四国がんセンター

名誉院長エッセイ<季刊>患者の言い分、医者の言い分

先生、太ったねぇ!:2012年4月号

外来でのある会話です

最近、患者さんからこんな言葉をかけられることが多くなりました。うーん、確かに太ったなあ(-_-;)。がんセンターが堀之内にあった頃は我が家から自転車で通っていました。行きは下りなので10分少々でしたが、帰りは上り坂で15から20分はかかっていました。ところが、現在の場所へ移転してからというもの、車通勤へ変わりました。時間が不規則な医者の生活故に、電車通勤では帰りの電車がないことがあるのです。運動する機会がぐ、ぐっと減りました。

とにかくおいしいんですよ

ところがですね、食べる量は変わらない、それどころか、いろんなものがおいしくて、ひょっとして以前より食べているかもしれません。私は、うちの女房殿の作るカレーライスが大好物で、今でも、3皿くらいは平気で食べてしまいます。ところで、一部の人たちの間で、「朝からカレー」がダイエットとして静かにはやっているらしいのですが、還暦になって、しかも、夕食にカレー3皿はいくら何でも行き過ぎですねぇ…わかってはいるのですが(-_-;)。
太り気味の患者さんへ、「食べ過ぎですよ」とか、「自分で考えてたべんといかんよ」なんて、偉そうにいえた柄ではありませんね。それはそうなんですが、わかっていても止まらないんですね、これが。小さい頃に、あまり食べられなかったことが、深層心理としてあるのかな、なあんて、勝手にかっこつけて解釈してますけどね!?

何とかしなくては

それでも、これは前の病院からの習慣なのですが、エレベーターはできるだけ使わないようにして、もっぱら階段を使うようにしています。8階まででも歩きです。加えて、最近では、病院周囲を2kmくらいですかね、ウォーキングしているんですよ。もう、1年くらい続いていますが、悲しいことに体重への効果はないのです。ただ、増えてはいませんけどね。
先日、岡山へ出張のおり、駅前の高島屋で『御座候』を買いに並んでいた時のことでした。私は、この御座候という大判焼きが大好きで、岡山への出張の折には必ず買って帰るのです。かなりな人気商品のようで、地元の方もけっこう並んでいます。その日も例外でなく、私の前に10人くらい並んでいたでしょうか。ひとつ前に、ちょっとぽっちゃりとした若い女の方が並んでいました。それまでの人たちは一人が10個とか12個とか買っていって、残りが段々少なくなってきていて、気が気ではありませんでした。この女の人は、いったい何個買うんだろう、ひょっとしてなくならないかなぁ…『一つください』…えっ??これだけ待って1個なの??おかげで、私の分、赤あん、白あん2個ずつが変えました。帰路につきながら思いました。あの女性は、きっと、太り気味なのを気にして、でも、どうしても食べたくて、1個のために並んだんだろうなあ。けなげだなあ…そ、そうだ、これだっ!

やっぱり

そう思ったのも1週間くらいでした。気がつくと、カレー3皿の生活にもどっていました。
こんな言葉をどこかでみました。大人とは垂直方向には成長を止めたが、水平方向には止めていない人のこと…だそうです。至言だなあ。

栗田 啓