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海外研修レポート

6階西病棟 清家三紀子

2009年1月、アメリカのテキサス州ヒューストンにあるMDアンダーソンがんセンターでの研修に参加しました。乳がん看護を中心に見学し、実際に行われているチーム医療も学ぶことができました。

MDアンダーソンがんセンターの外観写真MDアンダーソンがんセンターは、アメリカで4番目に大きな都市、テキサス州ヒューストンにあります。 ヒューストンはテキサス州南東にあり、メキシコ湾岸より約80 km のところに位置しています。病院は、42以上の医療機関が集まる世界で最も大きな医療キャンパス、テキサスメディカルセンターの中にあります。過去60年以上の間に50万人以上のがん患者様が最先端医療に基づく診療を求めて全世界から受診されています。国や言語の違いに関係なく、患者様へ暖かい心のこもったケアが行われています。アメリカは自分の加入している保険により医療費が異なり、医療費が高額になる場合があるため、外来で治療を受ける患者様がほとんどです。外来は1日に約5000人以上の患者様が受診していました。病院の周りには、多くのホテルがあり、遠方の患者様が病院を受診するために利用しています。私も、患者様が利用するホテルに2間週滞在し研修を行いました。

MDアンダーソンがんセンターの外観写真研修中に、手術を受け、現在は通院をしながら抗がん剤治療を受けている日本の乳がん患者様に、お会いすることができました。日本では治験段階である抗がん剤治療を受けることができるなど恵まれた環境ですと話されていました。また、アメリカだけど家族が周りにいて不安はないと言われていたのが印象的でした。

 

MDアンダーソンがんセンター

 

相談室●海外からの受診患者様が、医療費用、滞在のことなどを相談できる場所です。また、言葉の相談もでき、必要に応じて通訳を手配してくれます。

 

 

診察室乳がん患者様が受診する外来、入院病棟やボランティア活動などを見学しました。乳腺科外来を受診してきた患者様は、まず「診断・画像外来」を受診し、細胞診検査、マンモグラフィ、エコーなどの検査を受けます。診断・画像外来には、細胞診検査後15分程度で検査結果が出ます。そのため、検査後に乳腺科外来に移動し検査結果の説明を聞き、乳がんと診断される患者様もいます。がん告知を受けると今後の治療について医師と相談し、次回外来より手術療法、化学療法など治療に応じて形成外科外来や抗がん剤治療外来を受診していきます。患者様が治療別に外来を受診していくため、患者様への説明資料が数多く作成されています。また、医療者間での情報交換用のチェックリストなどが作成され、患者様の治療方法や状態など情報を把握し援助していました。

診察室入院病棟は、疼痛コントロールを行っている患者様、胸水の貯留している患者様、手術直後の患者様が入院します。すべて個室になっており、シャワー室、トイレが設置され、ベッドとリクライニング用の椅子があります。患者様の目標ボードがあり入院すると退院調整を管理している看護師が患者様とともに目標を立てていきます。入院が短期間の方が多く、早期からの介入が重要になります。例えば、手術療法を受ける患者様は、手術侵襲によりますが、1日入院すると費用が高額になるため、23時間滞在という日帰り手術をされる患者様が多くいます。管などを挿入したまま退院されることも多く、使用方法を患者様や家族し指導し、外来でフォローしていました。

アメリカでは、業務別に担当者が決まっており、1人の患者様に対して多くのスタッフで連携をとっていくという合理的な医療が行われています。例えば、抗がん剤治療中で中心静脈カテーテル(CVC)を挿入している患者様は、ルートの閉塞の有無を確認する看護師、自宅での包交を指導する看護師が輸液療法外来で支援していきます。そして、抗がん剤治療を受ける時には、抗がん剤治療外来を受診し、抗がん剤治療のトレーニングを受けた看護師が治療や副作用への対応など治療の管理を行っています。自分の担当分野に責任を持ち、より高度な知識と手技で確実に施行されていました。患者様は治療や状態により、受診する外来が異なるため、あらゆる外来で注意をしなければいけないこと、確実に理解してほしい事が何度も確認され、医療者の説明も統一されていました。

