四国がんセンター:病院をご利用の方へ

クローズアップ四がん乳腺外科・遺伝性がん診療科 がん診断・治療開発部長 大住省三医師

専門・診療科
乳がん
遺伝性がん
認定資格
死体解剖資格
日本遺伝カウンセリング学会 臨床遺伝専門医
日本家族性腫瘍学会 家族性腫瘍カウンセラー
日本癌治療学会 臨床試験登録医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
日本外科学会 外科指導医
日本外科学会 外科専門医
日本外科学会 認定医
日本乳癌学会 乳腺専門医
日本臨床腫瘍学会 暫定指導医
マンモグラフィ検診精度管理中央委員会 検診マンモグラフィ読影認定医
経歴
1982年(昭和57年)
 岡山大学医学部卒業
1986年(昭和61年)
 岡山大学大学院医学研究科卒業
1991年~93年(平成3年~5年)
 米国スタンフォード大学医学部在籍

遺伝的な体質が原因の患者さんによく効く薬の開発が進んでいます

遺伝性がん診療科とは?

私は、乳腺外科と遺伝性がん診療科を掛け持ちしております。私は乳がんの診療すべてをおこなう乳がんの専門医であると同時に遺伝の専門医でもある、日本では珍しいタイプの医者です。遺伝性がん診療科というのは、遺伝的にがんにかかりやすい体質を持っている方を見つけて、その方やその血縁の方々のがんの予防につなげていくことを行っている診療科です。遺伝で伝わる体質ですから、ご家族ごと診察させていただくことが多いです。最近になって少しずつ知られるようになってきましたが、実は乳がんというのは、かなり遺伝と関連しているがんなのです。

乳がん患者さんのどの程度が遺伝的体質で乳がんにかかっていらっしゃいますか?

かなり強い遺伝的な乳がん体質をもって乳がんにかかる方は、乳がん患者さんの5~10%程度と言われています。その方々の乳がんの体質を決めている原因遺伝子はいくつか見つかっており、その遺伝子を調べることで、将来乳がんにかかるリスクをかなり正確に予測できることがあります。つまりそれらの遺伝子に異常を有する場合、乳がんにかかるリスクが高いことがわかり、積極的ながん検診や予防の対策を行うことによって、乳がんによって命に影響を及ぼすことを極力さけることができます。ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーさんはこのような遺伝子の一つであるBRCA1の異常を有していることがわかり、がんに罹患していないのに予防目的で両側の乳房の予防的切除術を受け(手術は予防法の一つですが、これがすべてではありません)、世界に衝撃を与えました。この遺伝子の異常を有する人は卵巣がんのリスクも高いので、アンジーさんはその後卵巣の切除も受けられたようです。

がんにかかりやすくする遺伝子の異常は、乳がん以外にもありますか?

乳がんや卵巣がん以外のがん、特に大腸がんや子宮体がんの患者さんの中にも、遺伝的体質が原因でかかるべくしてこれらのがんにかかっている患者さんが比較的多く、その原因となる遺伝子もみつかってきています。これらの遺伝子検査を行うことで、がん高リスクの方を見つけ出して、がんの早期発見や予防につなげています。

遺伝的な体質が原因でがんにかかった患者さんによく効く治療法はありますか?

このような遺伝的ながんに対しては、早期発見や予防の立場で取り組まれてきていますが、一つ朗報はこういった体質が原因でがんにかかった方のがんに特異的によく効く薬の開発が進んでおり、特に遺伝で起こった卵巣がんの新しい治療薬の承認がもうすぐおりようとしています。遺伝性のがんの方への診療が注目を集め始めている大きな理由の一つがここにあります。

「もしかしてうちはがん家系?」と思われる方にひと言お願いします

私たち専門家が注目する遺伝的ながんの体質を有する患者さんの特徴として、若い年齢でがんを発症していること、同じ種類のがんの患者さんが家系内それもお父さん側あるいはお母さん側のどちらかに集中して複数おられること、お一人の患者さんが何度もがんにかかっていることなどがあります。ただ、これらのみでは判断できない遺伝性のがん患者さんも多くおられます。「もしかしてうちはがん家系?」と思われる方はどうぞご相談下さい。