四国がんセンター:病院をご利用の方へ

クローズアップ四がん血液腫瘍内科医長 吉田功医師

専門・診療科
血液腫瘍・血液腫瘍内科
認定資格
日本内科学会 認定内科医・認定教育施設指導医
日本血液学会 血液専門医・指導医・中四国評議員
日本造血細胞移植学会 造血細胞移植認定医
臨床研修指導医
岡山大学医学部臨床准教授
日本臨床腫瘍学会 発熱性好中球減少症(FN)診療ガイドライン改訂版作成WG作成委員
経歴
1995年(平成7年)宮崎医科大学医学部卒業
2005年(平成17年)岡山大学医学研究科卒業

至誠惻怛~まごころと傷み悲しむ心があれば人にやさしくなれる~

先生の専門分野は?

血液の細胞である赤血球、白血球などから発生したがんの治療が専門領域となっています。腫瘍がかたまりになっていない場合(血液や骨髄(血を造っている臓器)に病変がある場合)には診断も行います。かたまりを形成した場合には病理医に診断を依頼します。

血液腫瘍の特徴は?

診断分類がたくさんあります。医学の進歩とともにさらに細分化されておりWHO分類2016改訂ではリンパ系腫瘍に限っても約90種類あります。診断が難しいことが少なくなく、病理医と臨床情報を密に交換しながらより精緻な診断に努める必要性があり、当院ではそのように取り組んでいます。

疾患によって増悪(悪化)するスピードが異なっており、数日で亡くなる方や無治療で10年以上過ごされる方など多様です。どのくらいの期間生存が期待されるのかということを私たちは予後と表現しますが、診断名によって予後も大きく異なるのが特徴であります。

治療の特徴は?

抗がん剤による化学療法が主ですが、疾患によって放射線治療をおこなうこともあります。造血幹細胞移植は血液腫瘍において今でも重要な治療の一つであり、当院では自家移植および血縁者間同種移植を行っています。

治療戦略を考える場合にはまず、無治療経過観察でも予後に影響がない疾患(早期の治療介入することの利益が科学的に明らかとなっていない)であるのか、治療を行うことで予後が改善されるのかを選別する必要があります。他の領域と比べて特徴的であるのは、すぐに抗がん剤による治療を行わなければ命に関わるような疾患が含まれていることです。代表的な疾患は急性前骨髄球性白血病、バーキットリンパ腫です。これらは治療に伴う合併症が甚大であり、出血や感染症などの合併症で命に関わることがありますが、早期の治療により完全に治ることが期待できる疾患であります。

造血幹細胞の分化と急性前骨髄球性白血病
造血幹細胞の分化と急性前骨髄球性白血病

合併症の治療をがんサポーティブケアとよびますが、そのなかでも感染症の予防・治療が重要です。施設面では14床のクリーンルームを整備し呼吸器真菌感染症の予防を行っています。熟練した看護師による看護はもちろんのこと、歯科医による口腔粘膜ケア、栄養サポートチームによるGFO介入などもかなり以前よりおこなっています。

抗がん剤治療については、最初の分子標的治療薬であるグリベックの登場によって、同種造血幹細胞移植でないと助からなかった慢性骨髄性白血病は10年生存率83%と改善されました。多くの分子標的治療薬が血液腫瘍領域の治療成績を向上させています。しかし、さらなる進歩の必要性があります。

血液腫瘍だけの特徴ではありませんが、高齢の患者さんが増えています。私たちはすべての症例において年齢、併存疾患、日常生活活動度、認知能力をふまえた治療計画を立てています。残念ながら治療を受ける患者さんの状態によっては毒性と治療利益との比較の結果、治療がかならずしもベストではないという場合もあります。その場合は痛みや症状をケアすることで患者さんをサポートします。

最後に一言お願いします

医療を舞台に例えると主役は患者さん自身です。主演俳優が、今行われていることの意味や内容をきちんと理解・納得して主体的に医療に参加していただかないと医療という舞台は回りません。裏方である私たちが信頼される医療を提供するためにも説明と同意(インフォームドコンセント)がとても大切であると考えています。

骨髄像カンファレンス
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