前立腺がんの治療法は、がんの進行の具合(進行度、ステージといいます)やがん細胞の悪性度(分化度、グレードといいます)、患者さまの健康状態や年齢によって異なります。その中でも、進行度がもっとも重要です。まず前立腺がんの治療法を説明し、その後、進行度による治療法の選択について述べます。

目 次
 1)手術療法について
   ◇手術についての説明 新着情報
 2)ヨウ素125シード線源による永久挿入密封小線源治療について
   ◇もっと知りたい方へ
   ◇ブラキセラピーの説明 新着情報
 3)放射線療法について
 4)内分泌療法について
 5)進行度による治療法
      |早期がん中期がん転移がん
 
1)手術療法(前立腺全摘除術)について                                      このページのトップに戻る

 前立腺をすべて取り除き、膀胱と尿道をつなぎ合わせる手術です。
 通常はがんが転移しやすい前立腺のまわりのリンパ節も同時に摘除します(骨盤内リンパ節郭清術といいます)この治療法のよい点は、がんが前立腺の中にとどまっていればがん細胞をすべて体の外に取り出せ、完全に治ることです。また、取り出した前立腺を顕微鏡で検査でき、より詳しい進行度や悪性度が判ります。
  悪い点、すなわち合併症には尿もれ(尿失禁といいます)やインポテンス(勃起機能不全といいます)などがあります。
尿失禁は通常は長い人でも2-3ヶ月以内で起こらなくなりますが、ときにパッドが必要な尿失禁が持続する方もおられます(5-10%)。
勃起機能不全は通常の手術法では必ず起こります。勃起機能不全を防ぐために、勃起に関連する神経や血管を温存する手術法があります。しかしながら、この手術法ではがんが残る可能性があり、慎重に行わなけばなりません。
  その他、一般の手術の時に起こるような合併症(出血、肺塞栓症など)も起こりえます。

前立腺癌全摘除術
前立腺癌全摘除術

前立腺と周囲のリンパ節をすべて取り除き、膀胱と尿道をつなぎ合わせる手術です。
 
◆手術についての説明◆◇◆ 手術についての説明                                                    
 
2)ヨウ素125シード線源による永久挿入密封小線源治療について                    このページのトップに戻る

  放射線治療のひとつで、前立腺の組織の中に線源を挿入して照射する組織内照射(ブラキセラピー)のことです。ブラキセラピーは欧米では一般的に行われており、日本でも最近治療可能となりました。         
 
  治療法は、会陰部(陰のうと肛門の間)より前立腺内へヨウ素を密封したシードを永久的に埋め込みます。シードは長さ4.5oで直径は0.8oで、チタン製です。保険診療は可能で、入院期間は4日間くらい必要です。合併症は外照射と同様ですが、治療後一過性に排尿が困難になる場合があります。また、挿入された線源より体外へでる放射線は非常に弱く日常生活にほとんど制約はありません。ただし、乳幼児や妊婦さんとの長期間の接触はなるべく避けるようにするとか、この治療をうけたことを記載したカードを1年間携帯するなどは守っていただく必要があります。

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 ◆ブラキセラピーの説明◆◇◆ ブラキセラピーの説明

ヨウ素125シード線源による永久挿入密封証線源治療
 
 
 
3)放射線療法について                                                   このページのトップに戻る

 放射線により、がん細胞の分裂や増殖を抑えて、がん細胞を殺してしまう治療法です。

 前立腺がんに対する放射線療法には、体の外より高エネルギーのX線により治療する外照射法と前立腺の内に線源を入れて照射する組織内照射法(ブラキセラピーといいます)があります。
放射線療法は、手術療法と比べて尿失禁や勃起機能不全が起こりにくいとされています。ただし、前立腺は体の内に残っており、がん細胞が完全に死んでいるかどうかは判りません。
合併症は、治療中に起こる場合(早期合併症)と治療後しばらくたってから起こる場合(晩期合併症)があります。
  早期の症状としては、尿の回数が多くなったり、排尿時に痛みをともなったりする膀胱障害や頻回の便意や血便などの直腸障害があります。しかしながら、これらの症状により治療が続けられなくなることはまれです。
  晩期合併症では、腹部不快感や直腸出血などがありますが、頻度は高くありません。

 
4)内分泌療法について                                                  このページのトップに戻る

 前立腺がん細胞は男性ホルモン(テストステロンといいます)の刺激により増殖を続けます。前立腺がんの内分泌療法は、このテストステロンを遮断し、がん細胞の増殖を抑えようとする治療法です。

 この治療法は、手術療法や放射線療法と異なり、がん細胞を完全に取り除いたり、殺してしまう治療ではなく、増殖を抑えておとなしくしてもらおうとするものです。
 内分泌療法の具体的な治療法は、テストステロンを分泌している両側の睾丸(精巣といいます)を摘除したり、定期的(4週間に1度)に注射をしてテストステロンの分泌を抑えたり、注射や飲み薬で女性ホルモン(エストロゲン)を投与する方法があります。
副作用は、勃起機能不全、体のほてり感(ホットフラッシュといいます)、乳房の痛み(ギネコマスチアといいます)などがあります。その他に骨そしょう症が起こることもあります。また、エストロゲン剤を投与することにより心臓や血管の障害を起こし、時に重篤となることもあります。そのため、エストロゲン剤は治療を開始する際の薬剤としては使用されなくなっています。

 
5)進行度による治療法                                                  このページのトップに戻る

進行度を下記のように分けます

下向き矢印
  1.がんが前立腺の内にある早期がん
2.がんが前立腺の外に一部でている中期がん
3.骨やリンパ節に転移のある転移がん
 
 

がんの進行度の説明図
   早期がん     中期がん      転移がん


1.早期がんについて


  完全に治ることが期待できる手術療法か放射線療法が行われます。
 治療効果はほとんど同じであり、通常は平均余命が10年以上ある方(日本人では75歳)には手術療法が、それ以外の方には放射線療法が選択されます。
 また、ごく一部の方には、無治療経過観察(待機療法)が行われます。これは、前立腺がんと診断されてもすぐに治療を開始せずに、血液検査(腫瘍マーカー、PSA)を定期的に測定しながら、がんの増殖が活発となった時点ではじめて治療を行うという方法です。

2.中期がんについて


 手術療法や放射線療法だけでは完全に治ることは少なく、これらの治療法と内分泌療法を一緒に行う場合や最初から内分泌療法のみのこともあります。この際、がん細胞の悪性度や患者さまの年齢、健康状態を考えながら治療法を選びます。

3.転移がんについて


 内分泌療法が行われます。抗がん剤による化学療法は効果がなく、はじめから行われることはありません。
 
 
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