はいないので、”いた”が正しい?)と言うのです。あまたの妖怪伝説、少し昔で言えば”遠野物語”や、現在では”山怪”に出てくる奇怪なお話なんぞを読んでいると、私たちの心の中にある、抗いようのない力に対する畏怖の念が、妖怪や幽霊を作り出したと思うのです。でも、おおっぴらには言えません。ここだけの話にしておきましょう。いると信じて疑わない人たちもいるのですから。

院長 栗田 啓