私たちも、病棟や外来で、手術方法や術後の経過の説明、抗がん剤治療の管理や副作用の対処とその説明などを行っています。当院で行っている乳がん看護と同じことが、MDアンダーソンがんセンターの上級看護師や腫瘍専門看護師により提供されている場面がありました。自分たちの看護に自信を持ち、研修で学んだことを取り入れ、患者様と一緒に考え、治療に取り組んでいきたいと思います。 
また、医療従事者が連携を図るためには、コミュニケーションが重要です。研修中に、外来や入院患者様に対して医師、看護師が対等に意見を交換し、治療などについて検討している場面がありました。外来では、1人の患者様に対して、外来を受診する前、受診し看護師の問診を終えた後、医師の診察が終わった後に話し合いをします。必要であれば他職種と連携をはかり何度も意見を交換して多くの時間を費やしていました。患者様の治療や今後の方針について様々な立場から意見を出し合い、意識を統一していくために何度も話し合いを重ねていく姿は見習いたいと感じました。そして、外来で指導をしてくれた上級看護師が、「医療者は、患者様が今何を必要としているのかを考え、それぞれの意見を尊重して話し合いをすすめていきます。医療者間のコミュニケーションは相手を信頼することが大切です。」と話されていたのがとても印象的であり、チーム医療を円滑に行うためには、医療者間のコミュニケーションが重要であると学びました。

ボランティア活動も充実しており、医療者だけでなく、すべての人ががん患者様を支援していました。ボランティアの多くはがん経験者でした。自分の経験をもとに患者様を支援し、一人ではなく、みんなで治療に取り組んでいこうという姿を感じました。乳がんを経験したボランティアの方は、自分の手術の跡を見せたり、抗がん剤治療の副作用のことを話したりしていると言われていました。また、自分の病気のことや治療で悩んでいる患者様と話し、図書館で治療に関する資料を一緒に探しているボランティアの方もたくさんいました。当院でも、緩和ケア病棟でのイベントや外来受診された患者様の案内などボランティア活動が行われています。がん患者様を支援していきたいという思いは、MDアンダーソンがんセンターと同じものを感じました。アメリカと日本の文化の違いがあるのかも知れませんが、患者様や家族が治療に取り組んでいくときに、医療者やボランティアみんなで支援できるとよいと思います。

図書室●患者様や家族が自分の病気や治療について情報収集をするために利用できる図書室です。医療者も利用しています。

 

 

この研修で私は、とても印象に残った場所があります。炎症性乳がん外来という場所です。この外来は、乳がんの約2~4%といわれる炎症性乳がんの患者様のみが受診します。世界中でも、とても珍しい外来です。炎症性乳がんは診断が難しく、進行がとても速いため的確な判断が求められ、必要不可欠な外来であると言われています。世界中から約20名/週の患者様が受診されます。外来には、1人の上級看護師が勤務しており、診断・がん告知・検査の説明などすべてを行い患者様に関わっていました。上級看護師は、がん告知を行うにあたり、患者様と家族とのコミュニケーションに多くの時間を費やしていました。患者様や家族からとても信頼され、頼りにされていることが患者様の言葉より感じることができました。上級看護師が看護に熱意を持って患者様と関わっている姿、信頼を得るために医療の知識を高め患者様が理解できるように説明している姿、自分の看護に自信を持ち自分の思いを表現している姿が強く心に残っています。

私たち日本の看護師は、がん告知を行うことはありません。しかし、患者様と共に治療に取り組むことは同様であり、患者様や家族とのコミュニケーションをとても大事にしています。患者様の気持ちに耳を傾け、一緒に考え、治療に取り組み、患者様や家族に安心して頼ってもらえるような存在になれるよう、この研修での学びを活かしていきたいです。

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